私が発狂している時、お前もまた発狂すべきなのだ

虚言ペンギン

まぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!お前を倒すぅぅぅぅぅぅぅううううううううう!!!

魔王城、決戦の間。


2人の怪物が対峙していた。


「よくぞ来たな、勇者よ」


1人は魔王。魔族の頂点にして、"この世全てを統べる者"。


「来てやったぜ、魔王」


1人は勇者。人族の英雄にして、"この世全てを壊す者"。


両者は互いに仲間がおらず、そして勇敢なる戦士である。


故に、その激突は必然であった。


「まぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」

「ゆうしゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


轟音。2人の喉から、同時に嘘のような音の砲が放たれる。それは天地を揺るがし、魔王城を一瞬にして砂の山へと変えてしまうほどの威力を秘めていた。


崩壊していく魔王城。声の威力に耐えられず、弾け飛ぶ2人の服。


一糸まとわぬ姿となり、互いに全てをさらけ出した2種族の頂点は、更にボルテージを上げていく。


「見ろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!これが俺の聖剣だぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!!!!!!」


勇者は光り輝く聖剣を見せつけた。慣性に従って上下を繰り返す生々しい聖剣は、魔王の魂に傷を付ける。


「ぐふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっっっっっっっ……やるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ勇者よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!ならばこちらも見せねばならんぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!我が究極の魔法をぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」


そう言うやいなや、異空間より巨大な酒樽を取り出す魔王。そして、樽の蓋を割り、一気に飲み干した。


優に10リットルはあるであろう酒を飲み込んだ魔王は、次いでガスバーナーを取り出す。それを見た勇者は魔王の意図を察し、聖剣に力をみなぎらせた。


「行くぞ勇者ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!!!!!必殺、デスフレアぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!!!!!」

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!!!!」


勇者の全身が炭化していく。しかし、聖剣の力によって剥がれ落ちた肉は再生し、皮膚は生まれ変わる。


魔王の全霊の魔法を、勇者は耐えきった。


「ごぶぅ」

「お、おおっおっ」


未だ息をする両者は、しかし同時に倒れ伏す。体力の限界を迎えたのだ。


発狂バトルは、従来の戦いと違って大幅に短いものとなる。その原因の一つが、体力を一気に消耗してしまうことだった。


しかし、身体は動かなくても、2人は勇敢なる戦士。どちらかがキチゲを発散しきるまで、止まることは無い。


「せい、けんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!!!!俺に力をぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!!!!!」

「なんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!デススピンんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!!!!!」


仰向けになり、聖剣を魔王に向ける勇者と、もんどりうってそれを迎え討つ魔王。


決着の時が来た。


「くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」

「お前がなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」


聖剣から放たれた白い閃光が、魔王の喉を穿いた。声帯を喰い破り、血管を崩壊させた閃光は、そのまま大気圏を抜けて遙か空の彼方へと飛翔する。


ここに魔王は討ち果たされた。


「勝ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ────あっ?」


しかし、魔王もまた、同等の戦士であった。


喜ぶ勇者の聖剣が、ポキリと折れる。魔王の残した最後の魔法、"デスインビンシブルクラッシュ"が炸裂したのだ。


相手に全てをぶつけるのが定石のこの世界において、それはあまりに埒外の発想であった。


まさか、技名すら言わず、見えない魔法で攻撃するなど。


聖剣を失った勇者は血反吐を吐き、そのまま惨めに息絶えた。


ここに、2名の頂点は、相打ちという形で共倒れる。



後に、この決戦によってどちらも死んでしまったことが原因で、人族と魔族が絶滅戦争に突入してしまうのは、また別のお話。

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私が発狂している時、お前もまた発狂すべきなのだ 虚言ペンギン @purin2147

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