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「こう見えて医師免許ちゃんとあるから安心してね」
ボーッとする私の顔を覗い込み、微笑む松山さん。
『あいつらは、何なんですか』
「あい、つら?……フハッハッハ」
私の問いに愉快な笑い声が返ってくる。
「あいつらなんて言える女の子、嬢ちゃんくらいだよ」
『危ない人なんですか』
「まぁ、ねぇ。でも嬢ちゃんをここに連れて来たってことは……まぁ安心していいと思うよ」
話しながら器用に手当てをしていく松山さん。
「詳しい話は彼らに聞きなさい、俺は治療するのが仕事だからね」
『…はい』
「終わったか」
私の返事と共にガンッと扉が開き、長身の男が入って来る。
「いきなり入って来るなって言ってんだろ」
「まだなのか」
私を挟んで低い声が響き合う。
「嬢ちゃん、痛み止め出しておくから飲んでね。あと、数週間は安静にしてね」
手当が終わったらしい松山さんが、袋を差し出す。
『あ、りがとうございます』
私は、はだけた道着をささっと着て頭を下げる。
「家まで送る、車乗れ」
長身の男の言葉に少しホッとして、もう1度松山さんに頭を下げ、でかい体を追う。
沈黙の中ビルを出て、先ほどの車に乗り込んだ。
「瑞綺ちゃん、肩大丈夫だった?」
すでに車に乗っていた春都さんが、振り向きながら心配そうにこちらを見た。
『な、なんとか』
「そっか。家の住所言える?送るよ」
『ありがとうございます』
少し安心した顔の春都さんに、住所を言い、背もたれに背中をくっつける。
そして、聞く。
『あなたたちは、何なんですか』
「え?」
『なぜ私はこの状況下にいるんですか?私が助けようとした彼とどういった関係が?そっちこそ名前は?住所は?』
春都さんの軽い返事に、私はつらつらと疑問を言う。
「……ふっ」
隣で微かに聞こえた声は、空耳ではないだろう。
「そう、だよ、ね。だよねだよね。訳わかんない状況だよね。僕から説明させてもらうよ」
『どうぞ』
春都さんはクリスマスに向けてキラキラした街並みを、運転しながら口を開き始めた。
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