生活の断片や、ふとした瞬間の感情、季節の移ろいが、率直かつ繊細な言葉で

生活の断片や、ふとした瞬間の感情、季節の移ろいが、率直かつ繊細な言葉で切り取られています。俳句としては自由度の高い表現も見られ、独自の視点と感性が光る作品群だと感じました。

「肘ひき寄せて伸ばす肩」「ブーツの紐をしめる指」「腹までのレギンス」など、日常的な動作や衣類にまつわる身体的な感覚が非常に具体的で、読者もその情景をリアルに想像できます。

「霜月」「冬ぬくし」「冬雲雀」といった季語が、極めて個人的で現代的な光景(スマホ、暖房音、レギンス)と組み合わされることで、一句一句に新鮮な魅力が生まれています。

内省的な深さ: 「おほごとに思へしことも冬雲雀」「枯芭蕉いつそ食べずに生きやうか」など、自嘲や決意、人生への思索が垣間見える句があり、単なる情景描写にとどまらない奥行きを感じさせます。

全体として胸に残る印象が心地よい作品群です。

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