オリジナルアニメ批評
abu hurairah
オリジナルアニメの話をします。
「猫のクラちゃん〜Ordinary Days」という作品が、2025年現在放送中である。
iPhoneのブラウザのせいか、海底ケーブルが切断されていたせいか知らないが、公式サイトが真っ白で何も見えないという痛恨のミスが起きている。
ピクシブ百科と中国語のWikipediaをDeepL で翻訳して読み、何とかこの作品を知る事ができた。
1998年、台湾で開設されたネット掲示板発の、マスコットキャラクターなのだという。
それなら私の厳しい基準では「原作あり」となり、オリジナルアニメとは見做されない。
「ハケンアニメ」は辻村深月氏の小説を原作とした実写映画作品である。
少なくとも作中作の2つについては、原作の無いオリジナルアニメであったように思われる。
「鉄腕アトム」(1963)と「宇宙戦艦ヤマト」(1974)は漫画作品が原作である。
だから、アトム→ヤマト→『ガンダム』(1979)→『エヴァンゲリオン』(1995)→『魔法少女まどか⭐︎マギカ』(2011)という系譜のうち、前二つはオリジナルアニメではないと言える。このうち前四つは60,70,80,90年代を代表する「覇権作品」ということになっている。共通項としてはSFであるという事が挙げられる。しかし私は思うのである。私が見ているランキングサイトは、放送開始をもって、夏アニメ(7月期)とか秋アニメ(10月期)だとか分類する。冒頭に挙げた台湾発のキャラクターアニメ「猫のクラちゃん」は、7月期とされながらも11月現在も放送中の、いわゆる「2クール作品」である。
へえ、放送開始時点で分けるんだ。じゃあ、『ガンダム』って70年代じゃね?となるわけである。
そして私は、ガンダムのオルタナティブ作品と、2クール目、2期目(第2シーズン)以降を「2次創作」として、オリジナル脚本であってもオリジナル作品とはしない事にする。ガンダムはともかく、2クールや2期を2次創作扱いするのは無理があるように思われる。なぜなら『エヴァ』の劇場版や『ガルパン』、『まどマギ』の続編なんかを扱えなくなるからだ。ジブリを考えてみよう。『ゲド戦記』と『ナウシカ』『未来少年コナン』『カリ城』には原作があり、『もののけ姫』『千と千尋』にはない。それらと『サマーウォーズ』や『バケモノの子』を同じ土俵で戦わせる事になるのだ。『ガンダム』や『エヴァ』とは媒体のみが異なる事になる。
そして、「無限列車」「無限城」「レゼ編」「呪術廻戦0」といったジャンプ人気作品や「この世界の片隅に」は端から対象外という事になる。理由はすでに原作が公開済みであり新奇性の無い二次創作であるからだ。
ここで面白い事が発生する。テレビ版の「鬼滅の刃」「呪術廻戦」「チェンソーマン」について、それぞれ社会現象、最も需要の高いアニメ作品、そしてコケた黒字作品という評価になる。でも「チェニメ」は二次創作だから、原作の第一部だけ読んでおけば良いとなればどうだろう。少しは救われるのではないだろうか。作者の藤本タツキ先生は、MAPPAについて「ドロヘドロ」や「呪術廻戦」を挙げていたが、その二作品についても漫画を見れば良い。後者は完結してるらしいし。
MAPPAは自らの看板に泥を塗った。これ以上MAPPAの作品を見なくて良い。グッバイ、MAPPA。アイラブ・ユーフォーテーブル。レザ編の先の話だって、カラー版まで買って読んだし、何なら二部だってジャンプ+で追えてるし。
気分はミサトさんの部屋を去るシンジくんだ。
「君がMAPPAに絶望してしまったことも知ってる!」
「僕はもう、MAPPAは見ません。」
オリジナルアニメの話に戻ろう。
『ガンダム』、『エヴァ』までは16年の間隔が開いており、エヴァの16年後は丁度よく『まどマギ』だ。
そして来年公開のまどマギ続編だが、続編を二次創作として扱う事でオタクに逃げ道を用意し、その心を救う事ができる。第一期の最終回までで判断せよ、と。最悪後は蛇足と言い切ったっていい。完結まで追わなきゃオタクじゃない? こちとら資本主義の奴隷じゃないんだ。完結まで追った作品は「進撃の巨人」しか思いつかない。「鬼滅」や「東京喰種 Re」は原作で完結まで読んだ。そう、アニメじゃなくても追えるのである。じゃあ漫画原作を追ってるやつはマンガファン、なろう作品を追ってるやつはなろうファンと呼んでやろう。彼らの呼称がアニメファンでなくてもいい。オリアニファンをコアとして、全ての総称が結局はアニメファンだから別に良いのだが。
アニメ版「チェンソーマン」、通称チェニメを認めなくたって良い。これ以上はMAPPAの悪口になりそうだ。『ユーリオンアイス』の続編が無くなったって、テレビ版を一つの完結した作品として判断できる。
何が言いたいかと言うと、『けものフレンズ』は覇権作品であり、ネクソン版とけものフレンズ2とけものフレンズ3を対等に扱わなくてよくなる。そして、そんな『けもフレ』すら、ゲーム原作という事になるのだ。「ダンガンロンパ」「シュタゲ」「グノーシア」「fate」「CLANNAD」「リトバス」「ひぐらし」と言った豊かな文脈の海の中に放流する事ができる。
また、面白いのが、「三次創作」と呼べる存在のことである。本来は二次創作の設定を踏まえてさらに二次創作する時にそれは起こる。しかし漫画原作のアニメ(チェニメやレゼ編)を二次創作と見た時、放映前は少なかった二次創作が、動きなついたアニメとなると知名度も相まってか、段違いの作品数となるわけである。じゃあ漫画を見て作られたアニメもファンアートもともに二次創作として戦わせる事ができ、アニメのファンアートは三次創作として新たな価値観を与える事ができる。
なぜ一次創作が良いのか。それには「実物を見て描け」という言葉が鍵となろう。冬アニメ(2025年1〜4月放送)の『全修。』を見よ。走ってる同級生をアニメーションに描いて居るではないか。さういふ事である。漫画をみて描こうとも、アニメを見て二次創作や三次創作をしやうとも、それは実物を見て描いたわけではないのだ。ただそれだけである。カメラで撮って写真を見れば良いだけの事じゃん、というなら、それも一つの価値判断、一つの意見である。
ではなぜ人は描くのか。金のためか評価のためか、それとも楽しいからか。最初はみんな楽しいからじゃないかな。知らんけど。答えは描く人の心の中にしか無いのである。
もう一度、オリジナルアニメの話に戻ってみようと思う。オタクらしからず、エヴァだのガンダムだの、古い事を言ってしまったと思う。歴史が無く、サブスクの時代に時間性を無視して作品が見れる(「クラちゃん」とか)一方、やはり新作に齧り付くのもオタクらしさといえよう。
『全修。』『Turkey!』『ネクロノミ子のコズミックホラーショー』は2025年の作品だ。春アニメ(4〜7月)にはオリジナルアニメが三作品公開されたそうだが、どれも見逃してしまった。サブスクに追加されるといいな。そう、サブスクと相性の良いのは「一気見」であり、「今期」の新作は「リアタイ」なのである。
今期は『SI-VIS』と『永久のユウグレ』がある。まだ完結してないから評価はできない。『Turkey!』も完結の前後で評価が異なると思う。
あと、2024年以前の最近のオリアニとして、『ODD TAXI』『ニンジャカムイ』『東京24区』『夜クラ』『ガルクラ』『リコリコ』などを挙げておく。見てよかったと思うのは『オッドタクシー』と『リコリコ』である。他は1話かそこらで切った。
今期見るアニメは「羅小黒戦記」だけだ。これはビリビリという動画サイトに投稿されたwebアニメをリメイクしたものだそうだから、オリアニではない。そうなると『ミルキーハイウェイ』の二次創作が「ミルキーサブウェイ」であり、web版の『ケムリクサ』とTV版(二次創作)を峻別し、前者のファンの体感地位は向上し、『へんたつ』は紛う事なきオリジナル作品という事にはならないだろうか。お後がよろしいようで。
まとめ
・サブスク時代に時間を超越したい。
・とはいえ新作は一気見ができない。
・「二次創作」だと言ってしまえばいい。二次創作が日本文化のB面なのだ。そう思えば、ニコニコにあったMADや、フラッシュ動画、アニメのフィルムコミック、ヒカマニなんかもまとめる事ができるのだ。
・二次創作でない一次創作活動や新規性とは何か。それは多分「実物を見て描け」なのだと思う。正岡子規の「写生」や、プレバトの夏井先生とほぼ同じだろう。
オリジナルアニメ批評 abu hurairah @karifu_neko
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