10代の頃、友人だった彼は今どうしているだろうか。
@oyashirazu2000
第1話
「ピーナッツっのピーって何だと思う。ナッツは分かるけどピーってよく分からんくない。」
俺はムカついて、無視した。
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「飛行雲って何であんなに長いんだろうな。」
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「あっあの子、パンツ見えそうだわ。」
二人で目線を送り、風でめくれたスカートから見える縞模様に目を馳せた。
そんな、河川敷の野原で俺達二人は、毎日学校帰りに時間を潰していた。
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いつものように河川敷に二人座っていると、散歩している老人が話しかけてくる。
「今日も暑いなー。いつも、いるねえ君等。仲良しだねえ。」
俺等は、二人とも老人を無視する。
老人は続けて、「君等は部活とかやってないの。〇〇高校の子達だよねえ。」と話しかける。
「まあ、最近の子達は部活、やらない子多いよねえ。うちの孫なんかも、家でゲームばかりしよってからに。」
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沈黙が続く。
「昨日、ニュースで〇〇城燃えたって、やってたなあ。ありゃ、大変じゃね。」
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「うちの隣に、坂田さん、いう爺さんが住んどるんだけど、その爺さんが、人の話、全然聞かんくてなぁ。一方的にずっとしゃべりおるんよ。」
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爺さんは、そのまま歩いて、帰路につく。
「あの、爺さん行かなすぎじゃね」俺はボソッと呟く。
「孫とか言ってたけど、嘘だろ。家で一人ぼっちで、話し相手欲しいんだわありゃ。」と、隣の学生服を着た、金髪の男が言う。
「普通無視されたら、すぐ行かないかね。普通に雑談続けてたぞ。あの爺さん。」と俺。
「そういや、〇〇城、燃えてたな。」と金髪。
その時、バッタが飛んできて、金髪の頭に留まる。
虫が嫌いな金髪は慌てて、そのまま、河川敷を転げ落ちる。
意外と勢いがつき、そのまま、下にある川にそのまま落ちた。
びしょびしょになった金髪が、上がって来ると、さっき話しかけた爺さんが、どこで見ていたのか戻って来て、
「着替えとシャワー貸してやるから、うち来なさい」と話しかけてくる。
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俺は、居間で湯呑みに注がれた温かいお茶を飲みながら、煎餅を片手に、旅番組を見ていると、
「めちゃくちゃ汚い風呂やったわ」と言いながら金髪が、居間に来て俺の隣に座る。
爺さんが、キッチンから出てきて、金髪の分の湯呑みを持って俺等の、向かい側に座った。
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テレビと爺さんの両方が視界に入り、邪魔だなと思った。
金髪が爺さんに「一人暮らしですか」と尋ねた。
爺さんは、「都会の息子から預けられた孫と暮らしとる。婆さんは一昨年、先に逝ってしまってな。」と言った。
「それ、お孫さんの写真ですか。」と居間の棚の上にある写真立てを指さして、金髪は聞いた。
「そうじゃね。」と爺さん。
雑談の最中、俺は急に眠気を催し。
いつの間にか寝てしまった。
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気付くと、爺さんが目の前で、縛られ、喚き散らしている。
「絶対、お前ら殺してやる。舐めやがって。」と喚き散らしている。
来た頃、3時頃だったのに辺りは日が暮れて、暗くなり始めていた。
俺は「結局どうなったんだ。」と金髪に聞く。
金髪は、「思ったより色々手こずって、まだ場所は、分からん。ただ、風呂で処理して、そんなに日はたってないと思うぞ。腐敗臭もせんし。」
俺らは家の中をウロウロし、色々なところを漁ってみる。
そして冷蔵庫と、冷凍庫に小分けにしてある。
写真立ての少年を見つける。
金髪は「よくもまあ、こんなことできるわなあ。」と言う。
「お前もこんなこと、片っ端からしてたら、切りないぞ」と俺は言う。
金髪は「しゃーないやろ。これをやらんと目が合ってしまった俺についてきよる。まあ、色々見た感じ、拘束して、虐待していた、みたいな感じかね。とりあえず、警察に通報しよか。」
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数分後、警察から、爺さんについての説明を受ける。
元々、結構気性の荒い爺さんで、婆さんの事もdvしていたようだった。ただ、単純に死因自体に直接の影響は無かったため、事件にはならなかった。その後、矛先は孫に向き、日々の鬱憤を晴らしていたが、やり過ぎて、死んでしまう。
それでも、日々の鬱憤をぶつける相手は必要だったようで、俺らを誘拐し、監禁しようとしていたらしい。
一人は、殺すつもりだったようだが、もっと小さい子を誘拐すれば良いのにとも思ったが、そんな精神状態でなく、出来るだけ早く対象が欲しかったため、よく見かけている俺らを選んだらしい。
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次の日、河川敷に二人座る。
「あの孫、どんな感じだった。」と俺は尋ねた。
金髪は「ものすごく、醜く歪んだ顔で爺さんの袖をつかんで一緒に歩いとったな。」
「成仏は間に合ったのか。」と俺は尋ねた。
「まあ、まだ、死体も腐ってなかったし、人の手でちゃんと火葬されただろうから、間に合ったんじゃないかね。あのレベルで恨んでいるんなら、間違いなく俺の所にも飛び火来てたやろうなあ。まあ、早めに処理できてよかったわ。できるだけ無視してても、あの爺さんと関わったもの全員、祟られてたかもな。」と金髪は淡々と答える。
二人同時にため息をつき、俺らは、上を見上げる。
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