6

春都から瑞綺の話を聞き、会いたがっていた奴らに彼女を会わせる。


一般人を本家に出入りさせたくは無かったが、多忙な俺らが集まるのは貴重だ、と春都に言われ、家が良かった俺は渋々瑞綺をここに連れて来た。


まあ、幹部の中でも1番強い嵐を守ったのだから、彼らも彼女を認めざるを得ないだろう。


2人きりになりたい俺はさっさと言いたい事を言い、話を終わらせる。


とりあえず…。


「受験、お疲れ」


労いは大事。本当は会ってすぐ言いたかった。

静かな声でお礼を言う彼女にらしさが無く、先ほどのモヤモヤをぶつける。


「……はぁ。で?さっきの手慣れたキスはなんだ」


まだ、と言う彼女に、納得のいく答えが返って来ていない俺は眉間の皺が深くなる。


『したかったからしたって言っただろ。"恋人"ってそういうもんじゃねえのかよ。あの女は良くて、私は駄目なのか?』


あぁ………。なんだ。

見ていたのか。

あの女が俺に寄るところを。


『そういうのよくわからないけど、経験豊富な愁が言うんだったらそうなんじゃねえの?』


嫉妬だと言う俺に、ムスッとした言葉が返ってくる。


…が、やっと気が晴れた俺は、もうどうでもよくなり、野生の行動を煽る。


「キス、しろよ。したいんだろ?」


さて、どうするのだろう。


俺の煽りに、目を少し見開いて起き上がり、近付く。


そして、首に手が伸び…

唇が重なる。


『っんん』

『っんっはぁ』


はぁ…怖い。

怖いというか、恐ろしい。


「…たまんねえな」


必死にしがみつき、俺の舌に答えようとする彼女が、愛おしくてたまらない。


本人もわかっていない感情で嫉妬をし、行動で示そうとする子供な彼女は、俺を狂わせる。


『しゅ、う?』

「本能…か。怖えな」


心臓があり得ない速さで動き出す。


『心臓、うるせえぞ』


こんな時でも余裕な声が、彼女の強さと儚さを同時に俺を刺激する。


あぁ。誰にも渡せねえな。こりゃ。


あの日彼女が助けたのが、別の組の人間だったら、と考えると身震いさえする。


他の女なんて、もう無理だろ。


彼女の首に埋もれている俺は、理性がとびそうで。

早く抱きたい感情を、彼女の話してくれた過去で抑える。


でも、まあ、少しずつなら……。


『っっんんっちょ、と。愁』


半分の理性を剥き出しにし、白い首筋を舐める。

腰をグッと引き、自分の足の上に華奢な身体を乗せる。


首から顔を離し、噛み付くようにキスをする。

ジャケットを器用に脱がせば、柔軟剤の香りが鼻を掠める。


『ん、はぁっ…』


そんな小さく微かな喘ぎ声さえも、興奮してしまう俺はギリギリを攻める。


背中に回していた手を服の中に滑り込ませた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る