百人目はプロポーズ
縞間かおる
①
「なんだと!!」
怠惰な雰囲気を漂わせ、佐奈は言葉を繰り返す。
「だからさ~ 私の“百人目”の相手として
その長女の言葉を耳にして次女“
「お姉様……それは
「決まってるでしょ!あいにくと袖にされたけどね」
「この恥晒しが!!」
当主の怒号がお屋敷の吹き抜けの天井にまで反響した。
「貴様!! 何という事をしてくれた!!! 貴様のような売女は見るのもおぞましい!! 本当に貴様の母親そのものだな!!!」
怒鳴りつけられても佐奈は“どこ吹く風”の
「“人”の母親を追い出しておいてよく言うよ。この腐れチ●ポが!」
由緒ある当主はこの侮蔑の言葉に猛り狂った。
「この下衆が!!売女が!!」
執事の制止も振り切って佐奈を殴る蹴るして床に転がして行く
この当主の激高に割って入ったのは妃苺の母である後妻の
和花子は、よろよろと身を起こした佐奈に、思いっ切り平手打ちを食らわした。
「少しは妃苺の心の痛みを知りなさい!」
「言われなくても!!」
そう言って口に溜まった血をペッ!と吐き、床に投げ出されたバッグを拾い上げ
「あばよ!」と捨て台詞を残して出ていく佐奈の背に
「お姉様!」と叫ぶ妃苺の声だけが虚しく響いた。
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