女性恐怖症が行く貞操逆転世界配信生活

@Samiyu

第1章 転生直後の翔くん

第1話 これから始まるハーレムライフ!(偽)

「お願いします~~~~~~~~!!!!!」

「ふぁっ!?」


 急に爆音で聞かされる懇願の声に驚き目が覚める。

 此処はどこだろうか、地面もなく広さもわからないただ真っ白な景色がどこまでも続く空間、所々に窓のようなものがあり、まるで夜空を白黒反転させたようにも見える。

 自分は地面に立っていないようだがなんだか不思議と恐怖も違和感も感じない。

 目の前にはローマ帝国とかに居たんじゃないかって思うような布を巻き付けたような衣装の女性が頭を下げていた。


「え、どういう状況なの?」

「異世界に…というか平行世界に転生してほしいんです!!」


 これはあれか、異世界転生というやつか?

 そりゃあ俺も男だし、異世界に転生してチートスキルで大活躍!からのモテモテ人生楽勝コースで楽しく暮らしたいと思ったことはあるけど、もしかしてそういう類なんだろうか?


「これって、あれですかね?チートもらって異世界行って巨悪と戦って欲しいとかそんな奴?てか、もう頭上げてくださいよ。お姉さん誰です?」


 がばっと勢いよく頭を上げる彼女。

 きれいな女性だが、なーんか悲壮感のある顔で、目の下にくま作ってるし、瞳孔開いちゃってる。


「ありがとうございます!!私は女神的な奴です!」

「いやっ、的なやつってなんすか!?」

「いやー、一部の世界の管理任されてまして、まぁ世間一般的には神に当たるかなぁって。でもでも、別にめっちゃすごい力とか無いですし、管理してるのも本当に極々一部の世界なんで…。」


 うーーん、確かに”的”なやつ…。


「ま、まぁ貴方のことは分かりました。で、俺はなんでこんなところに?」

「あ、貴方は私の管理している世界で死んじゃった魂なんですけどね、実は私の管理している別の世界で、ちょっと人類絶滅の危機に陥っていまして、それを救ってほしいなぁって…。」

「重!?え、人類絶滅の危機!?”ちょっと”とかでごまかせないくらいヤバイの押し付けないでくださいよ!?」

「だ、大丈夫です!結構ガチ目にヤバいんですけど、貴方が転生してくれたらもう少し持ちこたえられるはずなんで!!」


 それから彼女の説明を聞いた結果。

 その世界は自分の元居た世界から派生した平行世界で、ある時から男性の出生率が落ち込み始めたのだという。

 一時期はかなり人口が減ったそうだが、人工授精の技術が確立し、かなり持ち直したとのこと。

 だが、男性の出生率はさらに低下の一途をたどっていく。

 原因は男性の弱体化。

 男性を妊娠すること自体は前とほぼ変わらず50%くらいあるそうなのだが、そこから出産に至るまでに流産になる可能性が極端に高く、出産後も成人になるまでに生きていられる男性は多くないのだとか。

 結果的に現在では男女比が1:100を超え、今もなお差を開き続けているのだとか。


「それは…ヤバいっすね。」

「そうなんです!ヤバいんです!!」


 つまりこれはあれだ、貞操逆転世界への転生だ!!

 やったぜ!男の夢!どこへ行ってももてはやされ、カワイ子ちゃんとウハウハーレム生活開幕ってことですね!


「なんか、あの世界の女性どんどん飢えた獣のようになるし、体も大きく逞しくなって、法整備前は性犯罪が横行して…………。」


 はぁ~俺の春はついに来たんですね!

 どうしよう、姉妹とかいたらやっぱりデレデレ甘えてきて、『○○君はお姉ちゃんと結婚するんだよね~?』『もう!お姉ちゃんやめてよ!お兄ちゃんは私のなの!ねねっ!ぎゅ~~ってしてもいい?お兄ちゃん?』とか言われたりして…。むほーーー!!


「男性陣はそんな女性に恐怖心を抱くようになり、今ではまともに結婚することも稀になりました…。そりゃあ、結婚しなくても精子の提供さえすれば義務は果たせますし、結婚してまともに屈強な女性と性行為なんてしたら男性の体が持つわけもないですし…………。」


 学校には幼馴染とか隣の席の女の子とか、委員長キャラも結構好きなんだよね。

 『制服が乱れてますよ!ちゃんとしてください。貴方は本校の貴重な男性なんですから……私にとっても…(ボソッ)』とか言ってきたりして…。っくぅぅぅ~~~~~!!


「そんな世界でもやはり例外はあって、貴方の魂を入れる予定の栗原 翔くりはら かけるさんは女性への恐怖心がかなり低い方でして、10歳にして配信活動をはじめ、女性には男性という存在の認知をして免疫を付けさせ、男性には女性を必要以上に怖がらないように呼び掛ける正に聖人君子とも呼べる活動をされて…いたんですが…………。」


 いやいや待て待て、シチュエーションは何も学校だけではないぞ俺。スーパー、飲食店、図書館、病院、これは女の子の幅も広がるし、プレイの幅もぐふふふふ!!

『あら、寝てなきゃダメじゃない。ちゃんと休まないと治らないわよ?それとも直したくないのかしら?私と一緒にいたいから…。それじゃあ少しだけ、”夜更かし”しましょうか♡』とか言われちゃったりして!!うおぉぉぉぉぉ!!!!


「そんなわけで貴方に転生してほしいんです…。あの聞いてます?」

「もちろんです!いつでも転生できます!!」

「っ!?ありがとうございます!!」


 いやぁ、早く転生したいなぁ待っててくれまだ見ぬハーレムライフよ!

 っと、そう言えば。


「そう言えば人類絶滅の危機を救うとか言ってましたけど、具体的にどうすれば…?」

「そのことは気にしないでください!あなたが転生さえしてくださればそれだけで猶予が生まれるので!あとは可能な限り生きてさえいてくだされば。」

「そうですか、じゃあ万事問題ないです!」

「ありがとうございます!!それではもう時間もないので転生させますね!」

「よろしくお願いします!」


 これが俺こと栗原 翔くりはら かけるとかいう馬鹿垂れが生まれてしまった悲しい物語の幕開けだった。

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