闇からの訪問者

杉 孝子

第1話 闇からの訪問者 ―前日譚―

 闇からの訪問者 ―前日譚―


ねぇ、わたしを覚えてる? 

あなたの影のように

寄り添ってたあの頃


左手首に残る未練

空になった薬瓶

詰まっているのは

夜の孤独


あなたのSNSを見ても

今は、もう開かない扉

プロフィールの写真だけが

あの頃のままで


あの頃から増えた数字に

体内で蠢く物が

出てきそうで


仕事帰りのあなたを

偶然を装い、会おうか…

それとも、あなたの聖域で

「おかえり」と出迎えようか…


新しい瓶の蓋を開けて

私の長い夜はふけてゆく

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