「君の個性は、どこに置いてきたの?」
砂漠を走る電車の中で、繰り返されるその問い。
窓の外に横たわる巨大な骨。
どこか見覚えがあるのに、思い出せない人々。
そして、理由も分からないまま流れる涙。
幻想的な光景を巡るうちに、これは失われた記憶を探す旅であると同時に、主人公が胸の奥へ隠してきた自分自身を迎えに行く旅なのだと気づかされます。
「個性を持とう」
「自分らしくあろう」
本来は人を自由にするはずの言葉です。
けれど、誰かに見せられるものや、他人から認められるものだけが「個性」なのでしょうか。
人には言えなくても、理解されなくても、自分の心が確かに惹かれているもの。
それを自分自身が否定してしまったとき、人は自分の一部を、いったいどこへ置いてくるのでしょう。
なぜ、主人公は巨大な骨を見て涙を流したのか。
彼がこの奇妙な車内で見つけるものとは何なのか。
どうか答えを知らないまま、この電車に乗ってみてください。
短い旅を終えたとき、「個性」という言葉が、乗車前とは少し違って見えてくるはずです。