2
ーキーンコーンカーンコーン
「礼」
ボケーっとそんなことを考えていたら1日が終わっていた。
「瑞綺ー、今日もたっちゃんと図書館寄ってくけど、どうする??」
『ああ、今日はクラブ行くからいいや』
ダルそうに鞄を肩にかけ声をかけてきた莉紗に、そう返す。
「おっけー……わたくし莉紗、今日も頑張ってまいります」
シュピッと敬礼ポーズをした莉紗に、私は笑みをこぼす。
教室内が一瞬静かに騒めいた。
『健闘を祈っとく』
「バイバイ!また明日!」
「じゃあな瑞綺」
手を振る2人に私も軽く手を振り返す。
さて、久々のクラブに顔を出すか。
学校からクラブまで徒歩約20分。
色んな学校の生徒が行き交う交差点を抜け、人通りの少ない路地に入る。
『体、動くか…?』
肩を心配しながら足を進め、曲がり角を曲がった瞬間…
ーーガッッ
『!?!?』
後ろから何者かに口を塞がれ、私は意識を手放した。
ーピッピッピッ
『…ん……』
何かの音で目が覚めた。
「お、起きたか?」
ふわふわとする脳を動かし、目を開ける。
「おい、女」
私はソファの上に横たわっていた。
声のする方を見ると、1人掛けのソファに偉そうに座っている金髪の男。
『…え、ここ、どこ』
ふわふわしている状態が中々治らず、やっと出た声。
ーーガッッ
『…っっ』
男は立ち上がり、私の髪を掴んで無理矢理目線が合わされる。
男の手を振り解こうとした手は後ろで縛られていた。
封印したはずの過去がチラリと蘇る。
…くそ。
「こんな女1人にあのアホ3人はやられたのか?」
……ああ、そういうことか。
前に助けた、嵐という男をイジメていた3人の仲間か。
「探したぞ。男って聞いてたんだけどなあ、ぜんぜんヒットしないからよお。まさかこんなガキだったとはな」
『…っっ』
至近距離にある男の顔面は、わかりやすくキレていた。
「で?お前は黒崎の人間なのか?」
『……』
男の問いに、睨むだけの私。
「もしかして、黒崎の…女、か?」
『…は?』
「それだったら尚更おもしれえなあ」
至近距離で私の顔を舐め回すように見る男。
だんだん頭が周り、こんな状況でも落ち着きを取り戻した私は口を開く。
『違ぇよ、組なんて知らない。ただの高校生だ。イジメが気に食わなくてただ助けただけ。それだけ』
「イジメだ?助けただけだ?あ?女1人でか?舐めてんのかてめえ、嘘つくなよ」
やっと口を開いた私に、男はさらに髪を持つ手の力を強める。
『ってぇな。嘘じゃない。お前もヤクザなのか?だったら悪かったよ、お前の仲間に手を出して』
「…悪かった、だ?」
私の急な謝罪文句に男の手が弱まる。
『もし、イジメられてたのがあんたらの方だったら、そっちを助けてた』
「……あ?」
私の言葉に少し戸惑う顔を見せた男。
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