第40話 始まり

無事に林間学校も終わり、次の日は休みになる。


あの後は皆で食事取り、危険だというので早めに帰った。


俺はユリアをヨルバが相手している間に、セバスから報告を聞く。


まずは昨日の事件が、人為的に引き起こされたものかどうか。


騎士達にも調べさせているが、その情報が俺に回ってくるかはわからない。


「それで、何かわかったか?」


「ひとまず、アルヴィスぼっちゃまを狙ったものではないかと。あえていうならば、冒険者や騎士の怠慢ですかな。魔物の特性は魔素から生まれ、人族や魔獣を食らい数を増やしたり成長します」


「なるほど、魔物退治や魔素の浄化を怠ったか。それにより、いるはずのないゴブリンジェネラルが生まれたと……辻褄は合う」


「はい、そのような考えもございますな」


何かのイベントかと思ったが、そういうわけでもないのか。

それよりも、怠慢の方が厄介だ。

魔物退治もそうだが、魔素の浄化は教会にしか出来ん。

……今の俺なら、それも可能かもしれんが。


「では、ひとまず置いておこう。それより、ユリアの適性検査はまだか?」


「申し訳ございません。それも教会が管理しているので、中々に難航しております。おそらく、グフタフ卿による嫌がらせかと」


「ふんっ、小さい男だ……だが、地味に賢しい」


魔法適性を判断する水晶は、昔から教会が管理しているアーティファクトだ。

故に教会に縁がある場所……それこそ教会に行き洗礼として受ける。

しかも、それなり寄付金を要求される。


「お金を積めば……」


「それはそれで良くない方に使われるし、俺はこれから教会で敵対する可能性がある。流石に洗礼くらいは出来ると思ったが……まあ、良い。多少お金はかかるが、魔法使いを雇うか」


「全属性を雇うとなると、お金が必要ですな。正直言って、今のアルヴィスぼっちゃまの財力では厳しいかと」


「……情けない話だ」


確かにユリアを買う際にお金は使ったし、ドワーフに氷を代金として売ったがそう乱発して良いものではない。

俺の魔力にも限りがあるし、昨日のような戦いがあれば魔力がないと困る。

……一応、最後の手段はあるが、出来れば使いたくはない。


「御当主様は……」


「それは最後の手段だ。いずれにしろ、近いうちに挨拶にはいかないといかんがな」


「ほほっ、良い傾向ですな」


「ちっ、ニヤニヤするな。何なら、冒険者登録でもするか。誰にも迷惑かけないソロなら、皇族でも受けていいだろう」


「ええ、多少強引ですが」


お金のこと、皇太子レースのこと、レイラのこと、教会と考えることは山積みだ。


だが、一番大事なのは推しであるユリア。


彼女のことを第一に考え、そのためならプライドなど捨ててやる。

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