このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(159文字)
身近なものを主人公にした語り口がやさしく、自然と物語の世界に引き込まれました。童話らしい軽やかさの中に、ふと立ち止まりたくなる感情がまじっていて、印象に残ります。 読み進めるうちに、できることと、やってみたいことの間で揺れる気持ちが、どこか静かに伝わってくるようでした。強く語りかけてくるわけではなく、そっと隣に置かれるような感触が心地いいです。 読み終えたあとも、その余韻が残る一編でした。
前作に引き続き、優しい語り口と世界観でありながら、その奥底に「人としての生き方」という普遍的なテーマを投げかける独特の作風が、今回も心に深く響きました。この物語は、具体的な「解決策」を示してはいません。しかし、この世界観の中でトースターの葛藤に触れることで、自分と同じ気持ちを抱えている誰かがいると感じられ、心が温まり、少し楽になったように思います。他者の期待や、自分の得意に囚われそうになったとき、またこの作品を読み返したいと思いました。これからも応援しています。