小説投稿サイトとAI〜利用と規制の狭間で〜
雨宮 徹
小説投稿サイトとAI利用
AI小説がランキング上位を独占したことを受け、各投稿サイトが対策を発表しました。今回は、各サイトについて分かりやすくまとめます。
※2025年11月20日執筆
※カクヨム中心の記事構成です
◼️カクヨム
今回の騒動の中心であり、かつ、KADOKAWA運営のため動向が注視されていました。結果としては、「タグ付けのお願い」という形になりました。あくまでも、お願いベースであり強制ではありません。近く開催される「カクヨムコンテスト11」ではタグ付け必須です。カクヨムの発表文に、このような文言があります。
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タグがあることによってランキング等で不利になることはありません。あくまでコンテスト内で参加者の条件を揃えるための措置として、ご配慮をお願いいたします。
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「ランキング等」という言い回しが気になります。個人的な考えですが、タグ付けを一つの参考として、大賞含めた作品を選ぶのではないでしょうか。タグは「①AI補助利用」「②AI本文一部利用(50%未満)」「③AI本文利用(50%以上)」と三段階に分かれています。①と②が選考対象になるのでは?という考えです。
③の場合、著作権の関係がややこしく出版に踏み切るのは難しそうです。また、③を許容するならば、「星新一賞」のように「AIを使用しても受賞の可能性があります」と明記するのではないでしょうか。あくまでも、個人的な考察です。
コンテスト以外ではお願いベースなので、タグを付ける人がどれだけいるか気になります。たとえば、二、三文の言い回しを修正した場合、②に該当しますが、付ける人・付けない人で分かれます。ここでタグ付けしなければ即アウトかというと違います。他サイトと違い、禁止ではないところが問題をややこしくしている気がします。
◼️アルファポリス
AI生成作品の「出版申請」「コンテスト参加」を明確に禁止しました。アルファポリスが規定する「AI生成作品の範囲」は、下記の通りです。
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作品の大部分において文章(漫画や絵本の場合は画像を含む)の作成を主目的として生成AIツールを利用して作られた作品が対象となります。プロットの検討や文章の校正など、補助的な利用にとどまる場合は「AI生成作品」の対象外となります。
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カクヨムでは「文章の校正をAIに行わせる」ことについては「AI補助利用」のタグ付けが推奨されています。校正での利用をどう扱うかでカクヨム・アルファポリスで差があります。
アルファポリスの場合は、「出版や賞金が絡むものはすべてNG」としています。逆に言えば、普段投稿する分にはタグ付けの推奨もありません。
◼️Tales
Talesは「生成AIで作られた可能性のある作品を自動で判定する仕組みを開発中」としています。その上で、「今後はAIで作られた可能性が高い作品が大量に投稿された場合、新着欄に同一クリエーターの作品が並びすぎないようにしていきます」と調整中です。
「可能性のある」というところがキーワードです。「AI生成作品の可能性」をどう定義・判定するか気になります。ランキングは「きちんと読まれた作品を評価する設計」であり、「AI作品が不当に有利にならないよう、改善を進めていきます」としています。
カクヨムと異なるのは、「AI生成の可能性」というブラックボックスな点です。カクヨム自体もお願いベースではありますが、使用具合を定義をしています。運営側からの定義がない場合、どこからがAI作品として扱われるのか、あいまいで作者側は不安になる気がします。
◼️まとめ
AI作品についての見解を簡潔に書きました。こうしてみると、アルファポリスが一番分かりやすい気がします。AI作品の定義をしつつ、明確に禁止しています(お金が絡む場合のみ)。今後、他サイトがどう動くのか注目したいと思います。
小説投稿サイトとAI〜利用と規制の狭間で〜 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993
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