第2話

『002』



 国王がエマへ婚約を命じた。



 第1王子のユリウスはそこで婚約破棄を断言した。



 エマは自分にはふさわしくない女なので婚約は破棄でいいと。



 この国の国王になる男だという意味だ。



 国王に似合った女でなければならないのだった。



 以前から国王である親からはエマの侯爵家と婚約を強制的にさせられていた。



 ユリウスはそれが不満だった。



 もっといい女がいるのに、なんでエマなんだと。



 婚約してからのエマは王都では薬師として有名になったいた。



 薬師の才能があり、色々な薬を作れることで人々から尊敬されるも、それが最大の失態だった。



 王都で疫病が流行った時に、エマに薬を作って欲しいという要望があった。



 薬を調合し、病人に薬を与えた。



 ユリウスはエマの薬ならきっと良くなると信じた。



 しかしその後に病人の多くは死んだ。



 エマの評判はガタ落ちし、最悪の薬師だとなったのがユリウスには許せなかった。



 第1王子の品格に傷をつけたから。



 婚約者がユリウスの品位を損なうのはもっとも嫌っていた。



 そんな最悪な薬師の令嬢と婚約をしているとなるとユリウスの品位が下がる。



 つまりはエマはユリウスを下げる女でしないし、婚約は破棄すると父にはお願いしたのが、今日の命令になったわけだ。



 父親であるヘデラー国王はユリウスの話を聞き、婚約破棄を即決した。



 そして代わりに辺境の地に送ると決める。



 エマは信じられない顔でユリウスを見ていたが、何も後悔はなくて、なぜなら伯爵令嬢のレイチェルがユリウスにはいる。



 レイチェルこそユリウスにふさわしい女だと確信しているし、エマは自分の品位を落とすだけの令嬢でしかない。



 ユリウスは新しい婚約者レイチェルと過ごすのだった






 ユリウスの弟であるリーデルはエマが追放されて残念がる。



 リーデルはエマを王都でも有能な薬師と認めていた。



 ユリウスの婚約者だから兄の妻になると思っていたが、急展開で辺境の町に送られると決まった。



 それは第2王子リーデルはショックだった。



 なぜならリーデルは自分こそが世界最強の魔術であると思っていて、エマを自分の手伝いにしたかった。



 リーデルは自分がエマよりも優れていると思う。



 エマの薬の効果が素晴らしく発揮されて、神様や聖女のような扱いになったのが気に入らない。



 自分よりも優れている人物は存在してはいけないというのがリーデルであった。



 よってエマは才能があると広まるのが面白くないので、自分の下において奴隷にする計画があった。



 エマが自分よりも低い才能だと国中に認めさせたい。



 それがリーデルの性格であり、かなり歪んだ性癖を持っていた。



 父親のヘデラー国王は次男のリーデルの歪んだ性格は把握しており、エマを婚約はさせなかったのだった。



 それだけリーデルはエマを従えたい欲求が強く、自分でも抑えきれないところまできていた。



 兄のユリウスとエマが婚約したのを妬んでいた。



 それを兄のユリウスは異様な空気で感じ取っていたが、ユリウスの権限でリーデルのわがままを許さないでいた。



 エマが辺境伯と婚約し、王都から辺境の町に行ったのは、リーデルにとって歯がゆい想い。



 リーデルも何か理由をつけて辺境に行きたい気持ちが実はあった。



 そんなリーデルを国王は知って、早急に辺境伯と婚約させたのだった。

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