仲間の大切さと三人の想い



 青の誓いが見つけたラットの集団の数は4体。

 三人は軽くお互いに目配せをし一斉に動き出す。


「かかってこいやぁ!ネズミどもッ!」


 叫び声を上げながら、カイルがラットへ一直線に突っ込んでいく。その左手には今日から着けてきた新しい盾が握られている。カイルに殺到するラット達。


 しかし何のスキルも持たないカイルには青の誓いの様なことは出来ず2体のラットを引き付けるに留まる。

 だが、新調した盾もあり2体のラットをしっかりと受け止めていた。



 残りのラットはというと―




 当然カイルの横をすり抜けアル達に襲いかかる。



「一匹任せる」 「えぇ、任せなさい!」



 短い会話を交わしアルが前へ出る。カイルの左右を抜ける様に飛び出してくるラット、その左側の獲物を槍を突き出し牽制。注意を引くことに成功する。


 それからは簡単だ。アル達は1人でも二体を相手にすることは問題ない。アルと、リアはそれぞれ一体を仕留め、二体を受け持つカイルに合流して危なげなく倒す。



 戦闘を終えお互いを見るアル達は確かな手応えを感じていた。一人ではまだ四、五体のラットの群れに突っ込んで行くのは躊躇われるためらわれるが、三人ならこうも危なげなく倒すことができる。そのままの勢いで次の戦術を決めようと話し合うアル達に、ルイが声をかける。



「初めてにしては中々のモノだったよ!今の三人で組むならまあ1番良い形で倒したんじゃないかな?

 でもね、それは君たちが顔見知り且つ、お互いを仲間だと信じてそれぞれに任せることができたからだ。それ自体はとても素晴らしいことだ。でも初めて組む人と同じことができるかい?」


 それを聞いて確かにとアルは思う。今回は馴染みのカイルやリアだったから気兼ねなく前衛や後衛を任せることができた。それはここ二日で2人の実力や性格を知っていたからこそ。何ができるか分からない初めて会う人間や、もしかしたら取り決め通り動かない人間もいるだろう。


 ルイは続けて―



「そう、分かったかい?信頼関係を築ける仲間を作り互いを信頼し何度も何度も戦い、その先に阿吽の呼吸が生まれるんだ。それに、報酬の分配なんかもあるしソロと違って臨時のパーティなんかだと揉めることもあるしね。上手くハマれば確かに効率はいいが、そんな単純なモノでもないんだよ。」


 そう語るルイのは顔は少し陰ってみえた。きっとここまでのパーティーになるまで色々とあったのだろう。



 その後アル達は何回かラット集団と戦闘をこなし他の戦術も試して行った。

 時には全てのラットがカイルに集まったり、後衛のリアの所へ、一直線にラットが向かったりと色々あったがその度に話し合い、策を考え、上手くハマると戦闘が楽しく感じる。




 そんな中、敵をどんどん倒して楽しそうにしていたカイルだが、次第に元気がなくなっていく。


 様子のおかしなカイルに、二人は顔を向ける。二人に見られている事に気づいてたカイルはバツの悪そうな顔をしてポツリと呟く。



 ―いやぁ、無理なのは分かってんだけど、この三人でパーティや組んだらきっと最高だろうなってな。



 珍しく小さな声でそう漏らしたカイルにリアも顔をうつむかせる。



 二人とアルは違う貴族に買われているためアルはルシアンに、カイル達は二人の主人に塔で得た利益をある程度差し出す必要があるからだ。違う雇い主同士のものがパーティーを組めば分配などが上手くいかなかなる事は分かっていた。




 先ほどまでの元気がなくなってしまった二人を見てアルは、そうだな。とそっけない返事を返した。





 その顔は二人と同じように、俯いていた。

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