第26話 モンスター狂いの男、ホブゴブリンに遭遇する。 3

「ふむ、では皆で食前の祈りを捧げて食べよう。」


「いいや、今すぐ食うね!

 こちとら戦い続けで腹が減ってんだ!」


「しかし、こういう時はちゃんと祈るべきでは」


「ボドウィンの爺さんよう、規則に厳格すぎるんだよ!」


 ボドウィンさんとバジーカさんが口論をし始めた。


「食べてもいいですか?」


 俺はオルトさんに聞く。


「ええ、良いですよ。

 たんとお食べください!」


 俺は綺麗に洗われた大きな葉でワームの果汁炙り焼き木の実添えを掴んで、草で出来た小さな皿につぎ分けた。


 素手でワームの果汁炙り焼き木の実添えを掴んで口の中に入れて咀嚼する。


「ワームの身によく火が通っていて、果汁や木の実の風味がしっかりと染みこんでいて美味しいです。

 触感もエビのような弾力があり、舌触りも良いですね。」


「そこまで褒められると、作った甲斐があるってもんです!

 皆さんも食べてください!」


 俺達は種族に関係なく同じ料理を食べ始めた。


「美味しいわね!

 ワームは食べた事が無かったのだけれど、今度から狩って作ってみようかしら!」


「おいしい!

 もっとないの?

 この量じゃ少なすぎるよ!」


「申し訳ありやせん!

 ここいらの辺りの食料を探し回りやしたが、もう食料となるような物はありやせん!」


 ホブゴブリンたちが全員ぺこぺこと頭を下げて謝り始める。

 俺はホブゴブリン達に言った。


「分かった。

 美味しい料理を作ってくれてありがとう。

 これからよろしく頼む。」


「はい!

 これから役に立って見せますとも!」


 俺はホブゴブリンと一人一人握手を交わしていく。


 それから、俺が今からしようとしている事の説明をした。


「疲れたな。

 俺はそろそろ眠ろうと思っている。

 オルトさん、草原にある草を編んで寝る為の寝具を作ってくれないか?」


「ええ、喜んで!」


 ホブゴブリン達は急いで草を編んで寝具を作る。


「ありがとう。

 では、俺はもう疲労の限界なので今から眠る。

 皆は交代で見張り役を立てて危険なものを警戒しつつ、各自休息を取ってくれ。」


 俺は寝具の上で横になり、目をつぶる。

 そうすると、すぐに睡眠する事が出来る。

 昔から体のスイッチのオンオフはつきやすい体質だから横になるとすぐに眠る事ができる。




「寝るのが早いですね......。

 とても羨ましい体質です。」


 アリサ=バルバロッサは、ぽつりとつぶやく。

 バジーカとマティアが言葉を交わす。


「俺達も休みてえなあ。

 クイーンドラゴンとの戦いで消耗しちまったし。」


「そうね、私達も消耗してしまったし。

 休息が必要だわ。

 そうだ、人間さんたちとホブゴブリンさんたち、見張り役になってくれないかしら。」


「え?」


 ライルが驚いた声を上げる。

 その声に対してマティアとバジーカが言葉を続ける。


「私達の中で一番体力を消耗していないのはあなた達のはずよ。

 さっきも問題なく魔法が発動できていたわ。

 心配する必要はないわ。

 だってあなた達にはフェアリーテに所属しているアヴリーケという優秀な冒険者がいるもの。」


「それもそうだな。

 頼んでみるか。」


「僕たちには荷が重すぎますよ。」


「大丈夫よ、ここには危険な魔物は少ないようだから。」


「でも、さっきワームの幼体がいましたよね。

 ワームの幼体が大量にいたという事は、親も近くにいるのではないでしょうか?

 もしワームの親が僕たちの存在に気づいたら、ここは安全地帯では無くなると思います。

 見張りを立ててこの場に留まるよりも、急いでヘル王国に移動した方がいいのではないでしょうか?」


「それもそうね.....。

 じゃあ、今すぐ移動しましょう。」


 オークとゴブリン、クイーンドラゴン、そして人間の集団は大移動を始めた。


 アマガイユウトは、神輿のように担がれているとも知らないままにヘル王国の国境付近に移動していく事となる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る