2章 第5話


ダンジョン?に入った後

俺が先頭、ミストレアが中間、リーフローラが後ろといった順番で、道を俺たちは進んでいた。


その陣形の中でしばらく歩いていたが、俺たちは途中で足を止めた。






「子供?」


そこには走ってこちらに向かって来ている子供がいた。

小学生ぐらいの男の子のようだ。


その子は、俺たちを見ると足を止めて言った。


「助けて!」




□□□□□□□□





子供は、俺たちを見つけて泣いてしまったため、一度泣き止むまで待った。


今は、この中でいちばんコミュニケーション能力が高いミストレアに、子供から情報を聞き出してもらっていた。


「君はゲートをくぐる前で、覚えていることはある?」


「えっとね、笛の音を聞いたの!」


「……笛の音?」


「そう! でも聞いてたらいつの間にか眠っちゃった。そして起きたらみんなと同じで森の中にいたんだ。」

「ぼくは、こわかったから逃げた!」


「逃げ出せたの?」


「気づかれてないと思う!」


俺たちは顔を見合わせた。


「その場所は覚えてる?」


「……逃げるのに必死で覚えてない。」




「案内とかはムリそうだね。一度、この子を連れて外に出る?」


ミストレアがそう言った。


それもありかもしれない。


「一度戻ってからもう一回ここまで来る? さすがにそれは時間がかかる。」


リーフローラが言った。


「ホープレイア。外に連れて行ってあげて。」


「お、私?」


危ないな。いま俺って言いかけた。


「この中では、あなたが一番強いはず。だから一人だけ人員を割くとしたら、ホープレイアが適任。ミストレアはどう思う?」


「……正直、ホープレイアは、私たちのどちらかが着いていくよりも安全だと思うよ。」


「ホープレイアは、後から私たちを追いかければいい。」


こうなれば仕方ない。


ダンジョンの入り口からそう距離は、離れてないし、全力でダッシュをすれば、10分もかからないうちに着く距離だろう。


「わかった。じゃあ行こうか。」


俺はできる限り優しくその子に声をかけた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ミストレアSide



ホープレイアが、私たちがいま通って来た道を戻っていく。


ホープレイアが一緒なら、あの子も無事にここから出られるだろう。


「ミストレア、先に進もう。」


「うん。 分かった。」





しばらくして、私たちはまた足を止めた。




「………また子供?」


そう、また一人道端で泣きそうな顔をした子供がいたのだ。



話を聞くとこの子も、どうやら逃げ出したらしい。

そして……


「すっごく怖い人がいた。」


「怖い人?」


「……目と鼻がなかった」


私とリーフちゃんは二人で目を合わせた。


おそらくそれが今回の魔獣だろう。




「……魔獣がそんなに管理に甘いことある?明らかに子供で背丈が小さいといっても、流石に分かると思う。」


リーフちゃんはそう呟いている。


これに関しては、私も同感だ。


明らかにおかしい。


一人、二人とはいえ、魔獣が人間が逃げるのは気づいているはずだ。

魔獣が逃がしている意図がわからない。


………もしかしたら罠かもしれない。



だが、来たのは本物の人間の子供だ。


ここでこの子を放置する訳にもいかない。


「私は一旦戻った方がいいと思うんだけど、どうする? リーフローラちゃん。」


「………この子を連れて行くのはリスクが高い。一度、2人で入り口まで戻る方がいい。ホープレイアとは途中で合流できるはず。」


「分かった。」


「ねえ、君。お姉ちゃん達についてきてくれるかな?一緒にお外に出ようか!」



「………分かった。」


その子は、まだ恐怖が残っている顔で返事をした。

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