俺の彼女は下着泥棒
ここグラ
怪盗パンツ、参上!!
「私、下着泥棒になる!!」
突然、俺の彼女である
「すまん苺、俺の思考回路が上手く処理出来ていないみたいなんだが……もう一度言ってくれるか?」
「だから、下着泥棒になるの。名前は……【怪盗パンツ】!!」
「……」
とりあえず、俺……
何せ可愛い、ちょっと子供っぽいが、クラスでも三本の指に入るくらい可愛い。俺と苺は同じ学園の同じクラスに所属している、いわゆるクラスメイトであり恋人同士な関係だが、クラスの野郎どもにもよく羨ましがられる。実際、俺もこんな可愛い子が彼女だなんて恵まれていると思う。
「苺よ、泥棒は犯罪だっていうのは分かるよな?」
「大丈夫大丈夫、女の子同士だし」
「いや、それでも犯罪だから」
「敬君堅いなあ、じゃれあいみたいなものだよ」
……この光景をクラスメイトが見たら、どう思うんだろう? 今日は休日で俺の部屋に遊びに来てくれているのだが、大事な話があるからって言われて何だろうと思ったらこれだ。色っぽい話かもと期待してたのに……いや、ある意味色っぽいのか?
「考え直せ苺、お前の行く末が心配だ」
「安心して敬君、私こう見えて手先は器用だから怪盗に向いていると思うの」
「そういう意味じゃねえよ!!」
「こればっかりは敬君のお願いでも聞けないよ、私には……大いなる目的があるから。それじゃ、準備に入るから!!」
苺はそう言って、部屋の窓からひょいっと出て行った。そういえばあいつ、小柄だけど割と体力あって運動神経も良いんだよなあ。手先も器用なら、確かに怪盗に向いているのかもしれない。頭のネジが一本外れているようで、実は頭自体は結構良いし。
「いやいや、そういう問題じゃねえだろ!! どこの世界に下着を盗む大怪盗がいるんだよ、探偵も恥ずかしくて対決出来ねえって」
苺の両親に相談……いやいや、出来るわけねえだろ。『お宅の娘さんが、下着泥棒になるらしいです』……言える奴がいたら見てみたいわ。とりあえず……様子見るか。
***
翌日の朝、俺は登校しながら苺のことを考えていた。改めて考えてみたが……あれは苺なりのジョークだったんじゃないだろうか? 恋人同士の関係がマンネリ化しないためとか……うん、そうに違いない。そう考えると何だかスッキリした気がするぞ。
「おはよう!!」
元気よく教室のドアを開けると、そこにはクラスメイトの
「どうしたんだ星野、悩み事か?」
「あ……下北君。まあ……そんなところかな」
「良かったら相談に乗るけど?」
「うーん……」
俺と星野はそれなりに仲はいい。とはいえ俺は男子で星野は女子だ、言いにくいこともあるのかもしれない。
「無理に言う必要はないけど?」
「……まあ、良いか、下北君だし。実はね」
「ああ」
「下着……盗まれちゃったの」
その瞬間、先程スッキリした気持ちはすべてすっ飛んでいった。俺は……苺の行動力を甘く見ていたのかもしれない。
「あ、もちろん部屋のタンスにしまってあるものだよ? 今はその……ちゃんと履いてるし」
「お、おう」
一瞬、履いてない星野の姿を想像してしまったのは……内緒だ。
「しかもね、こんなものまで事前に私の部屋に届いていたの」
星野がスマホで撮った写真を見せてくれた。そこには……予告状が映っていた。
『今晩、あなたの下着を頂戴しに参ります by 怪盗パンツ』
「……」
苺よ……どこの世界に予告状を出す下着泥棒がいるんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます