魔女が経営する素敵なオーベルジュ――迷い込むお客様は、みんな疲れた心を抱えていた。
魔女のオーベルジュという幻想的で美しい舞台が、魅力あふれる描写で魅力たっぷり鮮やかに表現されています。
穏やかな湖畔に浮かぶ洋館、丁寧に整えられた部屋、見た目も華やかな極上のディナー、そしてもてなしてくれるオーナー兼魔女。これら全てが訪れるお客様一人一人のために用意された「特別」なご褒美で、読んでいるだけでうっとり心奪われてしまいます。
心に傷を抱えたお客様たちの悩みは読者にも覚えがあるような苦しみです。生きているうちにどうしても抱えなければいけない傷に触れて、読者も少なからずお客様に共感してしまいます。そんな彼女たちがオーベルジュに訪れて、その人だけに用意されたおもてなしによって心満たされていく様がとても丁寧に描かれています。凝り固まった心が温められてゆっくり解きほぐれていく姿に、共感していた読み手のこちらまで癒されていきます。
たっぷり手を尽された贅沢なご褒美は全てのものを満たしていきます。心を尽くされた「あなた」だけの特別なおもてなし、現実から解き放たれて夢のような美しいオーベルジュに癒されたい方にぜひおすすめする作品です。
不思議なオーベルジュの、不思議なおはなし。
素敵な調度品、煌めくようなお食事、美しいスタッフさん。
招かれたお客さまはみんな、だけど、上手にそれを受け取ることができないひとたちばかり。いいえ、受け取ることができないって思っていて。
そんな不器用な心が、ゆっくりと、ゆうっくりと、オーベルジュのお湯に溶けるとき。
奇跡がたくさん、起こるのです。
あ、そういえば。
奇跡みたいなこと、あったんです。わたしにも。
ここ数話、拝読しながらちいさく音楽を流していたんですが、読む速度にあわせるように、その場面場面にとってもあってる曲が選ばれたんです。
もう、涙が止まらなくて。
きっとわたしにも届いたんだなあ、って思いました。
ロトゥジアさまの魔法が。
オーベルジュの、光が。
素敵な世界にお招きいただき、ありがとうございました。