第38話 最大の願い
河本関奈の余命は残り3ヶ月らしい。
俺は坂本と別れてから帰宅した。
それから俺はスマホで癌の種類を検索する。
河本は痛みに耐えて頑張って治療...ああそうだ。
そう考えて俺はスマホで電話をかけた。
「もしもし。伊藤先生ですか?」
「ああ。伊藤だ。どうしたんだい?」
「頼みたい事があります」
「?...何を?」
「俺だけじゃ何も解決しないので...」
そう説明しながら河本の事を説明する。
それから俺は「俺、クラスの理解を得たいです」と説明した。
伊藤先生は「君は本当に凄いな」と言う。
そして「私の生徒である事を誇りに思うよ」と笑う声がした。
「君の言う通り。私が演説をしよう」
「任せました」
「...私は...その発想は無い部分があった」
それから伊藤先生は「そうなると原稿を...」と言った。
その言葉に「その役目は俺にさせて下さい」と伊藤先生に話した。
伊藤先生は目を丸くした様に話す。
「君がか?」
「はい。俺が創ります」
「...分かった。そこまで言うなら君に任せたいな。頼めるかい?」
「はい。是非」
俺は伊藤先生に「俺はアイツの事をよく知ってますから」と説明した。
それから俺は「だからこそ書きたいんです」と言ってから河本を思い出す。
伊藤先生は「...分かった。ありがとう。君の方が原稿を書けそうだ」と柔和になる。
俺は「ありがとうございます」と返事をした。
そして「必ず書かせてもらいます」と笑みを浮かべた。
☆
翌日を迎えた。
俺は朝から原稿を書いていた。
河本関奈の病の事とかを。
そうしているとインターフォンが鳴った。
俺は「?」を浮かべてドアを開ける。
「よお」
「坂本!?...に春風?」
「ん。来たよ」
「...どういう事だ?」
「河本の事を纏めているんだろ。演説するのに」
「確かにそうだが...よく知ってんな」
「ああ。いや。伊藤先生から聞いたんだ」
その言葉に俺は「そうか」と返事をする。
それから「上がってくれるか。俺はお前らにも聞きたい部分がある」と言う。
すると2人は頷きながら「当然だ」と言った。
俺は「サンキュー」と返事をする。
そして2人を家に上げた。
「なあ」
「ん?」
「もう書いてんのか?」
「いや。まだアイデアは纏まってない。お前らが来てくれて良かった」
「ああ。ソイツは何よりだ」
そんな俺と坂本に春風は「それにしても不思議」と言ってからクスッと笑う。
俺は「何がだ?」と聞く。
すると春風は「かつては敵同士。今は仲間。...人生って不思議」と言った。
その言葉に俺と坂本は顔を見合わせてから「まあ確かにな」と返事をした。
☆
家に来た坂本と春風を見ながら俺達は3人でピースを当て嵌める。
するとまたインターフォンが鳴った。
今度は関口と山口などが来た。
お菓子を持って。
俺だけで創るつもりだった原稿だが。
まさかこんな感じになるとはな。
「オイ。リーダー。聞いてんのか」
「誰がリーダーだよ。ざけんな」
「お前しか適任が居ないっての」
「芽郁の言う通り」
「春風まで...」
それから俺は後頭部を掻いた。
ったくコイツら。
そう考えながら全員を見渡す。
そして「まあでもせっかくこの様な形で集まれた。だからこそ頑張ってやらないか?」と言う。
すると全員頷いた。
それから「まあ確かにね」とか「確かに」とか話した。
「河本の事はたしかに嫌いだったけど。再生させたのも奴だからな」
「そうだな」
「だね」
「良かった」
パーティの様な感じで話は進む。
それからお互いに話し合い。
色々と検討していく。
その際に関口が「そういえば」と言った。
「河本さんは今どこに?まだ病院?」
「ああ。まだ退院はしてないぜ」
「そっか...大変だね」
「まあでも仕方が無い部分もあるから」
「私もお見舞いに行きたいな」
そう山口達が言う。
俺は驚きながらその姿を見る。
関口は「だね」と笑みを浮かべる。
そんな山口に対して春風が「ん。じゃあ今度みんな一緒に」と笑みを浮かべる。
「うん。是非是非」
それから俺達は遊びながら時には真面目に河本に関するプレゼン資料を作ったりした。
そして俺はその資料と原稿を学校に持って行く。
学校は休日で休みだったが伊藤先生が居てくれたので見てもらうと伊藤先生も嬉しそうに反応してくれた。
後は準備、練習のみか。
そう考えながら俺達は自宅に戻り練習し始めた。
みんな協力してくれた。
河本にサプライズになれば良いが。
☆
そして更に翌日になった。
俺達は登校してからクラスメイトに向く。
クラスメイト達は伊藤先生の呼び掛けもありつまらなさそうに集まっていた。
すると伊藤先生がやって来る。
「やあ。みんな。すまないね」
「伊藤先生。何がしたいんですか?」
「簡単に言う。河本さんが余命3ヶ月らしい」
クラスが凍りついた。
それから「は?」となる奴も居れば泣き始める奴も居た。
クラスは雰囲気がどんどん悪くなる。
だが。
「それでだが。...先ず佐伯くんと鮫島くんに協力してもらい河本さんを盛り上げる事を計画している」
「ああ。今は一時休戦。それから盛り上げよう」
佐伯はクラスメイトに声を掛ける。
するとクラスメイト達は困惑する様に顔を見合わせてから河本を見る。
「事実?」という感じで。
河本は「まあ」と言う。
「神様は信じられない事をするね」
「まあもう仕方が無い事だから」
それから河本は俺に向いた。
そして「アンタは何が目的なの?」と聞いた。
俺は「お前も坂本も。言ったろ。...生きた証を残すって。クラスメイトが笑って卒業したいって。だからこうした」と答える。
河本は「...アンタって本当に変人ね」と答え椅子に腰掛けた。
盛大に溜息を吐く。
「...だからみんな。協力してくれ。今だけ」
そして頭を下げる佐伯。
俺はその姿に頭をゆっくり下げる。
するとクラスの奴らは「仕方がないな」と諦めた様に言葉を発した。
それから顔を見合わせた。
「流石は私のクラスメイトだ」
それから笑みを浮かべる伊藤先生。
俺達は顔を見合わせてから笑みを浮かべた。
そしてクラスの奴らを見る。
全員が全員では無い。
だが充分だ。
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