掛け違えたボタンのまま

@RENTUMU

第1話


掛け違えたボタンはまた戻せば良い。


でも一度すれ違った僕らはもう元には戻れない。



君との別れは まさに掛け違えたボタンのようだった。



少し女々しいけど 神様またボタンをつけなおさせてほしい。




「もういいかな。私 君とはここまでにしたい」



駅で突然発せられた言葉。


いや 突然ではなかった


その予兆は今までもあったはずだ。


ただ 僕が見逃してきただけで。


「なん…わかったよ いままでありがとう」



「うん。 ありがとう

さよなら」



ありえないほどあっさりと

僕らの2年間は終わった。


駅へ向かう人たちと

街の喧騒に君はとけこんでいく



その背中をただ見ていることだけしかできず



ずっと胸に なんでどーして?って疑問をいだいたまま


さっていく君をみていた。




次の日 学校に行くために支度する


君とは同じクラスだから 少しの気まずさはあった。


足が重たい。


こんな日でも登校しなきゃ行けないのか


いっその事 仮病でも使って休んでやろうか



そんな悪魔の囁きをふりはらい


なんとか家を出ることが出来た。



そうだ。


せめてどうして僕は振られたのか


それだけでもききたい


なんとか君に話しかけて



…それも難しいかもなあ



なんて考えていると

いつの間にか 教室の自分の席についていた。



ホームルームが始まる5分前


彼女は いつもギリギリに投稿してくる。



ただいつも通りならもうとっくに来てる。


あぁ 流石に彼女は来れなかったか



申し訳ない 事をしたのかもな


ちゃんと謝らないとな



それ以降


2週間たっても彼女は学校に登校してこなかった。


よっぽど嫌われたのか



学校の友達は僕達になにかあったのかとはやしたてるが


僕があまりにおちこんでいるから


みんなもそこまではしゃぐことは出来ずにいた。




僕はいつもそうだ。


制服のボタンもよくかけ間違える



僕はいつも間違える。


いつも いつだって…。



次に彼女に会えたのは

彼女の葬式だった。



末期のがん だったらしい


学校にも体に鞭打って登校してきていた。


僕とのデート中でも本当は苦しかったんだろうな



ごめん ごめん

君の最後の時間を僕なんかに使ってくれて。




…。



最後まで彼女は幸せだったんだろうか。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




背景 せせらぎくんへ


急にお別れを告げてごめんね


やっぱり怒ってるかな


この手紙を読んでてくれたら嬉しいな


でもそれは贅沢なのかもね



私ね せせらぎくんといてとっても楽しかったよ


幸せだった


一緒にいった遊園地も動物園も

水族館もなにもかも ずっと私の中に残ってる。


せせらぎくんの中にも残っててくれたら嬉しいな



…せせらぎくん ありがとう


本当に幸せだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



彼女の親から手紙を渡された。


でもきっと 僕に対しての恨みつらみの内容なんだろう。


今の僕にはとてもじゃないけど

読むことは出来ない。


またこのキズが癒えた頃 読んでみよう。


その時までは さよならだ。




fin




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