掃除屋JKちゃんずのメカバトルレポート
こぱか
第一話 クリーニング・ガールズ
1-1
空は
そんな
その取り残された一台に、
そうして、荷台の上に『何か』が立ち上がった。
その『何か』は、人型だった。
――
それは、
そうは言っても、そんな兵器は日本の
「やっちゃったなあ……」
その
「……これってさ……れえなたちのせい?」
れえなが聞いた。
「まあ、そうなるね」
「……へへ」
れえなが引きつった笑みを
『
しかし、
『そこの
ふいに、そんな
――
『聞こえなかったのか! すぐに機体を――』
それには答えず、テロリストの機体が
SAT機があわててシールドをかかげた。シールドはみるみるうちに穴だらけになっていく。その間に、テロリスト機は全速力で
テロリスト機の体当たりが
さらに、テロリスト機は
クリーニング屋に
「あちゃ~……」
「ねえ
「まあ、そうだろうね」
「……へへ」
涙目のれえなが笑みをひきつらせる。
――
テロが
そして、
まあ、今まさにそのオペレーションに失敗したばかりなのだが。
*****
午後六時五十二分。
「「……こいつのせいです」」
鈴理とれえなは、お互いを指さしてそう言った。
「いや、れえながでかい声出したのが原因だから!」
「そもそも鈴理がいじわるしたのが悪いんじゃん!」
「だまれ。少しは
「おまえらのレポートを読んだが……なんだこれは。ふざけているのか」
二人がばつの悪そうな顔をするのを
「『スズリとレーナの両名は、テロリストたちの武器の受け取り場所へとバスで向かった。車内でレーナが
「ね、ボス! 悪いのはわたしを起こさなかった鈴理のほうなんですよ?」
「バスで
「だって眠かったんだもん! っていうか、起こしてくれたっていいのに!」
「だまれ」
「『スズリはテロリストを“
「ほら、ボス。悪いのは
「ちがっ……! しょーがないよ、
「そもそも寝るのが悪いんだよなあ」
「『
「……ふざけているのか」
『ハードボイルド』を
「「すみませんでした」」
鈴理とれえなは
――国内における
そこで生まれたのが、『
『掃除屋』は
しかし――
「さっき、大ボスから
千田が言う。
「今から二十時間後――明日の十五時に、
殺処分。
つまり、鈴理とれえなは今回のミスが
「「えぇ~~~っ!?」」
二人が
「おまえらのような
れえなが泣きそうな顔で言う。
「ちゃんと
鈴理が口をとがらせて言う。
「私だって人間です。ミスをするのは当たり前じゃないですか」
しかし、千田はためいきをついて、かぶりを
「いいや、
それを聞いて、鈴理とれえなはフリーズする。そして、お互いに顔を
「だが――」
何かを言いかけた千田をさえぎって、れえなが口を開いた。
「どーするの!? わたしたち死刑になっちゃったよ!?」
鈴理がまなじりをつりあげて、それに答える。
「なに、私のせいって言いたいの!?」
そうして、二人のケンカが始まった。
「そうだよ! だって鈴理がいじわるしなきゃよかったんだもん!」
「はい
「でた! なんでそんなに性格わるいの!?
「れえながなんにもできないのは事実だし!」
「鈴理だって、いつも待ち合わせにちょっとだけ
「それいま
「鈴理は
「そっちこそハンバーグとか
「だまれ」
千田がぴしゃりと言い
「ケンカは外でやれ。うるさくてかなわん」
*****
その
「「……どうしよう」」
ここは朝の
ホームルームの時間にはまだ早いからか、
「今日の十五時って言ってたよね!? もうあと六時間しかないよ!?」
れえなが
「七時間ね。あいかわらずバカだなあ、れえなは」
鈴理が肩をすくめた。
「そんなのどうだっていいよ! あぁぁ、どーしよう!?」
あと七時間。
それは、鈴理とれえなが殺されるまでのタイムリミットである。
思い返せば、昨日の夜はどうかしていた。残された人生があとわずかということを、れえなとケンカしたイライラですっかり忘れてしまったのだ。そして、
「おちついて。こういうときに
鈴理が言うと、れえなは「えっ」と目を丸くした。
「……わたしダサいの?」
「うん。めちゃくちゃダサい」
「がーん」
ショックを受けたれえなに、鈴理が言う。
「とりあえず、
れえながこくこくとうなずいた。
「七時間後に、私たちの
鈴理とれえなは
そもそも『
つまり、鈴理たちの
「……よし。
鈴理が言った。
「
れえながぱあっと
「行こう行こう。ってか、それしかないでしょ。どこがいい?」
「えっとね、わたしはグアムとかがいい!」
にわかにテンションをあげたれえなと
「いまからじゃパスポート取れないや。
「そうなの?
「
「そんなにムリなんだ。
二人して腕を組み、「うーん」と考えこむ。こうしているうちにも時間はどんどん
「よし、ボスにどうしたらいいか聞こう。ほんとはダサいからイヤだけど、えり好みできる状況じゃないし」
「そうだね」
鈴理とれえなはうなずきあって、ボスの千田にライン
『……なんの用だ』
「
『おまえらなぁ……』
千田の声が
「大人なんですから、もうそろそろ許してくださいよ」
『バカを言うな。おまえら
それに関してはぐうの音も出ない。
「ボスぅぅ~~!」
れえなが鈴理のスマホを
「たすけてくださいよぉぉ~~~!」
すると、千田がため息をついてから、こう言った。
『おまえたちの
「今のままでは?」
鈴理が
『ああ。だが、上を
それを聞いて、鈴理とれえながお
「なーんだ! ボス、そういうのは早く言ってくださいよ~」
れえなが言うと、イライラした
『言おうとしたが、その前におまえらがケンカをはじめたんだ』
と返してきた。
「それで、『上を
千田のイライラを
『結果が必要だ。おまえらが“
「それってなんですか」
『知らん。こっちが聞きたいくらいだ』
「えぇ~~! ボスぅ~~っ」
れえなが泣きつくと、千田は『だまれ』と言ったあと、こう続けた。
『今できることといえば、昨日
その
「うん。やろう」
鈴理がうなずくと、れえなは「わかった!」と
『そうは言っても、テロリストの
「でも、ちょっとは
『
鈴理はスマホを
「わかりました! ありがとうございます!」
『待て、スズリ。おまえ、まさか――』
千田が言い切るのを待たず、鈴理は通話を切った。そして
「行こう、れえな」
「んぇ? でも、テロリストの
首をかしげたれえなに、鈴理が
「タイムリミットまであと七時間。それまでに、二十三か所ぜんぶに
*****
「むりむりむりむりぃ―――っ!!」
泣きわめくれえなの手をひっぱりながら、
ここは、
そして今は、
「なんでこうなるの~~っ!?」
わめくれえなをよそに、鈴理はトリガーを引く。
ベレッタ92A1。イタリア製のハンドガンだ。
ぱんぱん、という
敵が
鈴理は足を止めない。ベレッタで
ときに、
言いかえれば、ここは『
だから、
「まって鈴理! 速いって――ぐえっ」
言いかけたれえなが、その場でずっこけた。金髪サイドテールとスカートをひるがえし、れえながうつぶせにぶっ
「すず――」
「ひぇ」
れえなが小さく
鈴理は
あざやかなヘッドショット。
敵は身を引っ込める間もなく、
敵は全部で三人。見たところ、かれらは鈴理たちが
鈴理たちがこのスーパーにやってきたとたん、かれらは
「
鈴理は
「鈴理ぃ……」
涙目のれえなが顔をあげる。
「はいはい。いいから、ここにいて」
へらへら笑いつつそう言って、鈴理はペンケースを
――そこか。
鈴理はレジ台から飛び出して、ゴンドラ
ベレッタを
二十メートル先、目を丸くした敵はびくりと
リリースボタンを押して空のマガジンを捨てる。ポケットからマガジンを取り出し、リロード。スライドを引いて
「よし、れえな。行くよ!」
わざと大きな声で言って、れえなを立たせる。そのまま彼女を
敵が追ってくる
鈴理は
「……!」
涙目のれえなが
鈴理は店長室から飛び出した。
敵はちょうど店長室を
敵がおどろいて振り返る。鈴理は
「グお!?」
敵が
「……ふう」
鈴理が立ち上がり、小さく息を
『
「すずりぃ……」
ふらふらと、片足ローファーのれえなが店長室から出てくる。彼女の
「なんもしてないくせにボロボロじゃん。おもしろ」
鈴理がバカにしたふうに笑うと、れえなは涙目でまなじりをつりあげ、ぽこぽこと鈴理を
星れえなは、
「じゃあ、次に行こう」
鈴理が言った。今は九時十五分。タイムアップまであと六時間を切っている。
「この人たち、殺しちゃってよかったの?」
れえなが聞いた。
「問題ないって。どうせろくでもない悪人だし」
いずれにせよ、こういった
しかし、鈴理は
「よーし、がんばってテロリストをみつけるぞー」
鈴理が笑顔でそう言うと、
「わたし、十五時になる前に死んじゃうかもなぁ……」
――――――――――――――――――――――――――――――
【キャライラスト】鈴理&れえな
https://kakuyomu.jp/users/kopaka/news/822139839894158874
【機体イラスト】3型(警察用二脚)
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