ギャルゲーで学ぶ幼馴染の攻略法〜ルート選択ってなんですか?

リアル鳩マン

第1話 現実はギャルゲーよりも奇なり

「今回の新作もなかなか良かったな」


 俺の名前は笹原国光ささはらくにみつ。今、俺は何をしていたのかというとギャルゲーの全ルート攻略だ。


 そう、俺は自他共に認める"ギャルゲー愛好家"だ。そして俺は、特に『Lumi《ルミ》』という会社の作品、いわゆるLumi作品が大好きな生粋の『ルミナー』である。


 今回のLumiの新作『Mystic*Palette《ミスティック・パレット》』も発売から約3日で全ルートを攻略してしまった。


 それに普段の生活でも「これは好感度イベントじゃないか?」と思ってしまうほど脳内がギャルゲーで埋まっている。


「さて、キャラ紹介見返すか......」


 俺はいつも全ルート攻略をしたのち、もう一度ルートの復習を兼ねてキャラ紹介を見ている。今回も例外ではない。


 キャラ紹介を開き、まず俺の目に入ったのはメインヒロインの『夏目日和なつめひより』だった。このキャラは主人公の幼馴染ポジであり、ルート的には最後に攻略するキャラである。


「幼馴染か......」


 幼馴染といえば俺にも平野翠ひらのすいという美少女(俺目線)がいる。


 彼女とはもう10年来の付き合いで昨日も会ったばかりだ。


 そんな彼女は明るくて元気で、少しツンデレ気味。それに美少女(俺目線)だ。


 つまり、ギャルゲーでいえば王道幼馴染ヒロインそのものなのである。


 そこで俺は気付いてしまった。


「ん?これ、もしかして......リアルで幼馴染ルート攻略できるんじゃね?」


 悪魔的発想だった。流石にこれはまずいだろと自分自身で思ってしまったほどだ。


 だがしかし、俺ももう高校生。そろそろ彼女が欲しくなるお年頃である。そんな俺を誰が止められただろうか、いや、誰も止められない。


「よし、決めた。俺は、翠ルートを攻略する!!」


 俺は自分の部屋の中で高々と宣言した。


 そうと決まれば、まずは復習だ。とりあえず、部屋に中にあったギャルゲーを全て集め、キャラ紹介を見漁る。


 その中で、幼馴染要素を見つけたのは約10作品。その中でもLumi作品は8作もあった。


 もしかすると俺は幼馴染要素に惹かれてルミナーになったのかもしれない。


 そんなことは置いておいて、とりあえずこれを今夜のうちに全て復習し直す。


 だがもう一度、メモを取りつつルートを辿り直すとなると時間がかかりすぎるので、その作品の実況動画や攻略動画などで代用する。


 生憎、今はまだ午後7時だ。晩飯も風呂も済んでいる。明日は学校だが、少なくとも6時間ほどは睡眠時間が取れるだろう


「さあ頑張るぞ!」


 一体何のために頑張るのか、それはもちろん翠ルートを攻略するためである。


 俺は攻略のための復習もとい予習を始めた。


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