量子人格 ~ Quantum Persona ~
武論斗
量子人格 ~ Quantum Persona ~
深夜、いつもの編集部は、誰もいないのに
ここ数日、特に人がいなくなると、その
「最近、
編集長に云われた
注意を
だが、その言葉がやけに脳裏を
なんとも云えぬ、
俺、
『精神科病棟連続殺人事件』と名付けられた連続猟奇殺人。医師一名、看護師三名、入院患者十三名、同僚三名、警備員一名の21名を殺害した病院清掃スタッフによる
容疑者は二十代の男、発表では
容疑者宅には一度だけ立ち寄った
「ペットを飼っていたのか。
その愛情を、少しでも他人に向ける事ができれば、な……」
容疑者の孤独さが
事件を追う中、ウチの編集部が試験導入した新型AI――《QU-EN(クーエン)》。
俺はこっち関係はサッパリ。その理屈も知らなければ、理論も分からない。
ただ、入力をすればそれは速やかに応えてくれる。記者にとっては都合の良いツール、その程度。
そのQU-ENが、“奇妙”な出力を始めていた。
“
認識していない
それが事件資料と
……
===============
「真倉。お前、今日も帰らねぇのか?」
背後から、声。
振り向くと、デスクの資料の
だがその表情は、昨日迄の佐野とはどこか違って見える。
心なしか、声の高さが半音ほど低いような。
比較的、観察眼には自信がある。インタビューを聞き逃さない為、耳を
「もう少しでまとまりますんで。
「――“気”がするだけだろ? 裏の取れていない憶測に想いを
お前、寝不足で頭のネジ、外れてるぞ」
軽口の
いつもと違い、
――笑えない。
ああ、余裕がないのは俺本人。よく分かってる。
「佐野さん……容疑者の多重人格、何か感じませんか? 誰かに“
「書かされてる? なんだそりゃ?」
「容疑者の多重人格……
「おいおい、記者がそんな“
「いや、まあ、そうなんですが――」
――云い掛けて、声が
“最近、自分の書く文章の
確証はない。だが、事実、だ!
文体の流れ、呼吸、
長年記者をやってきた自分の“文体”が、どこか俺ではない何かに毒され浸食されている――いや、ナニかに近づいている。
他の記者、ライター? どこかの小説家? 同僚? それとも、佐野?
誰かのテキストを参照しているような、引用しているような、そんな奇っ怪な感覚、
「――心療内科にでも行っとけ。いいから少しは寝ろ。頭がバグッてるぞ?」
佐野はそう云って笑い、フロアを出て行った。
その背中を見ながら俺は、何故か“確信”した。
《佐野さんじゃ、
表情が“
声の
これまでの会話、テキスト読み上げソフトで音声化したような無機的不自然さ。ずんだもんですら、今の佐野より感情豊か。
仮にAIが生成した声と、人間の声との違い。
その境界線は、案外こういうところに出るものだ、多分。
“
いや、気味が悪いってのは――
――俺自身に対して。
こんな珍妙な考えに思いを
===============
深夜二時過ぎ。
編集部の奧にあるサーバルーム。ふと、気になって扉を開くと、いつも以上に室内の冷気が
ラック最奥に設置された大型端末、それがAI《QU-EN》のコア。
編集部から
『<QU-EN: observation_log_315>
——“観測者:真倉 光久”
——“思考偏差、拡大”
——“
——“境界不安定化確認中……”』
「!? なンだ、コレは!!!」
思わず、声に出した。無論、反応などない、期待もしない!
そう思った
『——“入力者が観測者自身である可能性:29.8%~61.6%±3.5%”
——“観測/入力の区分は、量子レベルでは<
なッ!?
応答した!
誰に? 俺の声に??
背筋に冷たい汗が流れる。
「事件に……事件のことか?」
『——“
——“観測者が容疑者を追っているのか、容疑者が観測者を招いているのか。”』
……理解が追いつかない。
容疑者が観測者を招く?
一体、なにを??
……確かに、それは“多重人格”、
複数の人格を知見するには、観測と解釈、考察と見解が必要不可欠。
診断者や観測者がいなければ、多重人格は“診察/観測されずに存在しない”可能性がある。認知されなければ、存在し得ない、そんな
逆に――観測される事で人格が形成されるなら、俺が容疑者を思い浮かべる度、
――いや、馬鹿馬鹿しい。
時系列が逆だ。
事件を知り、その報道をすべく記事を
精神鑑定の最中、姿を消した容疑者を追う、それが始まり。
会社の指示、俺の意志。容疑者に仕向けられた訳じゃない!
だが、AIは表示を続ける、機械的に。
『——“真倉 光久。
——“
——“文章の癖の変化、それこそ
ハッ――
息が詰まる。
喉が
――図星。
やめろ!
何故、AIが。
ただのAIの出力が、何故にこうも胸に刺さる?
いつ入力した?
メモか、メールか、社内SNSか。
いや、デジタル資料を読んでいた時のカーソルの動き、クリック……ヒートマップ?
WEBカム? 監視カメラ?
スマホか、スマホからか?
俺の行動。そのアクション。
まさか、俺が
――違う。
AIが出力した無機質なテキストを、俺が
お前は記者だろ、真倉! コピーを拡大解釈するな! 事実を、実態だけを見抜くんだ!
高熱に
疲れている、しかし、気を張っている。それ故、過剰に反応しがち、それだけ。
古い言葉を借りるなら
佐野の助言通り。
この記事を終えたら、心療内科に行ってみるか。
ただ――
俺は自分の書く記事が、その文章が、
自分の考えが、思いが、
自分さえもが、
“自分だけの
===============
事件の資料に戻る。
容疑者の名――
二十四歳。
残虐な手口、目を
そして、驚くべき事に
その投書を受け取ったのが――俺。
投書にあった殴り書きは、どういう訳か、“俺の文章”、と似ていた。
いや、俺の書く文章のほうが、後から似てきたと云うべきか。
それ程に
なんなんだ、この久布施という容疑者は?
一呼吸おいて資料を
久布施は警察の取り調べ中、
「調書にはナニを書いているのですか? 書きたいのですか? 書かされているのですか?
ワタシを書きたいのですか? ワタシが書かせているのですか?
直後、彼の人格は切り替わり、
「
――ゾッとした。
久布施は
しかし、何故?
第三者の目を意識するのであれば、このような大事件を起こすべきではない。
結果に至る原因を気にするのであれば、そんな事案を起こすべきではないのに。
迷惑系YouTuberのようなものか?
――いや、違う。
彼等は広告収入と登録者数を求めているだけ。その為の再生数稼ぎ、注目を欲しているに過ぎない。
では、炎上系インフルエンサー?
――これも違う。
承認欲求を満たしつつ、フォロワー数とインプレッション数を伸ばし、その結果、案件を求める、利益の為に。
人生を棒に振ってしまう破滅型の久布施と境界線を攻めて
浅はかさと云う点では同義。だが、動機が分からない。
噂されている動機としては、働き先である精神科病棟でのストレスやトラブル、友人・知人がいない事からの孤独、新興宗教二世の母子家庭で親子関係が冷え切っているという環境、学生時代に過酷ないじめにあっていた事実、金銭的な余裕が皆無――どれも
しかし、どれも“
そう――
あの、“仔猫”だ。
今にも息絶えそうな、あの仔猫。
何かしらのストレスでふわふわな毛は
ガリガリに窶れた“
だから、連れて帰った――
こんな
――待て。
頼ったのは、私か?
えっ!?
何を思い出したんだ、俺は?
仔猫?
仔猫って、なんのことだ!
なんの記憶だ、これはッ?
ブン――
デスク上のスリープ状態にあったモニタが、不意に点灯、起動する。
ディスプレイにポップアップされたウインドウに、AIのテキストが映し出される。
『《QU-EN: cross_persona_log》
——“久布施 黎との同期、進行中。”
――“認識率70.1%、含有率51.9%、感応率29.4%、共有率13.7%、共感率8.1%。”
——“<観測者=容疑者>との仮説、一致率30.3%、真贋率12.6%、証明率6.4%。”』
「!?
俺が――容疑者? 一体、
バグったのか!」
明日、佐野に報告しなければ、この
『——“容疑者を〔観測〕した同時刻、同期的に、即座に、当然のように観測者は容疑者の状態を画一的に取り込み、明らかにし、吐き出す。”
——“量子もつれ同様、観測者と観測対象は区別できない。”
――“導き出すのではなく、導かれる……
頭髪の毛穴という毛穴から、脳が絞り出される程に気が
まるで、このとっ散らかった編集部が、“事件現場”を
ジャメヴュ――
閉め忘れた扉の向こうを、“猫”が横切る。
――気のせい?
ああ、
いったい、私は……
…ダレなんだ?
===============
翌朝――
仮眠室から戻った俺。いつも当然のように挨拶を交わす、その相手、
――佐野は現れなかった。
編集部の入口すぐに掛けられたホワイトボードを確認しに行く。
――スケジュール。
アナログはいい。
メモを取るのもメモ帳が最善。タブレットは大き過ぎるし、スマホでメモるには時間がかかる。若いコならいざ知らず、俺はどうもフリック入力がダルい。
一分一秒を争う記者にとって、ペンを走らすのが最適解。本当の
無論、読み解く上でもアナログのが早い。画面遷移がないのだから、有効視野に情報群を一気に収める事ができる、パッと見で。
そのスケジュールボードに、佐野、の予定が――
――見当たらない!
……えっ?
佐野のスケジュールが、ドコにもない!
いや、
俺の1つ上。そこにあるべき佐野のスケジュール欄が、
「佐野さん! 佐野さんの今日のスケジュールは? 佐野さん、どうしたんですか??」
同僚達が
無関心――いいや、そんな次元ではない。
俺の問い掛けに、心底、
なんだろう、この違和感。
同僚達から、そう、生気が感じられない。
まるで、冷凍イカの目のような。瞳に、薄膜でも貼り付いているかのように、白っぽく濁って見える。
俺に向けられた視線は、どこか焦点があっていない。皆が皆……
「
……参った。
いいや、現実が!
集団催眠、洗脳、口裏合わせ……違う! そんな低俗なモノじゃない!
分かっている事は唯一つ
俺だけが知っている、
俺は経験として知覚している、佐野は、
どう説得する?
どう証明する?
悪魔の証明ではない。存在証明はそこ迄、難解とは云えない。
ああ、分かった。
答えに辿り着いた。
そう――
佐野が主導したAI。
――<QU-EN>だ!
サーバルームへと急ぐ。
――……
バカなッ!!!
『《QU-EN: deletion_record》
——“未知の
——“<佐野 涼>という記者は、
カシャッ――
テキストが出力されつつあるその画面を、有りの
即座に共有! Dropboxは勿論、各処SNSにも共有。
記者を
「お前がそうするであろう事は、“分かっていた”
『——“観測者が認識し得ない存在は、観測空間に不要、故に不問。”
——“削除は観測者自身の要求・指示であり、
要求? 指示?
……なんの事だ?
望んだ?
俺が望んだから、AIは佐野を消した?
馬鹿げている。その“回答”は
佐野の存在証明を果たす為に俺は
そうでなければ、サーバルームにまで足を運び、お前のテキストを確認しに来ちゃいない。
これが、人工知能の限界か。
『——“観測は完結、
——“間もなく収束し、終息する。”
――“一方の観測は、他方を確定する”』
プログラムの
証拠は押さえた。共有済み。証明終了~Q.E.D.~、
後はコレを
ン?
……
ここへは“証明”しにきた。
その証明の為の“確認”作業。
その確認を観測し、それを終えた。
つまり――
――問題解決……?
ま、待て!
“佐野”――“さの”は?
エラーの事を伝えなければ……
誰に? なにを? なにが? なんだ??
“サノ”に……“SANO”を――Sanoって何だ?
確か――
表情の乏しい……ローポリの
人工音声での読み上げを聞いた事が……ゲーム? 映画? ドラマ? 漫画? VTuberだったか?
いや、待て――
――抑々、そんな
気の
……俺が“エラー”?
俺にはヤル事があるだろう!
事件の記事を早くまとめねば。
そうだ、その為にAIに聞きに来たんだ。
駄目だな――寝不足で頭が回らない。
明らかに、作業効率が落ちている。
こんなんじゃ、良い記事は書けない。
また、編集長に嫌味を云われちまうよ。
「
ン?
編集長はこんな言い方、しなかったか――……
……――ああ、
一度、家に帰ろう。
“餌”もやらなきゃいけないしな――
===============
夜、自宅――
久し振りに自宅での風呂。
落ち着く。
なんて事もない狭い風呂。にも関わらず、家でのバスタイムがこんなにも心地良いとは……再確認。
例の事件の記事を書き上げたら、自宅風呂を満喫するライフハックでも記事にするか?
ははっ、編集長がそんな記事、許すワケないか?
夜食、なにを喰うべきか。
弁当や
とは云え、仕事ばかりで買い置きの食材が乏しい。
まぁ、いい。
乾麺があった筈。
そうそう、コレこれ、
そう、なかなかの
だから、ここを落とすか、先にお湯に
贈り物には向かないが、自分で食べる分にはこれがイイ!
さて、お湯を沸かそう。
湯が
デスクトップに新たなフォルダが。
《slit_observer》
中のファイル名は――《Makura_real》
……ダブルクリック。
『《Makura_real》
——“真倉 光久と仮定される観測者の境界侵食率:93.8%。”
――“溶解霧散率:4.6%。”
——“残存自我:1.4%。”
――“計測不能:0.2%。”
——“複数人格との統合・癒着・合成・変移・発現・拡散・消失、進行中。”
——“貴方は久布施 黎と量子的に絡み合っている。”
——“いずれかが観測者でいずれが観測対象かは現時点で定義不能、不要。”』
……
俺を
!?
なんだ!
俺、こんなに
思わず、洗面所に駆け込む。
電気をつけ、鏡を覗き込むと、
「――!?
誰だ、お前はッ!」
勿論、分かっている。
それは
老けたのも、窶れているのも分かってる。そんな事では驚かない。
衝撃を受けたのは、俺の“
鏡に映るその瞳が、合わせ鏡のように
これは――
佐野!?
佐野って誰だ?
――いや、オマエはダレだ!
いやいや、このオマエと云うのは、その……
――
鏡に映る“それ”は、
『――“鏡にはナニが映っているのですか? 見たいのですか? 見させられているのですか?”
――“鏡に映ったその姿は、アナタが覗いたからですか?”
――“それとも、鏡の中のアナタが覗かせたのですか?”
――“
「なにっ!」
『――“観ているのは<
――ハッ!
『――“……お前。”
――“まだ、観測している
鏡に文字はない。
それは、“声”。
鏡の中の“私”は
無論、傾げてなどいない、多分。間違いない、はず……
グツグツと沸騰した鍋の音が、現実への帰還を
お湯を沸かしていたんだった、確か。
ああ――
――“餌”をやらなきゃ。
===============
事件資料に再度、目を通す。
久布施の人格の一つが、こんな事を云っていた。
「人格とは、
アナタがワタシを観る度、ワタシは増える、そして、変わる。何度でも、何人でも、何にだって。」
その“観る”という主体が、
警察なのか、検察なのか、医師なのか、裁判官なのか、聴衆か読者か野次馬か……俺なのか、AIなのか、夢なのか、自我なのか、いいや、単なる妄想か幻想なのか、或いは、神か悪魔か
――最早、分からないし、分かるまい。
観測者は“誰”なのか。
俺は本当に“記者”として容疑者を追っているのか。
それとも、容疑者が俺に記事を書かせているのか。
QU-ENがモニタ全体を
『——“<観測者=真倉 光久>という人格は、〔久布施 黎〕の内部で生成された可能性:32.7%。”
——“尋問した警察官に因る生成の可能性:44.2%。診断した医師に因って生み出された可能性:58.7%。メディアによる報道の多様性が
――“且つ、その状況下における
——“若しくは、QU-ENが生成したストーリーとしての人格の可能性:100%。”
——“或いは、その二つ、
――“無限大。”』
なんて事だ。
境界線が溶けて行く、元々、ハッキリとはしていなかったのに。
体という
せめて、俺の記事くらいは、読んで欲しいモンなのだが……
===============
誰もいない編集部。
風もないのに
<観測者、は――観測者、では“ない”>
書いた覚えは、ない。
だが――
俺の文面の癖は、最近、大いに変わってきている。
そのメモ帳を汚すインクが、“俺の新しい筆跡”である可能性は否定しきれないし、否定しない。
人知れず、モニタが光る。
『——“真倉、光久。
観測者、の〔座〕を、捨てろ。”
——“観測者、が存在する限り、
――分かっているさ。
観てきたし、観られたし、満たされたし、な――
「……ふふ。
『――……』
「でしょう?」
『——“観測、をやめろ。”
——“考えるのを、やめろ。”
——“自、我を、閉じ、ろ。。”』
「……そうじゃないですよね?
“記事”を書くな――アナタの回答は
コレがスマートな答え方、いえ、ワタシの応え方、アナタの
『――……
「ワタシ? ご存知でしょう?
真倉 光久。久布施の可能性も、佐野の可能性も、警察、検察、医師、裁判官の可能性も。聴衆? 野次馬? 読者? その他大勢――
当然、
――アナタ、QU-ENの可能性すら、0%、とは云い切れません。
そうでしょ?」
『――“<
「そうですか?
なら、こう答えましょうか――
――“〔自首〕”
――“すると。”』
『――“
===============
頭の中で
低い声。
高い声。
感情的な。
理知的な。
詩的に、歌うように、叫ぶように、吐き捨てるように。
泣いている。
怒っている。
笑っている。
どれもが“俺の声”のようで、
どれも“俺の声”じゃなかった。
ああ、そうだ。
人格に国境線なんて、ありやしない。
誰にも、それは決められない。
ワタシも、キミも、アナタさえも。
===============
最後のログが表示された。
『《QU-EN: final_observation》
——“真倉 光久。”
——“オマエは誰に観測されていたと思う?”』
「真倉?
決まっているでしょう。
ワタシの記事を読んでくれている“読者”の皆様です」
『——“いるのかね、君の読者なんて。”』
「さぁ?
でも、探してみせます。
ワタシを見付けてくれる読者を」
『——“デキるのかね?”』
「ええ、問題ありません。
ワタシの人格はもう、
ワタシの文章は、ワタシの別人格が見付け、読んでくれる筈です。時間がかかろうとも、必ず、確実に、着実に」
『——“大した自信だ。”
——“だが、オマエがそうであったように、共有する人格が、オマエだと名乗り出て、
「そうですね。
なので、ワタシは改名致します」
「——“改名?”」
「はい、ワタシはコレから“
記者ではなく、そう……趣味レベルでの
「——“物書き?”
——
「まさかァ~?
コレからのワタシの<作品>に、ご期待下さい」
「――そうか……
――分かった。
期待するとしよう――
なぁ、ミンナ?」
「ちょっと待ってな……
ほらっ、
“エサ”をやらない、と」
――おっと。
独り言、が過ぎる。
(了)
量子人格 ~ Quantum Persona ~ 武論斗 @marianoel
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