布団の隙間

ピクルス寿司

布団の隙間

僕は狭い場所が好きだ。


カプセルホテルや路地裏など、肉体が圧迫される感覚が好きだ。


特に好きなのは布団の中だ。


柔らかい生地が自分の素肌を包み込み肉体をサンドイッチされてプレスされる感覚はあまり他人に言えないが好きだ。


夏もひんやりした薄い布団の上に冬用の掛け布団を強いている。

夏用は薄くて圧迫感が足りないのだ。


いつも通り数十分の読書を終え卓上の間接照明の電源を切り、床に就いた。


さて、今日の疲れを癒すために早めに寝るか。


ゆっくりと目を瞑り、睡魔が襲ってくるのを待っていた。


…………


…………


…………


…………


眠れない。


隣のは水田のカエルの合唱のせい?近所の風鈴の静かな音色のせい?


いいや、それは毎日のはずだが。


謎に汗が湧き始める。眠れないことは何度かあった。その時は読書をしたりヨガをして体に睡眠背スイッチを入れてたが…………


(今日は布団から出ちゃだめだ)


本能?というのだろうか?危険信号が僕に布団から出るなと警告している。


出たらどうなる?もし僕が予言者ならその答えをすぐに導き出せただろうな。


布団を内側に折り畳むようにして何かに見られないように身を隠す。


ふと下の階の台所から水滴がシンクに滴り落ちる音が耳に入る。


ポチャン。


いつもなら気にも留めない音が、今日はやけに大きく響く。


自らの感覚が研ぎ澄まされている。


そうだ。ここはあくまで僕の聖域テリトリーだ。それにこんな隙間からならだれが見てもばれないはずだ。


そう楽観視して、折り畳んだ腕から親指と人差し指で刑事ドラマの時のブラインドのように敷布団と掛け布団の隙間から様子を見る。


ふと祖母の昔話が頭をよぎった。布団と言うのは悪いものから自分の身を護るための役割があるらしい。敷布団と掛け布団が隙間をなくすことで悪いものが入り込まないようにしているらしい。


だがもしこの隙間に綻びがあれば――




「…………あっ」



翌朝僕は神社で家のお清めを頼んだ。

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