第32話 モンスター狂いの男、悪魔族の国ヘル王国に入国する。

「私の名前はヘレナっていうの。

 悪魔族の国ヘル王国の検問所で職員をしているの。

 あなたのお名前は何?」


「私の名前はアマガイユウトです。

 ヘレナさん、これからよろしくお願いいたします。」


 俺は彼女に手を差し出して引っ張り上げてもらった。




「アマガイユウトねえ、女王ルシエラ様から聞いた名前だわ。

 あなた、魔物の探求の為なら命も惜しくないんですって?」


「その通りですね。

 惜しくはありません。

 しかし亡くなると生命活動は終了してしまい、研究が出来ません。

 なので無理をしてはいけません。」


「正気とは思えない発言ね。」


 俺は川から地面の上に上がった。


「寒すぎる!」


「じゃあ、焚き火をしましょう。

 魔炎よ、燃え盛れ。」


 ヘレナさんは魔法を発動する。

 火はヘレナさんの両手に出現して、燃え盛る火が俺の衣服を乾していく。


「ありがとうございます。

 前々から気になっていたのですが、魔法を発動させるには精霊石が必要なのではないのですか?」


「それは体に魔力を持たない種族に限った方法よ。

 人間やオークやゴブリンや獣人などは体に魔力が無いから精霊石を使って魔法を使うの。

 でもね、クイーンドラゴン族や悪魔族などは体自体に魔力があるから精霊石を使わずに魔法を発動できるの。

 体に魔力があるって便利よ。

 短い詠唱で便利な魔法が色々使えるから、私は悪魔族に生まれてよかったって思ってるの。」


「なるほど、勉強になります。

 この世界の魔法体系は2通りなのでしょうか?」


「いいえ、他にもあるわ。

 ただ、説明するのには時間がかかりすぎるから、検問が終わった後に話しましょう。」


 俺は検問所の行列に並んだ。

 ケルピーを追いかけていたので出遅れて、俺は一番最後になった。


「不審な物がないか確認するわ。」


 ヘレナさんが俺の心臓と鞄を見つめた。


「この鞄、不思議な物がたくさんあるわね。

 何に使う物なの?」


「メモを取る為の紙、ペン、遺跡の発掘などに使う道具です。」


「遺跡ねえ。

 つまりダンジョンを調査するのがあなたの仕事という事なの?」


「いいえ、遺跡とはダンジョンではなく、神や生者や死者を祀る為に人間が建築した建物の事です。

 古代は、科学が発展しておらず、また、人々にとって未知の事が多い時代です。

 そんな時、人々は心の拠り所として神という存在を定義して、自分達の道しるべとしました。

 遺跡は、人から神に対する尊敬が込められて建てられています。」


「興味深いわね。

 遺跡というのはどこに行ったらあるの?」


「遺跡は、私の故郷である地球の各国にあります。

 ただ、地球に戻る手段は分かりません。

 なので私はここにいます。」


「なるほどね。

 いつか戻れるといいわね。」


「私は地球に戻りません。

 私はこの世界でモンスターを探索し続けるんです。

 そしてこの大地に骨を埋めます。」


「故郷は愛おしくないの?」


「愛おしいですが、それよりモンスターの生態を探求したいんです。」


 検問が終わり、俺は合格した。


 つまり、このヘル王国に入国できるという事だ。


 これから俺のテイマーライフが始まる。


 ワクワクする。


 悪魔族の冒険者ギルドの制度とかどうなっているんだろう。


 ワクワクする。

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