祠の番人、学園で静かに無双する

マスターボヌール

第1話「問題児、学園に現る」


「兄さん、起きて。今日は入学式だよ」


優しい声に目を覚ますと、銀色の髪が視界いっぱいに広がった。


「……リゼ?」


「もう。昨日あんなに早く寝たのに、まだ眠いの?」


双子の妹——リゼ・アストラルは、呆れたような顔で俺を見下ろしている。いや、呆れているというより、心配しているような表情だ。


俺は体を起こし、窓の外を見た。


春の朝日が、村を優しく照らしている。今日から俺たちは、この村を離れる。統合魔導学園——世界最高峰の魔法教育機関へ。


「兄さん、本当に大丈夫?学園は村と違って、色々と……」


リゼの言葉が途切れる。


彼女が何を心配しているのか、俺にはよく分かっていた。


俺の名前はカイ・アストラル。勇者の末裔として生まれ、特別な力を持つはずの人間。


でも、その力は——制御できない。


「大丈夫だよ、リゼ。今度こそ、ちゃんと制御できるように頑張るから」


「……うん」


リゼは複雑そうに微笑んだ。その笑顔の奥に、何か言いたげな影が見えた気がした。


***


村を出発する馬車の中で、俺は祖父の言葉を思い出していた。


『カイ、お前は特別な子だ。いつか分かる時が来る』


祖父はそう言い残して、三年前に亡くなった。両親はもっと前に、祠を守って死んだ。


祠——俺の家の裏にある、誰も近づかない場所。


そこには、世界を震撼させた「竜王」と「魔王」が封印されているという伝承がある。俺の一族は、代々その祠を守る番人だった。


「兄さん、また考え事?」


「ああ、ちょっとね」


リゼは心配そうに俺を見つめている。


彼女は剣も魔法も天才的で、村では「勇者の再来」と称えられていた。一方、俺は——。


「カイ様、リゼ様、もうすぐ学園が見えますよ」


御者の声に、俺たちは窓の外を見た。


遠くに、巨大な城のような建造物が見える。それが、統合魔導学園。


俺の新しい生活が、今始まろうとしていた。


***


統合魔導学園の正門は、想像以上に壮大だった。


石造りの巨大な門には、複雑な魔法陣が刻まれている。結界だ。学園全体を守る、強力な防御魔法。


「すごい……」


リゼが感嘆の声を上げる。彼女ですら圧倒されるほどの魔力が、この門から感じられる。


「新入生の皆さん、こちらへどうぞ!」


明るい声に導かれ、俺たちは入学式の会場へと向かった。


大講堂には、すでに数百人の新入生が集まっている。みんな期待と緊張で、顔を紅潮させていた。


「アストラル兄妹だ」

「勇者の末裔って、あの二人?」

「妹の方はすごいらしいけど、兄は……」


周囲の囁き声が聞こえる。


俺はそっと拳を握りしめた。


***


「それでは、新入生代表、リゼ・アストラル!」


司会の声に、リゼが壇上へと上がっていく。


場内から大きな拍手が起こった。


「本日、このような素晴らしい学園に入学できたこと、心より感謝いたします」


リゼの声は、凛として力強い。


「私たち新入生は、この学園で学び、成長し、やがて世界を支える力となることを誓います」


また大きな拍手。


俺は後列で、小さくなって聞いていた。


リゼは完璧だ。容姿も、才能も、人格も。俺とは違う。


「カイ・アストラルもいるのか」

「制御できない魔力を持つって聞いたけど」

「危なくないのかな……」


背後からの囁き。


俺は深呼吸をした。大丈夫。今度こそ、制御できる。そう信じている。


入学式が終わり、いよいよ最初の試練——入学検査が始まる。


***


「では、新入生の皆さん。一人ずつ、こちらの魔力測定装置に触れてください」


担当教師の指示に従い、生徒たちが順番に装置に手を置いていく。


装置は透明な水晶玉のような形をしていて、触れた者の魔力量を測定し、色で表示する仕組みだ。


青い光——平均的な魔力。

緑の光——やや高い魔力。

黄色の光——かなり高い魔力。


「次、リゼ・アストラル」


リゼが装置に手を置く。


瞬間、眩いばかりの金色の光が溢れ出した。


「おお……!」

「金色だ!最高レベル!」

「さすが勇者の再来!」


場内がざわめく。


リゼは少し恥ずかしそうに、でも誇らしげに微笑んだ。


「素晴らしい。次、カイ・アストラル」


俺の名前が呼ばれた。


周囲の視線が、一斉に俺に集まる。その中には、明らかな不安と警戒が混じっていた。


俺はゆっくりと装置に近づいた。


『大丈夫。落ち着いて。制御できる』


自分に言い聞かせながら、水晶玉に手を置く。


その瞬間——。


***


ビリビリビリビリッ!


激しい電流のような感覚が体を駆け抜けた。


「え——」


次の瞬間、装置が激しく発光する。


青でも、緑でも、黄色でも、金色でもない。


それは、全ての色が混ざり合ったような、混沌とした光だった。


「な、何だこれは!?」

「魔力が測定不能!?」


教師たちが慌てふためく。


そして——。


ドォンッ!


鈍い爆発音とともに、装置が粉々に砕け散った。


「きゃあああっ!」


周囲の生徒たちが悲鳴を上げて後ずさる。


同時に、学園全体を覆う結界が一瞬だけ——本当に一瞬だけ——停止した。


ウウウウウウ……!


けたたましい警報音が、学園中に響き渡る。


「結界が!結界が一時停止した!」

「なぜだ!?何が起きた!?」


教師たちが右往左往する。


「す、すみません!また僕が……」


俺は頭を下げた。


いつものことだ。俺が何かに触れると、必ず何かが壊れる。魔力が暴走して、制御できなくなる。


「カイ君、大丈夫か?怪我はないか?」


担当教師が駆け寄ってくる。でもその目には、明らかな恐怖があった。


「はい、大丈夫です。本当に申し訳ありません」


「い、いや、君が悪いわけじゃ……」


教師の言葉は、どこか歯切れが悪い。


俺は周囲を見回した。


生徒たちは、俺から距離を取っている。恐怖と警戒の目で、俺を見つめている。


リゼだけが、心配そうな顔で俺を見ていた。


「兄さん……」


その表情には、同情と——ほんの少しの困惑。そして、何かを言いたげな、揺れる感情が見えた。


***


「緊急招集だ。全教師は理事長室へ」


放送が流れ、教師たちが慌ただしく立ち去る。


残された新入生たちは、ざわざわと囁き合っている。


「あれが、制御不能の問題児……」

「装置を壊すなんて、ありえない」

「結界まで止めたんだろ?危険すぎるって」


その言葉の一つ一つが、俺の胸に突き刺さる。


「兄さん、気にしないで。みんな、慣れれば分かってくれるから」


リゼが優しく声をかけてくれる。


でも、その声は少しだけ震えていた。


「……うん、ありがとう」


俺には分かっていた。リゼは優しい。いつも俺を励ましてくれる。


でも、彼女だって辛いはずだ。


完璧な妹として期待される一方で、問題児の兄を持つ。周囲の目を気にしないわけがない。


「慣れる」なんてことは、ない。


村でも同じだった。最初は期待され、やがて恐れられ、最後は避けられた。


「新入生の皆さん、これより寮の部屋割りを発表します」


別の教師が現れ、部屋割りの用紙を配り始める。


リゼは三人部屋。明るそうな女子生徒二人と一緒だ。


そして、俺は——。


「カイ・アストラル君は……個室です」


「個室?」

「新入生で個室って、珍しいな」

「ああ、きっと……安全のためだろ」


またざわめきが起こる。


個室。それは特別扱いではなく、隔離だ。


俺を他の生徒から離すための、学園の配慮。


「そっか」


俺は小さく呟いた。


リゼが何か言いかけたけれど、俺は先に歩き出した。


***


寮の個室は、想像以上に広かった。


ベッド、机、本棚、そして大きな窓。窓からは、学園の中庭が見える。


「ここが、俺の部屋か……」


荷物を置き、ベッドに座る。


静かだ。とても静かだ。


村にいた頃は、リゼがいつも一緒だった。朝起きれば妹の笑顔があり、夜眠る前には他愛ない話をした。


でも、ここでは——。


コンコン。


ノックの音に、俺は慌てて扉を開けた。


「リゼ?」


「うん。兄さん、部屋見に来た」


リゼが部屋に入ってくる。


「広いね。私の部屋より全然大きい」


「そうだね」


「……兄さん」


リゼが真剣な顔で俺を見つめる。


「私、兄さんのこと信じてるから。絶対に、制御できるようになるって」


「ありがとう、リゼ」


俺は微笑んだ。


でも、リゼの目には、迷いの色が見えた。


「兄さんは優しい。誰よりも頑張ってる。それは分かってるの。でも……」


リゼが言葉を詰まらせる。


「みんなが怖がるのも、分かるの。だって、本当に危ないこともあるから」


「リゼ……」


「私、兄さんを守りたい。でも、どうすればいいか分からなくて」


リゼの目に涙が滲んだ。


「私、兄さんのために何ができるんだろう」


「リゼ、無理しなくていいよ」


俺は妹の頭を撫でた。


「君は君の道を行けばいい。俺のことは、俺が何とかするから」


「でも——」


「大丈夫。俺、頑張るから」


リゼは俺を見つめ、やがて小さく頷いた。


「……うん。じゃあ、また明日ね。おやすみ、兄さん」


「おやすみ、リゼ」


リゼが部屋を出て行く。


扉が閉まり、再び静寂が訪れた。


俺は窓の外を見た。


遠くに、小さな光が見える。学園の外、遥か彼方——故郷の村の方角。


あそこに、祠がある。


魔王と竜王が封印されているという、あの祠が。


「父さん、母さん……」


俺は小さく呟いた。


「俺、どうすればいいんだろう」


答えは返ってこない。


ただ、春の夜風が、静かに部屋を通り抜けていくだけだった。


***


その夜、俺は不思議な夢を見た。


暗闇の中に、俺は立っていた。


足元には何もなく、空には何もない。ただ、暗闇だけが広がっている。


「……誰だ?」


誰かがいる。


いや、二人だ。


巨大な影が、俺の前に立っている。


一つは、紫黒のオーラを纏った人型の影。もう一つは、黄金の鱗を持つ、竜のような影。


「器よ……」


低く、重い声が響く。紫黒の影からだ。


「お前は選ばれた。だが、器は空であってはならぬ」


「意志を持て。力を恐れるな」


「誰ですか?」


俺は問いかけた。


黄金の影が動いた。


「恐れるな、小僧。力とは、意志があって初めて意味を持つ」


「お前の中には、我らの力が眠っている。だが、それを引き出すのは——お前自身の覚悟だ」


「意味が……分かりません」


「まだ早い」


紫黒の影が静かに言った。


「だが、時は近い。お前が真に覚悟を決めた時——全てを思い出すだろう」


「思い出す……?」


「我らは常に、お前と共にある」


黄金の影の声が、徐々に遠ざかっていく。


「待って!待ってください!あなたたちは誰なんですか!」


俺は叫んだ。


でも、暗闇は深まるばかり。


「恐れるな、器よ」


「お前は、一人ではない」


二つの声が重なり、やがて消えていく。


そして——。


***


「はっ!」


俺は飛び起きた。


朝日が窓から差し込んでいる。夢だったのか。


でも、あの声は妙にリアルで——。


「器……覚悟……思い出す……?」


断片的な言葉が、頭の中で反響する。


俺は右目を押さえた。なぜか、疼くような感覚がある。


「何だったんだ、今の……」


頭を振って、俺は身支度を始めた。


今日から、本格的な学園生活が始まる。


鏡を見ると、自分の顔が映っている。


黒い髪、平凡な顔立ち。そして——右目が、明らかに疼いている。


「また……」


俺は右目を軽く押さえた。


不思議なことに、押さえると疼きが治まった。


「よし」


深呼吸をして、俺は部屋を出た。


***


食堂は、朝から大勢の生徒で賑わっていた。


みんな楽しそうに朝食を取り、談笑している。


俺は端の席に座り、一人で食事を始めた。


「ねえ、あれが昨日の……」

「そうそう、装置壊した子」

「近づかない方がいいって、先輩が言ってた」


聞こえないふりをして、俺はパンを齧る。


「兄さん!」


リゼが友達二人を連れてやってきた。昨日、同じ部屋になった子たちだ。


「おはよう、リゼ」


「一緒に食べよ!」


「いや、俺は一人で——」


「ダメ!」


リゼは有無を言わさず、俺の向かいに座った。友達二人も、少し戸惑いながらも座る。


「えっと……カイ君、だよね。私、マリア。よろしくね」


「私はソフィア。リゼちゃんからいっぱい話聞いてるよ」


二人は明るく挨拶してくれた。


でも、その目には少しだけ、警戒の色があった。


「よろしく」


俺は小さく答えた。


リゼは俺のために、こうして友達を連れてきてくれたんだろう。


でも、それが逆に俺を苦しめる。


妹に気を使わせている。


その事実が、俺の胸を締め付けた。


***


最初の授業は、魔法理論だった。


大教室に、新入生が全員集まっている。


「おはよう諸君。私が魔法理論を担当するグレン教授だ」


白髪の老教授が、杖をコツコツと鳴らしながら教壇に立つ。


「魔法とは何か。それは、世界に満ちる魔力を、我々の意志で操る技術だ」


教授の説明は明快で、分かりやすい。


俺はメモを取りながら、真剣に聞いていた。


「では、実際に感じてみよう。各自、目を閉じて魔力の流れを感じてみたまえ」


生徒たちが一斉に目を閉じる。


俺も目を閉じた。


集中する。世界の魔力を感じる。


すると——。


その瞬間、右目が疼いた。


『流れている』


俺には見えた。いや、感じられた。


世界中を流れる、無数の魔力の糸。それが複雑に絡み合い、大きな流れを作っている。


しかも、右目が疼くたびに、その流れがより鮮明になっていく。


まるで、世界の構造そのものが、目の前に展開されているような——。


「……すごい」


「ほう、もう感じ取れたかね、カイ君」


目を開けると、グレン教授が俺の前に立っていた。


「魔力の流れが、見える……感じる、というか」


「素晴らしい。魔力感知能力が高いようだ」


教授は満足そうに頷いた。


周囲の生徒たちが、ざわざわと囁き始める。


「あの問題児が?」

「魔力感知って、上級者向けのスキルじゃん」


「しかし」


教授の表情が曇る。


「制御ができないのは、もったいないのう」


その言葉に、俺はうつむいた。


「次の実技で、少し様子を見させてもらおう」


***


昼休み、俺は一人で図書館に向かった。


制御の方法を調べるためだ。


『魔力制御の基礎』

『初心者のための魔法入門』

『暴走魔力の抑制法』


様々な本を手に取り、読み漁る。


「……ダメだ。どれも一般的な方法ばかり」


俺の魔力暴走は、普通の方法では制御できない。それは、村で散々試した。


「困ったな……」


ため息をつくと、右目がまた疼いた。


「また……?」


俺は右目を押さえる。


すると、不思議なことに——本の文字が、違って見えた。


いや、文字そのものではなく、文字の"奥"に隠された意味が、直接頭に流れ込んでくるような感覚。


『この理論は古い。真の制御法は、意志と魔力の同調にある。恐れが、制御を妨げる』


「え……?」


今、確かに——本には書かれていない"真実"が、見えた。


そして、右目が疼くと同時に、世界の魔力の流れも見えた。図書館中を巡る、無数の魔力の線が。


「これは……魔力感知と、右目の疼きが……繋がってる?」


俺は慌てて本を閉じた。


右目の疼きは、止まっていた。


「何が起きてるんだ……」


***


午後は、待ちに待った——いや、恐れていた実技の授業だった。


訓練場に、新入生が集まる。


「では、基礎的な魔法の実技を行う。まずは、光の玉を作ってみよう」


担当教師が手本を見せる。


手のひらの上に、小さな光の玉が浮かぶ。


「簡単だろう?では、各自やってみたまえ」


生徒たちが一斉に魔法を試す。


あちこちで小さな光の玉が生まれていく。


リゼの光の玉は、特に大きく美しい。


「さすがリゼちゃん!」

「綺麗!」


周囲から歓声が上がる。


そして——俺の番だった。


「カイ君、無理はしなくていい。できる範囲で」


教師が気遣ってくれる。


「……はい」


俺は杖を握った。


『落ち着いて。制御できる』


魔力を集中させる。


手のひらに、小さな光が——。


「できた……?」


ほんの一瞬、光の玉が形を成した。


でも、次の瞬間。


バチバチバチッ!


光が暴走し、激しく膨張する。


「危ない!」


教師が結界を張った。


ドォンッ!


爆発的な光が、結界に阻まれる。


結界がなければ、また訓練場を破壊していただろう。


「はあ、はあ……」


俺は息を切らしながら、杖を落とした。


「カイ君、今日はここまでにしよう」


教師の声は優しかったが、目は疲れていた。


***


訓練場を出ると、夕日が学園を照らしていた。


俺は一人、中庭のベンチに座り込んだ。


「ダメだ……やっぱり制御できない」


両手で顔を覆う。


このままじゃ、学園にも居られなくなるかもしれない。


リゼに迷惑をかけ続けることになる。


「俺、どうすれば……」


「兄さん」


リゼの声に、顔を上げる。


「大丈夫?」


「……ごめん、リゼ。また迷惑かけて」


「迷惑なんかじゃないよ」


リゼは隣に座った。


「兄さんは悪くない。ちゃんと頑張ってるもん」


「でも——」


「でも、じゃない」


リゼは強い口調で言った。


「兄さんは、私の大切な兄さんなんだから」


その言葉に、俺の目に涙が滲んだ。


「……」


二人で並んで、夕日を眺める。


でも、俺の心の中では、別の感情が渦巻いていた。


『このままじゃダメだ』

『もっと強くならないと』

『制御できるようにならないと』


そして、その夜——。


俺は再び、あの夢を見ることになる。


***


理事長室。


大きなモニターに、カイの姿が映し出されていた。


「これが、器……」


初老の男性——学園理事長グラディウスが、呟く。


「魔力測定装置を破壊し、結界を一瞬止めた」


「しかも、魔力感知能力も高い」


「間違いない。あの子は、封印の器だ」


理事長は立ち上がり、窓の外を見た。


遥か遠くに、小さな光が見える。


カイの故郷——そして、封印の祠がある方角。


「ついに来たか……」


「100年に一度の、器が」


理事長の目が、鋭く光った。


「監視を続けろ。あの子の成長を、全て記録するんだ」


「はっ」


影の中から、部下が答える。


「封印が不安定になってきている」


「器が目覚めるのは、時間の問題だ」


理事長は、再びモニターのカイを見つめた。


「カイ・アストラル……お前は、世界の運命を握る鍵だ」


モニターの中で、カイは一人、祠の方角を見つめていた。


その右目が、一瞬だけ——金色に光った気がした。


---


【第1話:完】


次回、第2話「初めての"夢"と暴走する魔力」に続く。


カイを待ち受ける、不思議な夢の正体とは——?

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