第41話 モンスター狂いの男、ギルドの拠点を改造する。2
「ちなみになぜ、銀葉皮木からドライアドがいなくなったんですか?」
「それはね、グリーンマンたちが仲間をナンパして彼女にしたからよ。
皆、銀葉皮木じゃなくてグリーンマンの体を根城にして生きていくって言って出て行っちゃったの。
正直、彼女たちの態度は残念だわ。
下級とはいえニュンペーは女神の一種なんですもの。
あんな異国の精霊の男たちに着いて行くなんて情けない。」
グリーンマン。大英帝国の自然信仰の名残である存在。
全身が木の葉に覆われている男性の姿をしており、森の中を巡回して暮らしている。
大英帝国がキリスト教に改宗した後でも人々から信仰されているようで、教会の建築にはしばしばグリーンマンの姿が象られた意匠がある。
「なるほど。
では、木を伐採させていただきます。」
俺はオーク、ゴブリン、ホブゴブリン、クイーンドラゴン、人間の仲間達に木を伐採する指示をした。
オークとゴブリンが慣れた手つきで木を伐採していく。
木の根元付近で斧を振るい、倒し、樹皮を剥がして更に細かく切って板にしていく。
ホブゴブリン、クイーンドラゴン、人間は、木の板をギルド拠点である講義室の中に移動させる。
「ではドライアドの方々、ありがとうございました。」
俺はドライアドの方に向かって礼を言う。
「こちらこそありがとう。
持ち主のいない銀葉皮木が無くなってせいせいしたわ。」
俺達は講義室の中に戻り、俺の書いた設計図を基にギルドの改築を始めた。
ギルドの拠点となる講義室に元々ある椅子と机を移動させる。
木材を設計図通りに切り分け、かんなをかけて棘を取り、透明な樹液を塗って劣化を防ぐ。
黙々と、誰も言葉を話す事無く作業に没頭する。
「木材の仕上げが終わりました。」
マヤさんが俺に話しかける。
「では、設計図を基に組み立てよう。」
今回の木材の組み立てでは釘がないので釘を使わない。
木組みで木材を組み合わせて壁やテーブルなどを作る。
「疲れてきたから休憩しようぜ!」
バジーカさんが大声を出して皆に呼びかける。
「銀葉皮木の近くに小さなリンゴがあったから、ちょいと失敬してきた。
これで何かうまいメシは作れねえか?」
バジーカさんの要望に対して、ライル君が応える。
「じゃあ、これでアップルパイを作ります!
故郷ではよく母と共に作っていたんですよ!」
ライル君は笑顔でそう言った。
「皆、このリンゴでアップルパイを作ろう。」
ライル君はパネラートさん、リリーさん、マヤさん、アリサ=バルバロッサさんに語りかける。
「ええ、作りましょう。」
アリサ=バルバロッサさんが返答した。
「でも、パイ生地のための材料がない!」
リリーさんが声を荒げて言う。
「じゃあ、私と一緒にガルディエに行ってパイ生地の材料である小麦粉と水を買いに行きましょう。」
アヴリーケさんがリリーさんに話しかける。
そして、ライル君、パネラートさん、リリーさん、マヤさん、アリサ=バルバロッサさん、アヴリーケさんは、アップルパイの材料を買いに行った。
俺は6人を待つ間に、いつも身に着けているモンスター手帳にグリーンマンとドライアドのイラストを描いていく。
そして、銀葉皮木のイラストも描き、更にメモを追加していく。
俺は黙々とメモを取っていく。
「そういえば、ミスターオーク&ミスターゴブリンコンテストに向けての準備を進めないといけないな。」
俺は皆に語り掛けた。
グルーガさんが俺に疑問を投げかける。
「なあ、そのミスターオーク&ミスターゴブリンコンテストって、具体的には何をすればいいんだ?」
「自分磨きだな。
服装を良いデザインの物に替えたり、体臭を改善する為に食生活に気を遣ったり香水をつけたり、相手に気を遣ってエスコートしたり、マナーを学んでその通りに振る舞ったり。
そうする事で、自分は他の男とは違い、格上で特別な優良物件だと演出できる。」
「なるほどなあ。
でも、そういう人間の文化みたいなもんはあんまり親しみがないから、具体的に何をすればいいか分かんねえよ。」
「じゃあ、マナーやファッションを学ぶ本を買いに行きましょう。」
「本か、そうだな。
本には色々な知恵がある。
身だしなみや礼儀についてなんかも書いてあるに違いねえ。」
こうして、俺とグルーガさんは本を探しにガルディエの町まで行く事にした。
人間、オークは魔力がない種族なので、移動は徒歩になる。
俺はヘル王国の地図を確認する。
銀葉皮木の森を通り抜けるのが最短ルートだ。
「では、行きましょう。」
俺とグルーガさんはガルディエに向かって歩き出した。
銀葉皮木の森には、ドライアドの他にも、エコー、コボルド、ガンコナー、バンシーなどの声が聞こえてくる。
ここには様々な精霊が住んでいるようだった。
ドラゴンや魔獣といった類はいないようだ。
森の中をしばらく歩いて通り抜けると、ガルディエに辿り着いた。
「本屋はどこだろう?」
俺は俺と同じく人間らしき種族がいないか探して、話しかけて聞くことにした。
長剣を背中に背負った冒険者らしき格好の女性を見かけたため、声をかけてみた。
「すみません、私はアマガイユウトという者です。
このガルディエの町で本屋を探しています。
もしお時間があったら、本屋の場所を教えていただけないでしょうか?
どうかよろしくお願いいたします。」
「いいわよ。
今は時間があるし。
私の名前はミラ。
よろしくね、アマガイユウトさん。
それと、あなたの近くにいるオークの名前は何?」
「グルーガだ。」
「へえ、なかなかイケメンじゃない。
これからよろしくね!」
ミラさんは明るく手を振った。
「じゃあ、本屋さんまで案内するわね!」
「よろしくお願いいたします。」
俺とグルーガさんはミラさんに着いて行く。
しばらく歩いていくと、本屋さんに辿り着いた。
本屋さんの外見は、オレンジ色のレンガの壁でできていて、屋根は白い木でできている。
本屋さんの中に入ると、インクと紙の匂いが漂ってきて、嗅覚を刺激する。
この本屋さんにはどんな本があるんだろう。
俺は胸を躍らせながら本屋さんに入っていった。
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