カクヨム飯
ぴよぴよ
第1話 卵かけご飯とワカメスープ
生理現象が鬱陶しい。
そう思い始めたのは、カクヨムで執筆を始めて、数週間が経過した時だった。
生きることは面倒だ。生きていれば、食って、寝て、体の汚れも気にしないといけない。
特に食事のなんと面倒なことだろう。
食材を調達して、作って、咀嚼して、消化して。そんな面倒なスケジュールをこなさなくてはならない。
食事を面倒がってほぼ何も食べなかった時があった。明日の自分が食べてくれるだろう、なんて思いながら食事を抜いた。
腹が膨れてどうする。何がクリエイティブだ。飢餓状態の時こそインスピレーションが湧くものである。満腹で文章が書けるか。
文章を書いていると、魂が内側から熱されるような感覚になった。
私にとって執筆は、自分との対話である。つまり長い独り言。
私は周囲から、変人なんて呼ばれているのだが、その通りなのだろう。
この長い独り言がないと、どうにも生きるのが下手くそになってしまう。
満腹で魂を燃やせるか、なんて思っていたからだろうか。
ある時、高熱を出してしまった。熱はなかなか下がらず、体調はますます悪くなるばかり。「いやあ、どうしてだろう」なんて絶食しながら考えた。
数日寝込んで、カクヨムを更新しながら気づいた。
そうか。何も食べていないからだと。人間は何も食べないと、免疫が落ちてしまうのか。あらゆる病気に無防備になってしまう。
バカなことをしたなと反省した。
ついでに、風呂キャンセル界隈の住人にもなりかけていた。
体の世話は怠ってはいけないと、学んだ。
絶食生活はやめることにした。
しかしどうしても時間は惜しい。咀嚼する暇があるなら文章を書いていたい。料理をする時間なんて余計に惜しい。
だって仕事もしているのだ。こんなに文章のことばかり考えているのに、私は専業作家ではない。仕事して、飯まで食っていたら、書く時間がなくなるだろう。
だが飯は食わねば。このままだと自分の文章に埋もれて、死んでしまう。
そうなれば文章が書けない。これは由々しき事態だと思わんかね。
絶食をやめようキャンペーンを開始して、数日。私はゼリーとたべっ子動物を食べまくっていた。たべっ子動物の、なんと美味しいことだろう。
塩味が効いて、程よく薄いあのビスケットにすっかり夢中になってしまった。
いろんな動物の形をしているのも、面白い。わざと頭から齧ったりして、霊長類の強さを見せつけるのも悪くない。
だがある日。やはり米が食べたくなった。
たべっ子動物でできた体を、静かにさすってみた。
やはり飯が食いたい。私だって例に漏れず日本人だ。白米を食わなくては。
早速、食事の準備に取り掛かる。なるべく早くできるものがいい。
冷凍していた米を電子レンジにかける。卵は生卵でいい。
あっつい、あっついと言いながら、ラップに包んだ米を電子レンジから出した。
深めの椀の中に、米を放り込む。そいつに生卵を二つ割り入れた。
ここでワンポイント。ごま油を少し垂らす。ほんの少しでいい。香りが良くて、米がうまくなる。さらに醤油をぐるりと回しかける。
そしてぐるぐると箸で混ぜる。
卵かけご飯を作る時、全部黄色にならないと気が済まないのは何故だろう。少しでも白いところがあるのを、私はあまりよく思っていなかった。
そのあと、納豆も仲間に加えて混ぜる。
これでボリュームたっぷりの卵かけご飯ができ上がった。
卵かけご飯だけでは足りないので、スープも作ってやる。今回はワカメスープにした。
作るといっても、粉に湯をかけるだけなのだが、これも立派な料理だ。
こうして簡単な夕食が出来上がった。
パソコンの前に料理を持ってきた。書きながら食べるなんて器用なことはできないが、自分の文章を見返しながらなら、食べられるだろう。
卵かけご飯を食べてみる。うん。安定してうまい。鶏に感謝だ。
卵と醤油はどうしてこんなに合うのだろう。大豆の汁と鶏の無精卵が、ここまで相性が良いとは。もしかして鶏が大豆を食っているからだろうか。そんな話を聞く。
ドロドロの卵が、米の熱でしっかり黄色に固まるのも不思議だ。
米の一粒一粒に、しっかり卵がコーティングされている。どの米にも味が染み付いている。しょっぱくて、ちょっと甘くて最高。
そいつに納豆の味わいがプラスされているのが、またいい。
納豆が入っていると、糸が伸びて食べにくいのだが、それでも卵かけご飯には納豆だ。
米と納豆の組み合わせは、相性抜群である。
箸で糸を操りながら食べた。やはり夢のように美味い。
卵かけご飯と納豆。一気に喉に掻き込むと、鼻から卵と納豆の香りが抜けていく。
あったかくてとてもいい香りだ。
口の中がネバネバになったところで、ワカメスープを飲んだ。
すっと納豆の糸がほぐれていく。やっぱりスープを作っておいてよかった。
うまかった。やはり卵と納豆、ワカメスープの組み合わせは最強だ。
絶食し続けてきた私だが、こうして食事するのも悪くないと思えた。
これからは食事を趣味にしてもいいだろう。毎日食事をするくらい食事が好きだと言える。
食事をすると、多少は眠くなってしまうが、力も湧いてきた。
やはり食事は元気の源なのだろう。気軽に抜いていいものではない。
カクヨムのお供に、温かい食事をつけよう。
みなさんはどんなご飯を食べているだろうか。
執筆の友に、何を食べているだろうか。
コメントで教えていただけると嬉しい。
私はどうかと問われれば。
執筆中に食べているものは、たべっ子動物だ。
手は汚れるが、あの薄いビスケットをしっかり噛むと、新しいアイディアが浮かんでくる気がするのだ。それとバカみたいに牛乳を入れたミルクティー。
子供みたいだと言われるだろう。
しかしこの組み合わせ、ぜひみなさんにお勧めしたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます