<随筆> 自分に、いわゆる『教養』があるかについて

夢美瑠瑠

第1話


 「教養」と、一口に言うが、定義も色々で、理解も人さまざま?

 大学の教養学部を一応卒業はした。

 どういう勉強をしたかというと、高校の延長のところもあったが、より専門的に分化された内容の、「学問」という感じのことでした。


 専門的と言って、つまり、語学だとドイツ語を習ったり、数学だとほとんどチンプンカンプンの高度な数学。

 法律なら憲法とか、社会学、図書館学とかもあった。 


 だから、初歩よりはウエで、ほんとうの専門以前❓ そういう範囲の網羅的な基礎的な満遍のない学問のアウトラインを、総合的に教養という…岩波文庫をたくさん読んで、一般教養を身につけないといけません、と、わたしたち旧世代?の学生とかは指導された。


 新聞の広告で、「語彙力・常識力検定」の問題集?というのが見かけるが、オレはああいうのはわりと昔から得意です。

 

 図書館に頻繁に通って、いろいろと立ち読みしているだけでも、そういう教養の大事さみたいな発想の著書には事欠かず、どうしてもそういうセンスに同調するようになる…そういうところもある。


 物静かで、いかにも「碩学」と見える大学教授…実例を出してもいいか?わからんですが、秋篠宮家の紀子さんの父君の学習院大教授?とか、風貌からして、「教養」がにじみ出るようなタイプに思えた…ブラック企業とか世間知とか?あまり関係のない世界に生きていて、そういう雰囲気になられる場合もあろうとは思います。


 「教養人士」とも言う。わりと早世した従姉が、「節子さん」と言って、結局どういう人か話に聞くだけだったんですが、母が「セっちゃんは、見るからに教養がにじみ出ている」とか、めったに聞かない表現で賞揚していた。

 で、本とか贈ってくれたことあったので、「どういう人やったんかな?」とかたまに夢想しますが、なんとなく聡明そうな、清潔そうな…知り合いの婦長さんに似た人かも?とか想像したりします。


 最近は、YouTubeでクイズノック、というグループが人気だったり、クイズの番組がいろいろあり、オレはああいう一般常識とアイキューを競うようなタイプのクイズに強くて、「もしかしたらわりかし教養があるほうなのかな?」と、錯覚しそうになる。

 本当のところ、「教養とは何か?」

 そうして、自分にあるのはどれくらいの水準なのかな?と、考えてみたくなったわけです…


<続く>大学は、文学部心理学科卒業。

が、幽霊学生みたいな、スチューデントアパシー?ぽい、なんだか中途半端に逸脱して、そのトラウマも引きずってます。

が、やはり全く無為なわけもないから、たくさん読書もした。友人とハナシもした。


若い柔軟な精神で、様々に濫読をしていて、その頃の読書で自分の基本的な土台が形成されている感じもある。

若い頃から読み続けてきた著作家、興味のある分野、そういうのはだいたいやはり精神世界とか心理学、精神医学、SF、そのへんに偏している。

自分と社会との齟齬、違和感、そういう悩みを宿痾の如くに抱えて、怏怏としてばかりいた結果だとは思います。


それを別に「偏り」みたいには思わず、というか発想自体が未分化過ぎたかも?やが、自然にココロの病とか精神分析、サイキックなテーマのSF、そこら辺にしかリアリティを感じにくくて、今でもその延長で、「精神的な癒し」みたいな方面のことを書いたり考えたりする機会や時間が多い。


昔は性や恋愛?そういう方面の話題というか、およそ「異性」というものがハードル高過ぎるようなイモっぽい人物で、今もあまり変わらんけど? 多少リアリティが増しては来ていて、「痴人の愛」の主人公の生活や気分がよくわかるような遊惰な暮らしの時もありました。


年の功というか、視点が客観的に普遍妥当化してきて、精神世界への拘り?それが自分の運命バイアスとか、個人的な事情という捉えも最近は普通にできる。

だから、まあいろいろ「傾倒した」著作家の誰それも、自分的なバイアスに基づく運命的な選択、必然的な邂逅、確かにそうには違いない、回りくどいですが、今になるとそう思われる。


社会には違和感しかなくて、で、人気のある推理小説とか敬遠するというか、普通にベストセラーの、いろんな「話題の本」みたいなのには、どうもおカネ払って読んだり?ハマったりしにくかった…


ですが、最近は、昔より、より自分の「ココロ」の中とかのほうに関心を向けるというか、そういうオタクな自閉症ぽいベクトル?に違和感が無くなってきている、時代思潮がシフトしてきている、そんな雰囲気もある?


ナニかの本に「教養とはひとりでいても退屈しない能力」とか書いていたが、最近のように、自分の中に幸福や自己実現のための価値観の物差しを、個性的なオリジナルな定義? より自分志向な行動原理?様変わりしてきた社会に適応していくためにも、そうした「古くて新しい教養」が必要…なんとなくそういう気はします。



「教養」という言葉は、「culture」の訳語と思う?

 明治にいろいろ西洋語の翻訳語が作られて、そのうちの一つと思います。

 で、知識が生半可ですが、これは「耕す」という言葉が原義。

 Agriculture は「農業」ですが、「土を耕す」という意味。

 

 culture は「文化」の意味もあり…

 荒土を耕して、田舎者をマイフェアレディに育て上げるような感じに洗練していく…そういうニュアンスの表現と思う…


 原始人が勉強を重ねて、で文明人ぽくなるために必要なのが「教養」。

 まあお仕着せというのも変やが、後天的に努力して構成涵養するという、そういうニュアンスが始まりと思います。


 「常識」だとまたニュアンス変わってくるが、このほうが基本的で、掃除をするのが常識で、さらに耕して教養人ぽく収穫可能にする、高い人間性の温床とする、努力をすることで得られるのが、教養やら文化、そういう高尚なもの?

 しつこく書きすぎたがそういうことだろうか。


 だからまあ、Prespiration が、知的生産につきものなのはエジソンを俟つまでもないし、そういうことを、トーマス・マンも「小フリードマン氏」でシニカルに表現していた。


 が、余計なものが教養、文化、ひいては文明、若干そういうニュアンスはあっても、そこが人類とそれ以外の自然物の違いで、そのプラスαあってこその人類で、個体発生は系統発生を繰り返す、とも言うが、頑張って勉強して教養を身につけてこその人類なのだと思う。 人間は人間になるために努力して労働し、」成熟し、勉強を重ねるのだ…教養はむしろ最終目標。


 自己実現にも、物事をいろいろと深く知って、この世の摂理というものを体得する、自分なりの定義を創る、構築する…そういうプロセスが必要?


 「汝自身を知れ」とソクラテスが言ったのも、アリストテレスが「人生の秘訣は生きること」と言った、両方を合わせて考えると、究極の幸福というか、目標というか、生きる真実の意味というものとされる自己実現のためには、



 こういうことを考えるのには、いかにも教養、読書、哲学的思惟の訓練、やはりそういうものが欠けている…


 だいたい挫折するのです。 で、読書が少なくともいかにも不足しているなあと嘆息することが多い。 



  で、「教養」という言葉について、オレの考える定義はというと、正直あいまいで、「まだまだ身につける途上のもの」で、本当の教養? を獲得したいという希望は、十代のころと変わりのないくらいに、ambicious な切望。


 で、なぜかというと、いろいろと嫌なことばかりの生涯で、辛酸ばかりを舐め続けてきて、負け犬根性? inferiority complex? が骨の髄まで染み透ってしまっていて、そこが諸悪の根源になっていて、それをなんとかしたい、実利上の欲求である。       

 なんでも一種の病気治療、セラピーとして、あるいは被害者性の減殺、そういう発想でつい考えてしまい、もう背水の陣で、あんまり脳天気に構えていられんから、と、それももちろんありますが、


 イメージとして、種々の文学作品とかで、あるいは実際の文学者やら、Authr 、類まれに才知やら教養に恵まれた人物、そういう知的なアイドル?のイメージには事欠かず、自分が人生行路の到着点で、そうしたひとつの人間的完成をなしえた、そういう実感を得るのには、その基準としてまだまだ不足している「本物の教養」といえる必要条件というか? いろんな関門、難題をクリアしていかなくては…混乱してきましたが、つまりは研鑽願望?向学心と思います。


 田舎者で、ASDのオレが、と、烏滸がましい。 確かにそういう風に四六時中批判する雑音は絶えないし、茨の道が連続してはいくと思うのですが、ひたすら持続してきた読書とかネットへの投稿とそのための執筆、そういうところにしか「吾を生かす道」は有り得ない。

結局、昔に初めて読んでいた武者小路実篤さんの名高い名言の、そういう決意?態度表明?ギリギリの覚悟のところに再帰した?



 ですが、学問教養、そういうものに「王道はない」これは「捷径」のことです。


 だからあせらずくさらず、地道に頑張っていこうと思う。








 

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