こんな日もある

金子よしふみ

第1話

 短期バイトが5日間続いてようやく終わったと思った翌日。

 朝からけだるさに襲われていた。額に手を当てると微妙に熱かった。頭痛もして、食欲もなかった。とはいえ、寝込むような感じでもなかったので、とりあえず着替えてから麦茶を飲んで座椅子に腰を下ろしてテレビを見ることにした。ワイドショーが長々と感じられて、すぐに肩肘で横寝の姿勢をしたら、瞬く間に目を閉じてしまっていた。しばらくして一旦目が覚めても起きるような気もしなかったため、そのまままた目をつむってしまった。気づくとワイドショーはすでに終わり、次の番組が始まっていた。そう言えばと録画しておいた映画を再生したはいいもののやはり起き上がる気にもなれず、横になり続けた。

 そうこうしているとお昼の時間になった。映画はすでに終わっていた。空腹が鳴ることはなかったのだけれども、なんとなく、ただなんとなく、インスタント麵を作ることにした。これくらいなら食べられそうだったし、薬は特段飲む必要性も感じられなかったから簡単に済ませられそうなものが選ばれただけだった。

 早々に麺を食べ終え、買い物でも出ようかと思ったものの、そんな気にもなれず、また座椅子に埋もれた。食事をしたせいか、あくびが立て続けに出て、腕組みをしたまま、目を閉じるといつのまにか寝入っていた。腕が痺れていたせいか目が覚めて、まだけだるさの残る体を億劫に動かしながら、ついているテレビをザッピングして見るもののそそられるような番組はなく、元に見ていたチャンネルに戻した。

 仕方なく寝室で横になることにした。すぐに寝入ることができて、気づけば17時半を過ぎていた。むっくりと起き上がり、リビングのテレビをつけた。ニュースをしており、見る気もなかったがかといって他に番組はなく、ただただ座椅子に埋もれていた。まだけだるさはあるものの、額に手を当てると熱さはもうなくなっていた。おもむろに一つ伸びをしてから、少々早いがシャワーを浴びることにした。お湯に流されたおかげかさっぱりした感じがけだるさよりも優勢になった。とはいえ、まだお腹が鳴るようなことはなかった。けれども食べないのも何か物足りないような気がして、腹を擦りながら冷蔵庫を開けるとうどんがあったので、それを食べることにした。煮込んだうどんに生姜を擦って、丼に移してから七味唐辛子もふった。おかげか体がポカポカしてきて、けだるさもいつのまにか忘れてしまっていた。

 いつもより早めに寝室に入った。寝つきが悪くなっているかと思ったが、意外にもすんなりと寝ることができた。その晩は荒唐無稽な夢が何パターンを見ることになった。

 翌日アラームよりも早く目が覚めると、けだるさもなく、額に手を当てても発熱を感じることはなかった。

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こんな日もある 金子よしふみ @fmy-knk_03_21

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