#30 はっけよい!
「デストローイ……メスガキ許すまじ……メスガキ許すまじ……鼻の下を伸ばしてるご主人の息子爆発しろ……」
呪詛をつぶやきながら規則正しく腕を振るリルを前に、ハーレクインは佐倉の太腿に二本の指を歩かせていた。
「ドーテーさんには刺激が強すぎるかにゃ?」
「誰が童貞だ‼ 言っとくがリルと俺はこいつで繋がってんだ! あいつを殺したら俺も死ぬんだからな⁉」
「殺さないお? これはどっちがお兄ちゃんをフル勃起させるかの戦い」
「分かったら黙ってズボンを脱ぐっす‼」
「ふざけんなクソガキども⁉ 俺をこれ以上泥沼に巻き込むんじゃねえ‼」
リルとハーレクインは「ふっ」と笑って口をそろえて言った。
「「この意気地なし」」
「だぁあまってろ……‼ チンチクリン×2‼ おいリル‼ 絶対勝て‼ こいつを打ち負かしてなんとしても通行証を奪い取れ……‼」
「「通行証?」」
「なんで二人とも首傾げてんだよ⁉ 脳味噌腐ってんのか⁉」
ゼエハア肩で息をする佐倉を無視して、二人は胸の前で腕組みして向かい合った。
「待ったなしの真剣一本勝負だお?」
「望むところです! 女の戦い……種目は決まりきってるのです!」
「へえ……ボクにアレで勝負を挑むなんて命知らずなんだ?」
「煽ってないで、吠え面かく準備をしておくのです!」
何が始まるんだ……?
こっちの世界には女の戦いに伝統か、文化でもあるのか……?
どちらにせよ……
嫌な予感しかしない……
ハーレクインはブカブカの服を一気に脱ぎ捨てた。
その体が光り輝きコスチュームが変形する。
「スキル発動……‼
Wa~o♡
どこかで聞いたことがあるような効果音が流れて、黒のマイクロビキニを身に着けたハーレクインが姿を現した。
「どうお兄ちゃん? やっぱりドーテーさんには刺激が強すぎかにゃ?」
「ぐぬぬ……絶対領域を容易く超えてくるとは……でもリルだって……リルだってぇえええええ(´;ω;`)」
その時だった。
ピコン……とステータス画面が現れ、ファンファーレが鳴り響く。
『リルが新たなスキルを獲得しました!』
当然その画面はリルにも共有されている。
嫌な予感しかしない……
げんなりする佐倉をよそに、リルは真剣な表情でその画面を凝視し、口角を上げた。
「俺は、このカードに全てを賭けるぜ……! スキル発動‼
リルも負けじと服を脱ぎ捨てようとしたが、頭で服がつかえて身動きが取れなくなる。
憐れなアヒルさんたちが浮かべる笑顔にもどこか哀愁が漂っていた。
「ぷっ……! アヒルさんパンツ! 幼稚~」
「ウルサイウルサイ! こ、これはご主人の趣味ですぅううう(´;ω;`)」
「ふかしこいてんじゃねえ‼」
「ご主人~~(´;ω;`)
仕方なく佐倉はバンザイの姿勢で待つリルに近づき服を脱がせてやる。
顔を出したリルはしたり顔でハーレクインを見下しニヤリと笑った。
「あーーーーズルい‼ あんたわざとでしょ⁉」
「さあ? 何のことですかね?」
「どうでもいいから……スキル発動してくれ……」
「そうでした! スキル発動!」
リルの身体が水色の光に包まれた。
発光が弱まって現れたのは紺碧のスクール水着に包まれたリルだった。
ぺったんこー
そんな幼女二人の目には激しい闘志が燃えている。
「見せればいいってもんじゃないです!」
「なるほどね……そっちの戦略はよくわかったお。手加減はしない……!」
二人は同時に噴水の方へと歩き出した。
中に飛び込むと、水にしてはやけに重々しい「とぷん」という音が響き渡る。
「はっけよい! はっけよい!」
健太郎が鼻息荒く叫ぶと、二人は身を低くする。
「モウモウ‼」
かくして、幼女二人によるローション相撲の火ぶたが切って落とされた。
「もうやだ……」
佐倉はべちゃりと頬にかかったローションを拭って、心の底からそうつぶやくのだった。
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