つらい過去を抱えながら生きていくことの難しさや、なかなか自分を認めることができない心の機微。
そこに描き出された日常は、他人事のようで実はとても身近なものである親近感と共感性を感じました。
細かい心理描写が秀逸で、主人公の心情がすっぽりこちらに届いてくるほど、物語に引き込む求心力があります。
あらゆる箇所で見受けられる配慮や気遣いの言葉は、そのまま作者の方のお人柄の良さを感じるものでした。
ぬくもりや辛辣さなど様々な顔を持つ物語は、まるで甘みのあるブラックコーヒー・・・不思議とそのような印象を作品から受けました。
あたたかみを感じたい人はもちろんのこと、読書が好きな人であれば誰しも、何かしらの共感を得るであろう、そんな懐に深みのある作品です。