Second Clustering「万解、インケルディアス・ハイメン 花の人片、シーカ・ヴァイトマー」

 私の思考は、黒の七を五と柔和解釈した時点で散ってしまった様だ。七は七であり、私にとって恐怖の、死の数字と言ってもいい物だった。生命の散らばり、百の霊達の散花。それを体現する様な最終思考ルーチンが有り、そしてそれがそのまま止めとなった。

 そもそも最大で五つしか有り得無かったのだ、あの塩の羽と呼んだ人だった誰かと言う仮定存在の黒い死に様は。最初見えた五つをイメージの特段の具体化無く素通りしてしまったのは、それが七と言う死の数字に飛び込む為の準備運動の様な物だったから。そして、次に見えて来た本番である七のうち、一つ目から五つ目が自分の思い描く突飛では有るが事ここに至ってある種リアルな理想として抱え込んでいた花との折り合いの付け方その上位五位、つまり死に様ベストファイブ。よくよく考えると五個目が無いのはご愛嬌で、単に生き抜く意志を持っていたその最後の抜け道、名残とでも言うべき悲しき性の成せる業だ。六つ目、これに触れた時点で死が訪れる。私に七のうち二組四つをそれぞれ同位置に有ると安堵の内に見させた悪意の二片の一つが、終わりへのスイッチだったのだ。そして隠れていたうちのもう一つ、七つ目が未来への黒にも白にもなる置き土産、死んだ感想はどうですか、これから死ぬ人間に対し与えられる情報は有りますか、ちなみに前の人間が植え込んだ罠は”何百回も水仙の園に入ったとする安堵感”だったそうだ、私はまんまとその悪夢的な罠で陥れられてしまった。

 七角形を七角形として瞬時に思い描けていたら、私や私の他に死んでいった水仙の民達はどうなっていたのだろう、むしろ思い描いた人物も居たかもしれないがあの五角形への甘美な誘惑の中でそう出来るのか今となってはそれは分からない。私の五角形信仰が出て来たのも唐突だったし、生前果たしてその様な思考を抱いた事があったろうか。

 さて、置き土産だがどうしようか。前回の人物は単純に私を陥れてくれた様だったが、苦痛を軽減させてくれる設定だったとも言える。慣れ親しんだ筈の水仙狩り、上手く出来ない筈は無いと。何を思い描き遺恨の種としようとそれは表裏一体、次の花の愛人に解釈は任せるとしようか。そして、私は、”花を愛している筈なのに水を上げる事の出来ない無常感”と言う心にも無い事を残した。この無常なる水やりゲームの果て、いや、無いのかも知れないが、そこに一つまみの愛の欠片有らん事を。

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Singalio Rou' Sel' seus-Holiznier naz Crysetalanom 篠崎彩人 @sinopaso2

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