「メカ恐竜魔法少女Z-レジイナ」第一部「熊害(ゆうがい)因習県」篇
@HasumiChouji
プロローグ
熊本市内に出現したアーバン熊の殺害に成功?……待って、それ……どう考えても……
「ら……らんるちゃんさぁ……この熊、どう考えても……」
「たまたま似てるだけだろ……」
「いや、だって、何で、熊本に野生の熊が出るのッ? 九州に野生の熊なんて居ないよッ‼」
「アニメなんだから、そ〜ゆ〜ツッコミは勘弁してやれよ」
「い……いや……待って……ちょ……こ……こ……こ……」
「どうした?」
「こ……こ……このアニメ作ってる人達、絶対、頭おかしいよ」
「おい、根拠もなく他人を@#$%扱いするのは感心しないな」
「ちょ……ちょっと待って……トイレ……うわっ……」
TVの画面の中で、主人公が変身した
親類の運転している車の中で、目が醒めた。
どうやら、子供の頃の事を夢で見ていたらしい。
子供の頃から「萌え系」ってヤツが苦手だった。かろうじて許容出来るのは「萌え系」の中でも平均からかなり外れたヤツだけ。
けど、世の中ってのは、ままならない。
高校の頃からの長いお付き合いの正規分布ってヤツの説明よろしく、結局は、人気が有るモノが平均値・中央値・最頻値を兼ねる事になる。けど、何の因果か変人……いや、狂人かも知れないが……に生まれてしまった私は、そんなモノは安易でダサいモノにしか思えなかった。
そうだ……私は……30年に満たないとは言え、人生の大半において、「萌え系」の絵が、博多の繁華街の看板や電光掲示板から住宅街のパチンコ屋の幟にまで溢れ返る事態を「人類の知的退廃、ここに極まれり」って想いで眺め続けるしかなかった。
ただ、小学校低学年の頃に、たまたま観た魔法少女モノの深夜アニメだけは例外だった。
熊本県の阿蘇山の近くに住んでいる平凡な高校生の女の子が、中生代から来た獣脚類の
暴走する軽自動車から幼稚園児を護る為、その車を蹴飛ばし……そして、暴走車は、モノ凄い勢いでスッ飛んで行き、
熊本市内の繁華街に出没したアーバン熊や……人類との
だが……主人公達が様々な困難を乗り越えて護った筈の人類は、自分達が引き起した地球温暖化の影響で、あっさり自滅してしまう。
最終回は、中生代から人類が居なくなった地球に引っ越してきた恐竜
大きくなって、アニヲタの知り合いに、その作品の事を訊いても……何故か、その作品の事を知っているらしいヤツは1人残らず真っ青を通り越して、ピーター・ジャクソン監督の「ホビットの冒険」に出て来たオーク達より真っ白な顔色になり、何も答えてはくれなかった。
一応は中学の頃に、Wikipediaで、それらしい情報を見付けたが、そのページの頭には「編集合戦が起きているので当分は編集禁止」「この項目には不正確な内容が含まれています。どこまで信用出来るか判りません」って事を意味するマークが表示されていた。
なので、どこまで信用出来るか判らないが……どうやら、その作品の主な製作スタッフや声優は、その後、ほぼ全員がメンタルを病んでアニメ業界から消えてしまったらしい。まぁ、アニメ業界ってのも理不尽が罷り通る界隈らしいので、残念ながら、そんな事も有るだろう。
けれど、私は諦めなかった。……いや、ひょっとしたら、私が自分でもその事を自覚出来るレベルの変人・狂人である事を考慮すると、私の脳内に「何かを諦める」って機能が欠けてる可能性も有るが……。
ともかく、私は決意し……努力を続けた。
子供の頃、好きだったアニメが、世間からどころか薄情なオタクどもからさえ忘れ去られようと……私は、私にとってのヒーローだった、あのアニメの主人公のような人間……恐竜さんかも知れないが……になるんだ……と。
ただし、
「おい、
車を運転していた
「もう、引き返せないよ」
そうだ……
「私が死んだら、私の財産は全額、指定した慈善団体に寄付してくれ。私が持ってるより、余っ程……」
「いや、ちょっと待て、その場合は、あたしにも少し寄越せ」
「駄目だ。もしもの事が有った場合の遺言状は弁護士に預けてる。今から書き直すとなると、九州まで引き返さないといけなくなる」
「くそ……でも、ターゲットはツキノワグマだろ? たしか、ツキノワグマのオスの成獣の中でも重量級がエゾヒグマのオスの成獣の中でもライト級相当なんだっけ? なら、250㎏オーバーのエゾヒグマをブチ殺せたんなら……」
「そこが問題だ。単に巨大で強力な単体の熊をブチ殺すのとは、難しさのベクトルが大きく異なってる可能性が有る」
「な……何だよ、そりゃ……」
「ここ数年で……
「へっ?」
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