攫われた神嫁は神様の甘く狂おしい独占愛に囚われる

綴音華柏(つづねこはく)

プロローグ 攫われた夜


その日は月がとても綺麗な日だった。なかなか眠りにつくことが出来ず、私は外に出てぼんやりと月を眺めていた。


「いい夜だね璃乃。君を攫うにはもってこいの月明かりだ。」


不意に聞こえたその言葉。私はそのまま意識を失い、最後に見たのは黒い羽根を広げ妖しく、そして恍惚とした表情を浮かべている人ならざるものだった。

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