第2話・探索

 落ち着くと視界に入るのは廃墟と化した街並みである。窓は割れ、扉が破壊され、建物は崩れていたりとさんざんな景色。その中で唯一美しいのは背後の城と、町の中心にある水晶の噴水。


 噴水の水は綺麗な水を出していて飲み水に使えそうだ。


 空は曇っていて曇天かな? そして少し肌寒い。冬なのか寒い地方なのかはまだ判断できない。


「ステータス確認するか」


 確認されたステータスは数字だけ見れば分からない。ゲーム離れもあるが、数字がどれほどの力を持つか現時点では分からない。攻撃力と筋力が高いのは分かった


 初心者の斧と見習い戦士の服とズボンを装備していて、スキル欄を見る。


 選んだスキル以外に二つのブラッドスキル。それは【鑑定スキル】と【赤の加護スキル】だ。


「あー鑑定! いろんなゲームや話で真っ先に必要じゃん!」


 選べる状態で無かったのはカテゴリー検索で弾かれていたか、そもそもなかったか。ウインドウに映る鑑定スキルをタップすると、使い方が分かる。鑑定と叫び、MPを1消費するだけだ。


 ◇◆◇◆◇


『女神水晶の噴水』


 人の営みを守る結界と見えない道を作り出す女神が作った水晶。人が住んでいる最低範囲まで結界を貼り、魔物を遠ざける。だが魔物の暴走行進を止めることはできない


『崩れた建物A』


 戦争の名残、壊された民家の一つ


 ・修復には鍛冶スキルが必要 木材15/100 鉄20/150 石材50/550


『破壊されたドア』


 戦争により壊されたドア


 ・修復には鍛冶スキルが必要 木材5/50 鉄0/30


 ◇◆◇◆◇


 少し鑑定して分かる範囲、んー建物は全滅っぽいな。もう一つの『赤の加護』はなんだろう?


 確認したが攻撃力と戦闘能力向上と出ている。かなり戦闘向けのスキルのようだ。


「まずは町の確認するか」


 とことこ歩き回り、建物を見つけては試したいことがある。


「『解体』!」


 すると瓦礫が解体されて『石材』と『木材』が手に入る。木材は腐った木材と出たり、中には『固い木材』と出たりする。解体ができるということは………


「瓦礫は素材の山だ!」


 瓦礫を気を付けて解体し続けながら、建物を探索する。


 ◇◆◇◆◇


『斥候の七つ道具』


 斥候が使うスカウトツール。鍵開けアクションが使用可能になる


『鍵開け練習錠』


 鍵開けの練習に使う錠前。時間が経つと様々な形に変化する


『丈夫なロープ』


 汚れているがまだ使えるロープ


『マジックパック(小)』


 インベントリ能力を持つ不思議な袋。時間停止能力を持たないため、長く時間が経つと劣化する


『石床』


 建物レシピ 石材を使用して敷き詰められる床


『石材を使った一軒家レシピ』


 建物レシピ 素材を使用して建物を建てられる ・鍛冶レベル5必要


『石材を使った鍛冶場レシピ』


 施設レシピ 素材を使用して建てられる施設 ・鍛冶レベル5は必要


『2階建て宿屋食堂付きレシピ』


 施設レシピ 素材を使用して建てられる施設 ・鍛冶レベル6は必要


 ◇◆◇◆◇


 少し探し回ったらこれくらい見つかった。レシピは建物解体で覚えた。レシピを覚えるには多く解体するか、特定の建物を解体するのが良いらしいな。


 鍛冶のレベリングは方法があるので時間の問題だ。いざとなれば石床を作り続ければいいかも。


 そして港を見つけた。船は半分に割れていたり、焼け焦げていたりしている。


 静寂の中、潮の香りと波の音を聞きながら、プレゼントボックスから釣り竿を取り出した。


「まさか海釣りからスタートとは」


 餌無しで早速チャレンジだ。何度か失敗してスキルを獲得しよう。


 ちなみにMPは時間がかかるが自然回復する。空腹ゲージがあるからお腹が減れば餓死でHPが減るため、食事をしなければいけない。


 だいぶ動き回ったため、初回で手に入る保存食×5個から一個食べた。まずい!魚はやめに釣ろう。


 ………

 ……

 …


 だいぶ釣れたぞ。耐久値減ったから噴水まで戻り、移動式鍛冶炉を取り出す。これも選んで手に入るどこでも鍛冶ができるアイテムだ。一定数の良い物が作れないが、移動できるから耐久回復には便利。


 武具とかはこれがあれば長続きするだろう。耐久値は特別なアイテム以外0になると壊れてしまうからね。直すのに倍の素材がかかるそうだ。


 釣った魚を確認する。だいぶ良いのが釣れた。


 ◇◆◇◆◇


『カタイワシ』


 鱗は固いが身は柔らかい魚。一般的な海の魚


『サクラニシン』


 大型魚の餌にもなる庶民の味方


 ◇◆◇◆◇


 餌無しだと二種類らしい。とりあえずこれを焼いて食べよう。


 炉に木材を突っ込み、火を点けてたき火をする。木の棒で刺した魚を焼く。スキルが無いから目でよく確認しないとダメにするぞ。


 なんとか焼き魚は成功して【料理スキル】も確保した。モグモグ食べてから噴水周りの建物を解体して、石床で土台を整えた。


 その頃には鍛冶がレベル5になり一軒家を作れる。素材は解体した物を集めてしよう。


 滅びた国に新たに綺麗な一軒家ができた。ガラスが無い、扉も無いが、ガラスは確か砂がいる。港に砂浜があったからそれを取って作る。


 ◇◆◇◆◇


『ブリテンガラス』


 滅びた国ブリテンの砂浜で取れた砂で作ったガラス。青みが綺麗で美しい


『頑丈な扉』


 頑丈な木材で作った扉


 ◇◆◇◆◇


 これで一軒家はできた。床の上だがログアウトは問題ないだろう。


 今は失う物もないし、これでいったん終わり。お疲れさまでしたーログアウト!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る