本作は、乙女ゲームの「悪役王子」に転生した主人公が、破滅を回避するために奮闘する……
しかし、中身を開ければそこにあるのは、**「お母様への至高の情愛」**という濁流です。
主人公の行動原理が「正義」でも「野心」でもなく、ただ「お母様に褒められたい」「お母様を守りたい」という一点に集約されている。ゲーム知識を駆使した死亡回避すら、彼にとっては「お母様と過ごす時間を邪魔させないための事務作業」に過ぎない。この徹底した「私欲」の肯定こそが、現代の読者に奇妙な癒しを与える。かもしれません。
万人にはオススメできません。
だが、もしあなたが「自立」や「責任」という言葉に疲れ果てているなら、最高に甘美な逃避行になることでしょう。(ならないかも…)
ここにあるのは、倫理を捨てた先にある、無償の愛の理想郷です。