秋染の彼方

ファシャープ

晩秋

実に秋の深みを感じる季節になりました。


鼻から吸い込む午後6時ごろの空気が、儚さと切なさを混ぜたような、澄んだ色になってきました。


胸に溜まった日々の鬱憤なんかが全部その空気と入れ替わり、1日の疲れがすっと軽くなるようです。


深く澄んだ濃紺色の空が、いつもよりずっとずっと神秘的に感じる季節になりました。


ふと、なぜだか淋しさを感じてしまいました。


あの、永遠のように感じられた灼熱の日々から、もう冬になる前触れを、その"さわり"を目の当たりにしてしまったように感じてしまったからです。


人や動物や虫たちが別れ、また新しい出会いというのを感じるのでしょうか。


不安はありません。


ただ、漠然とした幸福感のような、どこか淋しくて涼しい包容感というものをたまらなく感じるのです。

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