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『ただいまー』
ーバタバタバタバタッ
「瑞綺!!!」
『わっ!』
リビングから走ってきたお母さんに抱きしめられる。
「喧嘩って?!」
『ああ……クラブの奴らがまじな喧嘩始めちゃってさ、私がとめたんだ。それで…肩に思いっきり拳が入っちゃって……。教官、じゃなくて染谷が手当してくれた。だから大丈夫。ごめん、心配かけて』
考えていなかった言い訳を、高速で頭をフル回転させ思いついた言葉を並べる。
「……そういうことね。もう!心配したんだから!!はやくお風呂入ってご飯食べちゃって!温め直すから!」
完全に信じて安心の笑顔を向けるお母さんが、またバタバタとリビングへ消えていった。
『…ふーーー』
なんとか大丈夫そう、か。
時計を見れば0:00。
そりゃ心配するよな。
しばらくは大人しくしてようか。
あの男……黒崎愁。
怖いし冷たいと感じていたけれど、最後に見せた目は…とても綺麗だった。
ーーー出会いは、簡単に、突然、予告無しに訪れた。
色恋沙汰なんてものは小学校で終わった鈍感で男勝りな私に、目を付けたのは、鋭い目をもつ狼。
喰われるのは時間の問題。
もうすぐ2人は惹かれあい、
ーーー落ちる。
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