祭りは世界が重ねてきた歴史と、その上を生きる人々が出会う場……いわば、世界の縮図である。異世界でもそれは変わらないはずだ。異世界を描くのに、これ程都合が良い舞台はないかもしれない。
まず、冒頭のビジュアルが素敵すぎる。会場の中心に据えられた、巨大な飴のオブジェクト。それは単なる飾りではなく、この世界のミニチュアである。しかも、その装飾によって神話まで表現しているという……読者はこの一場面で、たちまち異世界に誘われるだろう。
それでいて、そこに生きる人々は決して「作者の操り人形」ではない。祭りには人々の生々しい思惑も交錯するし、祭りの舞台裏で奔走する主人公たち(およびその尊い関係♥)は、実に血の通った「人間」である。だからこそ、読者は存分に彼らに憑依し、異世界の祭りを堪能することができる。