第34話 非常事態?

その後、アーノルドとアニエスの戦いを見るが……なるほどなと思う。


アーノルドはともかく、アニエスなど酷いものだ。


ゴブリンを前にして泣き出しそうになるし、転んだりする。


これは……以前のアルヴィスだったら叱責していたに違いない。


そしてそれは、破滅への一歩だったのだろう。


「イタっ!?」


「ケケー!」


「この! アニエスに近づくな!」


アーノルドが勇敢に戦い、アニエスを守る。

それは中々にかっこよく、俺もあんな感じにしたかった。

ユリアは全然守らせてくれないのだ。

いや……俺のエゴを押し付けてはいかんな。

それに、俺が更に強くなれば良いのだ。


「むぅ……熱い視線です」


「なんの話だ?」


「やっぱり、お胸が必要? でも、大きすぎると動きに阻害します」


「おい、何をブツブツと……待て! 何か来る!」


俺の氷センサーが反応する。

それは今までのゴブリンとは違う感覚だった。

俺のセンサーは種類判別は無理だが、大きさなら何となくわかる。

そして現れたのは……ひと回り大きなゴブリンだった。

身長は180程度で、体格もゴブリンとは比較にならない。


「ガァァァァァ!」


「「ひぃ……!?」」


「ご、御主人様……」


「落ち着け(腕を組まれてるゥゥ!?)」


お、落ち着くのは俺の方だ……無理! 柔らかいし!

フニャンフニャンしてて、頭が上手く回らない!

すると、我に帰った騎士達が前に出る。


「な、何故こんな浅い森にゴブリンジェネラルが!?」


「そんなはずはない! しかし……これは」


その間に、俺はどうにか冷静を取り戻……いや、何とか装う。

気を抜くと、発狂してしまいそうになる。


「騎士よ、手早く説明せよ」


「はっ! ゴブリンジェネラルとは、ゴブリンが進化した存在と言われております。その強さはゴブリンの比でなく、生徒ではひとたまりもございません」


「そして、情けないことに我々新米騎士では太刀打ち出来るかどうか……」


確か、今回の遠征は新人騎士の訓練でもあったか。

それにしても、いるはずのない魔物……何かのイベントだったりするのか?

いや、それはどうでも良い——ここは推しにかっこいいところを見せるチャンスではないか。


「そうか、ならば俺が仕留めよう」


「い、いけません! 危険です!」


「ここは我らが抑えますのでアルヴィス殿下は避難を!」


「それには及ばん。こいつは、ここで確実に仕留める」


くくく、そうすれば推しに良いところを見せられるのだ。


ゴブリンジェネラルよ、覚悟するがよい。


貴様には、俺の推し活の糧になってもらおうか。

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