4
『ハアッハアッ』
私は近くの壁にもたれ息を整えた。
ポケットで震える携帯。チラッと見ると、"お母さん"の文字。
ああ。帰りたい。
ードン
車の扉が閉まる音。
さっきのライトは車のランプか。
「嵐!!」
車から出てきた男が伏せている男に駆け寄り、体を持ち上げる。
ああ、良かった、そいつの仲間か。
『生きてるんですか?』
「!?」
私の声にビクッとする肩。
「お前は、誰だ」
先程の焦った声が嘘みたいに、低い声が倉庫に響く。
『そいつが、…ッッハァ…いじめられてたから』
肩でゆっくり息をしながら声を出す。
「!?お、お前がこいつらをやったの…か?」
『生きてるんですか?』
男の疑問に、食い気味に先ほどと同じ疑問を被せる。
「あ……あぁ、息はしてる」
男は嵐と呼ばれた男を起こし、こちらを凝視している。
『…ハアッ、なーんだ…良かっ、た』
私はゆっくりと立ち上がり声を絞り出す。
「桜木さん!!!!」
もう1台の車の停車音とともに男が走って来た。
「連れて行きます!」
「…ああ、頼んだぞ」
桜木と呼ばれた男から嵐という男を担ぎ、バタバタと車に消えていった。
そして、また車から誰か降りて来る。
「おい、春都。なにしてんだ。帰るぞ」
タバコを片手に倉庫に入って来た、長身の男。
「愁、こいつが嵐を守ったと」
「あ?」
こいつと言われさされた指の先にいる私に、目を写した長身の男。
!?
こっっっわ
刃物で刺されたときの何倍もの怖さを与えてくる、目にビクッとしてしまう。
「どこの輩だ」
『…ッッ、や、から?』
「…?……てめえ女、か?」
「え!??」
『どこをどう見ても……ッッ、女ですけど』
失礼だな、こいつ。
確かに私の今の服装は、ジークンドークラブの道着に、真っ黒のロングジャケット、フードを被り長い髪が隠され、顔にはマスク。
っていうか。
私の声そんなに低いの?え?ショック。
「組のモンじゃ無さそうだな」
『…一般人で、す』
「こんなところで何してんだ」
『…イジメを止め、ようと』
「お前…肩から血出てんぞ」
『…病院行きます。じゃ』
長身の男と噛み合っているのかわからない会話をし、男たちの横を通り過ぎようと足を進める。
「乗れ」
『!?!?』
ポケットにつっこんでいた手を引っ張られ、車の後部座席に強引に入れられる。
『…ったいな!ちょっと!?』
「春都、出せ。松山のとこだ」
「はいよ」
私の隣に座って来た長身の男が、運転席に座る春都という男に指示を出す。
『自分で行けます。すぐ降ろしてください』
「……」
無視??
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