チビ旦那

籠原スナヲ

2025、11、18、ミコト(仮名)の投稿。


 えっと、初めまして。ミコト(仮名)って言います。

 ここは夫婦の性生活とか体験談を自由に投稿していいインターネット掲示板だと伺いました。夫に「ここに僕たちのことを好きに書いてほしい」と言われたので、今、そうしているという感じです。

 スワッピング?

 いえ、スワッピングなどの予定はまだないんですよ。ここのインターネット掲示板はそういう相手を募集しているところでもあるみたいですが、私は、自分の夫が他の女性と抱き合うなんて耐えられないと思います。

 耐えられないというか、「どうせ無理w」と思っているところもあります。

 その話を書きたいです。

 まずはプロフィールを書こうと思います。

 私はミコト(仮名)です。普段は女性専用フィットネスジムのインストラクターとして働いています。けっこうファンもついていて、「ミコトさんカッコいい!」とか「ミコトさん私のトレーニング見てください!」とか言われている感じです。

 女性専用フィットネスジムってご存じですか? ほら、トレーニング系の施設って人が薄着になるでしょう? だから異性にあまり見られたくないというユーザーもいるんです。それに、なかには悪質な人たちもいて、女性が体を鍛えているところにナンパやセクハラをかまそうとする男性も少なくはないんですよねえ。なので、そういう施設があるんですね。私はそこで働いています。

 私自身、体を鍛えることは好きです。腹筋の画像とか載せてもいいですか? すごい割れてますよw

 あ、ここのインターネット掲示板は画像掲載はダメでしたね。すみません。

 年齢は25歳です。最終学歴は、都内の私立大学を……いえ、詳しく言ったら身バレしそうなので言えないんですけど、まあ早慶上智のどれかというところで許してください。実家は北関東のほうにありまして、最初のうちはそこから通っていたんですけど、やっぱり通学時間が長すぎるということで独り暮らしを始めました。で、周りの街をぶらぶら遊んでいるうちに今の夫と出会ったというところです。

 私の身体的な特徴ですけど、


 身長が、200センチメートルあります。


 昔はそれでイヤな思いをしたこともわりとありましたね。小学校高学年のころクラスメイトの男子に「デカ女」とか言われたりとか、親戚の集まりで「こんなデッカい女どこの嫁に出せるん?」って笑われたり。ほら、日本人の男性って自分よりも小さい女のほうが好きなんでしょう? よく知らないですけど。だから私自身、「こんな体に生まれてしまったんだから結婚なんて夢のまた夢だ」と諦めていたところはありました。

 自分よりも小さくて、自分よりも弱くて、自分よりも頭が悪い。そういう女のことしか愛せない日本人男性っていっぱいいるらしいじゃないですか? ツイッターとかに。まあ現実で関わることなんかないのでどうでもいいんですけど。

 でも、夫は……ツバサくん(仮名)は違うんですよ。

 私が上京してぶらぶらと夜の街を歩いていたところ、ツバサくんに出会いました。彼はそのとき酷く酔い潰れていて、「み、水……」とうめいていました。特に悪い人ではなさそうに見えたので(まあ、このあと結婚するんだからそうですよね!w)、私はコンビニで水を買って「これ、飲んで?」って差し出したんです。それが出会いでした。ツバサくんは私の差し出したペットボトルをゆっくりと口に含んで、それから私のほうを見て、

「天使」

 って言ってくれたんです。そんなことを言われたのは初めてのことでした。

 私はすぐに立ち去るつもりだったんですけど、ツバサくんが、「お礼をしたいから連絡先を教えてほしい」と言ってきました。「ええ?」と思いました。「お礼なんか要らない。どうしてもそうしたいなら、今度はあなたが別の困っている誰かを助ければいい」。こういう風に伝えたんですけどね、ツバサくんのほうは、「どうしても!」と言ってくる。ちょっとドキドキしました。ナンパとかじゃないはずなんですけど、似たようなことをされている気分になりましたね。

 で、連絡先を交換して、本当にそのあと高いワインを買ってきて私に会いにきてくれたんです。ツバサくん。

 ノロケてもいいですか? こういう義理堅いところが好きなんですw

 私はツバサくんとイタリアンで食事しながら、自分の悩みを正直に話してみてもいいかなという気分になりました。このころは結婚なんてするとは思わなかったので、まあ赤の他人だからいいや、と感じていたんです。

「私、身長がすごい高いから男の人にはあんまりモテないんだよねえ」

 って。

 でも、すぐに慌てて強がって冗談みたいな雰囲気にしようとします。

「まあ悪質なナンパを受けることもないから得と言えば得だけどね!」

 って。

 でも、ツバサくんはぜんぜん笑わなかったんです。

「カッコいいと思います。強い女性って素敵ですよ」

 って、言ってくれたの。私。恥ずかしいですけど、そのとき耳まで赤くなりました。

 いま思うとそれが最初のデートだったんだと思います。

 ツバサくんのステータスですか?

 彼は私よりも10歳くらい年上で、高校を卒業後、地元のスーパーマーケットを経営している店長さんでした。お野菜とか果物の仕入れがすごく良くて大人気みたいです。私の聞いた話では、ご両親がもともと営んでいた小さな小売店をそのまま拡大営業して売上を伸ばしているみたいでした。商売が得意な男性って、カッコいいですよね。お金をきちんと儲けられるって、いちばん男性にとって大切な資質じゃないですか!

 だから、

「今度ツバサくんのお店に行ってみようかなー。シチューつくろうっと」

 って伝えたんです。そこからどんどん交際が進んだって感じですかね。

 ここで、ツバサくんについての大事な情報を書きますね。


 彼は身長が150センチメートルしかありません。


 私はこっそり、彼の経営しているスーパーマーケットに行きました。そしたら近所の常連さんなんですかねえ、そういうオジちゃんが「ようホビット! また今度な!」とかツバサくんに声をかけているんです。あるいはオバちゃんが「まあおチビちゃん! 今日もお疲れ様ねえ!」とか言っているんですよ。

 ホビット!? おチビちゃん!? そんな酷い言いかたある!?

 要するに、ツバサくんは商売上手ですが、地元にはメチャクチャに舐められていたということですね。別に悪いことはしていません。なにも嫌なことはしていません。なのに、

「男のくせに身長が低い――」

 ただ、それだけのことでツバサくんは周りから侮られていました。

 スーパーマーケットの業務が終わったあと、私はツバサくんに声をかけました。

「あれ、酷いよ! 怒らなくちゃダメだよ!」

 と私は言いました。でもツバサくんってば、

「それでみんなが笑顔になれるなら、良いじゃないか! 僕は気にしない。それよりもお店の惣菜を気に入ってくれていることのほうが、はるかに嬉しいんだ」

 と答えたんです。

 私は、自分の人間的な小ささを自覚しました。

 私は昔から、自分の身長の高さがコンプレックスでした。こんな女のことなんて誰も愛してくれないだろう、と思っていたんです。でもツバサくんは違うんだ、と思いました。ツバサくんはその人柄で愛されているんです。


 本当に得意なことがあるなら自分のちょっとした欠点なんか気にならないものです。


 こんな人になれたら、と、思いました。

「好きです」

 と、私は、そのとき初めて言いました。

「私、ツバサくんのことが好きなんです。付き合ってください」

 と。

 私のほうから告白しました。

 ツバサくんは最初のうちはビックリしていた様子でしたけど、少しずつ落ち着いて、最後は交際を認めてくれましたね。

 デートは楽しかったですよ。ふたりで水族館に行ったり(大きい魚が小さい魚を追い詰めているのを見て、私が「ねえ、あれツバサくんと私みたいじゃない?w」って囁いたらツバサくんのほうも「やめてよ~!w」って笑っていました)。ふたりで美術館に行ったり(大昔の美術を見に行ったんですけど、『大いなる女神に愛される矮小な人民』という絵画を見たときに、ツバサくんが「ミコトさんみたいだね」って言ってくれたのが、なんか嬉しかったです)。ふたりで博物館に行ったり、まあ、そんな感じです。博物館の展示会には、こんな文章が書いてありました。

「どんな生物も自分たちの生命を永らえさせるために進化していく。つまり、今あなたたちが生きているその生きかたは、かつての祖先がそう進化してきた結果なのだ」

 と。

 私は、正直に言うと納得できませんでした。「私みたいなデカい女の、いったいどこが進化の結果なんだろう」と思ったし、そう言ったんです。そしたらツバサくんが、「ねえ、正直なことを言っていい?」と話しかけてきました。

「僕がミコトさんを好きになった理由は、ミコトさんが、大きいから、って言ったら笑うかい?」

 と。

「ええ!? なんで!?」

 と思いました。でもツバサくんのほうは、頬を赤らめながら大真面目でした。

「本気だよ。じ、自分にないものがあると感じたんだ――ほら、そこの掲示も読んでみてほしいな。『なぜ近親相姦は発生しにくいのか。遺伝子には、自分にない要素を求める本能があるからだ。だから近親者には欲情しないようにできているのである。つまり男女は、お互いに足りないものを埋め合わせるように結ばれていくのだ。男が強さを誇っているならば女は優しさを。女がたくましさを持っているならば男のほうは慈しみを。それが夫婦の秘訣である』って」

 と。

 私はそのとき、ツバサくんって変な好みを持っているんだなあ、でも、ツバサくんが変な好みを持ってくれていて助かったな!

 そう呑気に考えていました。

「たしかに! ツバサくんにはすごいビジネスの才能があるし、私は強い! お互いにないものを埋め合っていこうよ!」


  ※※※※


 で。

 なんですけど。


 ここからが本題と言いますか。


 まあ交際していると夜の関係ってものがありますよね。私は、ツバサくんとラブホテルに行って、最初の夜を迎えました。

 ただ、ここで問題が起きます。

 お互いに裸になっても、届かないんです。

 私が立ち上がると、もうツバサくんの股間は私の股間には絶対に届きません。キスをしようと思っても絶対にキスできません。ツバサくんは私の胸かお腹に顔をうずめながら「うぐううう」って悶絶することしかできていませんでした。身長差があるからです。

 …………え?

 と、私は思いました。そして、ちょっと焦ります。

 …………私はツバサくんのことが好きなのに、ツバサくんとエッチできない!? そんなのイヤだ、なんとか工夫しないと!

 って。

 私はベッドの上に横たわって、「ほらほら、好きにしていいよw」と誘います。ツバサくんは私の上に覆いかぶさって、頑張ってくれます。

 頑張れ頑張れ~、って感じですw

 ツバサくんは本当に頑張って、私にキスしたり、胸を揉んだり吸ったり、そして……えっと、あの、クンニリングスっていうんでしたっけ。そういうのもしてくれました。でもオチンチンをオマンコに挿入してくれたときに、

 ぜんぜん気持ちよくないんです。

 人間の身体って基本的に「あれもデカければこれもデカい」みたいな風に出来上がっていますよね? 身長が高いから肩幅も広いし、身長が高いから手足も長い。どうやらそういう風になっているらしいんですよね。

 で、オチンチンってあるじゃないですか。

 オチンチンも同じことですよね。背の低い男の人ってオチンチンも小さいんだなあと分かりました。だからオチンチンがぜんぜん気持ちいいところに届かないんですよ。私がデカいのが悪いんですかね?

 いや、連帯責任ですよね? 彼がチビなのも悪いしな。

 なのに、ツバサくんは、

「ああっ、ミコトさんのここ! ふわふわ! すごい!」

 って勝手にひとりだけ気持ちよくなっていたんですね。

「ツバサくん、もっと頑張れるかな?w」

 って私は煽ってみせていたんですけど、

「あっ、もうダメ。出るっ!」

 って言われちゃって。

 私が「え、もう??」と思っているあいだに、ツバサくんはピュッピュ射精しちゃったみたいなんです。なんの感触もなかったんですよ。で、コンドームのなかに、薄〜い精子がほんの少しの量だけ溜まっていたんです。

 …………は? これだけ?

 って思いましたよね。

 それが初めてのセックスでした。ツバサくんのほうは、

「すごい、ミコトさん、大きい、すごい……大好き……」

 って、ずっと言っていました。

 私は、私のほうは、なんかそこでスーッと冷めていく自分を感じていました。


 結婚を済ませたあとも、だいたい夜の生活はそんな感じでした。ツバサくんが私に覆いかぶさって勝手に気持ちよくなる、それだけ。私も最初は「あんあん」とか、わざとらしい演技をして感じているフリをしてあげていたんですけども、途中からそれも飽きて、最終的にはスマートフォンをいじりながらツバサくんの吐精を迎えるだけになりましたね。

 ツバサくんも気づいたようで、

「ね、ねえミコトさん」

 と寝しなに話しかけてきました。

「もしかしてミコトさんって、そんなにエッチが気持ちよくないの?」

「んー? まあ、そうかも?」

 と私は答えました。

 ツバサくんのほうは必死になったのか、こんな風に言ってきました。

「僕、頑張って工夫するよ! 色んなプレイを試してみる! 大好きなミコトさんに気持ちよくなってほしいから! だから、ねえ、ミコトさんのほうもどんなことをされたら気持ちよくなれるのかちゃんと教えてほしい!」

「いや、無駄でしょ」

 と私は言いました。

「だって根本がダメじゃん。オチンチンが小さいんだもん。私、奥のほうが気持ちいいんだよねえ。でもツバサくんは、そこには届かないでしょ? じゃあ工夫もなにもないと思うんだけど」

「ど、道具を使うとかはどう!?」

「じゃあ自分ひとりでやるからツバサくんは部屋でゲームでもしててください、って感じだよねえ」

「そんな…………」

 ツバサくんは涙ぐんでいました。私も少し、言い過ぎたなと反省しています。

 でもそれ以上に、

 なんだかムカムカしてきたのです。

 とどめの一言がありました。ツバサくんが、

「やっぱり、僕がチビだからダメなの……?」

 と言ってきたのです。

 前にも書きましたが、私はかつてツバサくんのことを尊敬していました。私は自分の身長のデカさをコンプレックスに思っていましたが、ツバサくんは自分の身長の低さなんてなんとも思わずに、地元に愛されるすごい経営者でいられているのだと。

 なのに、

 そのツバサくんがエッチになったとたん、「僕がチビだからダメなの……?」と、涙ながらに私に言ってきたんですよ。結局、ツバサくんも自分の身長がコンプレックスで、だからそれを埋め合わせるように私みたいなデカ女に求婚したんです。

 そんなツバサくんの言葉は、聞きたくなかった。マジで聞きたくなかった。

 失望した。

 そう思いました。

 いや全部には失望していないんですけど、少なくとも部分的には失望しましたね。

 まあ、

 でも、夫婦ってそういうものなんですかね?

 どこかで相手の現実を知って、幻想が壊れてしまって、「あ、なーんだ、私の結婚相手ってしょせんこんなもんなんだ?」って気づくのが人生なんです?

 分かりませんけど。

 私はその夜、すごく冷酷な気持ちになっていました。サディズムの始まりでした。

「じゃあ、いいよ。続きをしようよ」

 と、ツバサくんに伝えてあげます。


 私はツバサくんの左脚をぐっと掴んで、ぷらーん、と、逆さづりにしました。

「み、ミコトさん!? なにしてるの!? やめて!!」

 と、ツバサくんは命乞いをしてきます。

 この男、持ち上げようと思ったらこんなに軽いんだと思いました。まあ身長が低いということは体重も軽いということですからねw

「やめねーよ」

 と私は答えます。このとき、私は自分自身の口調が少しずつ変わっていってしまっていくのを感じていました。

「ほらほら、ぷらーん、ぷらーんw あはは!w チビ野郎って面白いね!w」

 私が笑うと、ツバサくんは顔を真っ赤にして両手で覆い、「い、言わないで」と小さい声で言いました。

 可愛い。

 そう思えました。

 そうだ、ツバサくんって可愛いんだ。なにが可愛いって、小さいところが。

 身長もオチンチンも小さいところが。

 私の力に絶対に逆らえないところが。

 私は彼を逆さづりにしたまま運んで、彼の書斎に入り込みます。

「パソコンのパスワード教えて? 見るから。ツバサくんの秘密、ぜんぶ私が理解してあげようと思うんだ~」

「だ、だめ! そんなのやめて!」

「口答えしてんじゃんえぞ、チビ。てめえ死にてえのか?」

 私がすごむと、ツバサくんは「ひゅっ」と息を呑んで、それからパスワードを丁寧に教えてくれましたね。

 …………これ個人的には超面白いんですけど、そのパスワードが私の本名と私の誕生日の組み合わせだったんです。

「あはははは! おまえ私のこと好きすぎるだろ〜!w」

 私は爆笑しました。

「え、なに? 毎回パスワード入力してパソコン立ち上げるたびに、『あ〜ん、デカ女のお嫁さんのミコトが大好き〜! 今日もふわふわのオマンコにイかされちゃうよ~!』とか思ってたの?

 キモッ!w」

 私が笑っていると、とうとうツバサくんはボロ泣きしてしまいました。

「やめて、もうやめて」

「うんうん、そうやって頑張って無駄な抵抗してな? チビはそれが興奮するんだろ」

 私はニヤニヤ笑いながら、ツバサくんのパソコンのローカルファイルを確認します。

「えっと。

 男って、どうせポルノとか見まくってシコってるんでしょ? 可哀想な性別だよね。週に何回くらいマスターベーションしてるの? そういうことをしないとオチンチンが苦しい感じになっちゃって『あん、ダメ〜ん! 精子を出したいよ~!』みたいな状態になるって話を聞いたよ?

 お前もそうなんだろ? チビw」

「ち、ちが、違います」

「あ、違うの? ウソついたらガチで離婚なんだけど、本当に違うの?」

「ああ〜! ち、違いません! 本当です〜! 実は毎日ポルノを見てマスターベーションしてます!」

「じゃあ最初からそう言えよ、マジでダルい。チビ男ってチンコだけじゃなくて脳みそも小さいのかよ」

 私はそのとき、どんどん自分が豹変していくのを自覚していました。

 そうしてローカルファイルを確認しました。

 衝撃の光景が広がっていたという感じです。

 なんとそこには、大量のAVとエロゲーと同人音声作品があったのです。要するにツバサくんはオナニー中毒者のポルノ依存症だったのです。

「マジ!?w」

 と私はファイル名を確認していきます。

「『僕の大好きな奥さんは、僕の身長2倍のデカ女で毎回僕を犯しまくり』、『身長180センチメートル超え、僕の幼馴染彼女は最強のサディストチアガール』、『お願い! 謎の館に誘拐された僕はデカ女たちに囲まれて篭絡されちゃいました』、『僕より強くてカッコいい女騎士様、浮気しまくっているけどなにも言えませーん』、『不倫デカ妻に貞操帯をつけられる生活365日目』。

 こんなのばっか見てるの!?w」

 私は、ははは、ははは、と笑い転げます。ツバサくんは逃げ出そうとするのですが、

「どこ行こうとしてんの? いっしょに見ようよ」

 と私は蹴って、羽交い絞めにしてしまいました。

「へ〜。

 えっ、これってさあ、要するにマゾってことだよね?」

「う、うう…………はい」

「マゾってなに? 自分の言葉で説明してみせろよチビ」

「ひっ」

「言え」

「だっ、大好きな女の子にいじめられるのが気持ちいいってことです」

「お前の大好きな女の子って誰だよ?」

「ひゃ」

「言え」

「ミコトさんです! 僕はミコトのことが本当に、本当に好きです!」

「ミコトさん?」

「えっ」

「ミコト『様』だろ?」

「はっ、はい、ごめんなさいミコト様! ミコト様を愛しています!」

「このパソコンのローカルファイルにあるポルノ映像をお前の職場に垂れ流したらどうなっちゃうんだろうね? もう仕事に行けなくなるぜ?」

「やだ! それだけはやめてください!」

「やめてほしいならどうすればいいか分かるよな? あ?」

「あっ! も、もうミコト様には逆らいません! 絶対に! 絶対に逆らいません」



「最初からそう言ってりゃいいのに、わざわざこんな手間取らせやがって、雑魚が」



 私はそう言ってから、ツバサくんを解放してあげました。

 そして、私は泣きじゃくっているツバサくんといっしょにパソコン内のポルノ映像をいっしょに鑑賞します(肩を組んであげますw)。

「ふーん、デカ女もののポルノばっかりだねえ」

 と私は言いました。

 そうなのです。

 私はツバサくんの人柄に惹かれていました。少なくとも最初はそのつもりでいました。だけどツバサくんのほうは違っていたみたいですね。ツバサくんは最初から、自分よりも大きい女の子に屈服するのが夢だったみたいです。

 しかも、それだけではありません。ツバサくんは自分を屈服させてくれるデカ女に浮気されまくるのが好きな「寝取られ」性癖でもあるようなのです。

 こういうことって結婚する前に言わないものなんですかね?

 まあいいや。

 私はツバサくんに、

「まあチビ旦那とのエッチも気持ちよくないし、こんどマッチングアプリで相手を募集してやるよ。どんな男性がいいの?」

 と言いました。ツバサくんは、

「だめ、だめだよ、これはあくまでフィクションというか、ファンタジーとして楽しんでいただけというか。ね?

 本当に好きな女性に浮気してほしいわけないじゃん!

 お願い、ミコト、やめて、お願いだからやめてよお!」

 こんな風に抗議してきました。

 私はもう聞く気がありません。

 だって、そんな風に本気でイヤがっているから、本気で気持ちよくなれる。それがチビマゾ男の本能なんでしょう?

 私はツバサくんのことが好きだから、ちゃんと満たしてあげたいんです。だから彼が本気でイヤがることをたくさんしてあげたいと思っています。

 たとえば、本気の浮気w

 たとえば、本気の托卵w

 そうして離婚届を出して家から追い出すときに、ツバサくんってばいったいどんな表情を浮かべているのでしょうか?

 射精しながら玄関を開けて家を出ていったらウケますよねw


 これが私たちの夫婦愛、です。


 さて、

 長い話になってしまいました。

 ここからが本題になりますが、

 私は今、ツバサくんが満足できるような「私の浮気相手」を探しています。ツバサくんのほうはもう貞操帯をつけて、1ヶ月も射精できていません。毎日のように私のところにすり寄ってきて「つ、辛いよお」と言ってくるのが、

 正直キモいですw ウケるw ミジメですねw

 そんなツバサくんをもっと喜ばせるための男性をこのインターネット掲示板で募集しようと思いまして、今回、このような投稿をしました。ほんの少しでも興味のあるかたはDMよろしくお願いいたします。

 きっとツバサくんも喜びます。ツバサくんの目の前でセックスしようと思っているので、そういう行為に抵抗のないかただけ募集しますね。条件は、身長が高いことですw そういう男に抱かれながら、私がツバサくんを見下ろして「チビ男! お前みたいなカスにセックスなんかする権利ねえんだよ!w」と言ってあげるのが夢なんです。きっとツバサくんのほうも気持ちよく貞操帯のなかでドクドクって射精できると思います。

 チビ男ってそのくらいしか女を楽しませる要素ないですもんねw

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