トンビが鷹を産んだ。 意味は少し違うが、これはそんな物語だ。
- ★★★ Excellent!!!
正直と書いてマサナオ。
宇津木 正直。 ウツキ に、ソの一文字を加えれば、
ウソツキ マサナオになる。
そう彼は息を吐くように嘘をつく。
彼の都合で殺された、存在しない祖父は何人いるだろう?
彼の家で、存在しない猫が逃げれば、誰だって彼にノートを貸してしまう。
正直なだけが上手な生き方じゃない。
うまく嘘をつきながら、好きな人のために生きてきた。
彼が好きな人は、ひとりで自分を育ててくれた母親。
母親の笑顔のためなら、どんな嘘だってつける。それが正直(マサナオ)だ。
そんな彼の、「ノーライ・ノーライフ」な生活は、ある日突然、
母親の脳梗塞発症によって狂わされてしまう。
そこで、発覚するある事実とは……。
親子の条件とは、一体何であろうか。
正直にそれが、試される機会がやってくる……。
もう一度いうがこれは、少し意味は違うがトンビが鷹を産んだ話だ。
だが、この書を読み終えたら、あなたもきっとこう、言いたくなるだろう。
「この親にして、この子である」
と。