総実残念日誌

喜多殿

とりあえずプロローグ

──総合学芸実践専門学校。通称「総実(そうじつ)」。


パンフレットにはこうある。


「なんでも学べる総合校。実践力を身につけ、未来を切り拓く!」


……とても華々しい。

が、実情は違う。


カリキュラムは謎に満ち、教師は個性を爆発させ、

学生は毎日のように事件に巻き込まれ、

卒業までの5年間を無事に生きて過ごせた者だけが勝者と呼ばれる学校だ。


そんな総実でたくましく?生きている三人がいる。


一人は──

二日酔いの中無表情で歩く残念イケメン、天城颯(あまぎはやて)。

手にはタバコ。趣味はパチンコ。

朝イチの遅刻の言い訳を考えつつ、眠そうに校門をくぐる。


二人目は──

頭痛持ちの常識人、成海悠斗(なるみゆうと)。

今日も担任に呼び出されている。

「成海くん…あとは頼むわ……!」

と面倒ごとを丸投げする気満々の声が、もう遠くから聞こえる。


三人目は──

笑顔だけ無駄に爽やかなポジティブバカ、獅堂亜蓮(しどうあれん)。

校庭の石像によじ登って怒られている最中だ。

「なぁ悠斗! これ意外と登りやす──って、痛っ!?」


……総実の日常は、だいたいこんな感じだ。


問題は、この学校は変な奴の割合が高いこと。


どんな授業も事件になる。


この日も例に漏れず、授業初っ端からトラブル発生。

メディア学科のロケ実習で撮影した映像の中に、

映ってはいけない何かが映り込んでいた。


颯の顔である。


「いや俺だよ!? なんでホラー扱いなんだよ!?」


カオスな専門学校と、三人の残念学生たちが巻き起こす、

奇跡でも奇跡じゃなくてもいい、とにかく何かが起こる日常。


──これは、そんな彼らの五年間の記録である。

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