第28話 仲睦じい二人
それから数日が経ち、校外学習の日を迎える。
その間の授業は主に大陸の勢力図についてだった。
皇国は大陸の西から中央のほとんど支配していて、南には冷戦状態のイチイバル王国。
東側には獣人族が多い共和国エデンや、南東にはドワーフ達の国がある。
この四つが大きな国で、後は大小の国々で成り立つとか。
まあ、正直言って関わることはないから覚える必要はない。
破滅回避をした際には、ユリアの幸せを見届けるのが使命なのだ。
「俺はそんなことより気になるのだが……」
「御主人様? 如何なさいましたか?」
「……お主、本当に戦闘経験はないのだな?」
そう、ユリアの成長ぶりに驚いている。
ついこの間もヨルバと打ち合いをしていたが、それに更に磨きがかかっていた。
とてもじゃないが、十六年間も箱入り娘だったとは思えない。
「はい、そのはずです。でも、何というか……しっくり来る気がします」
「そ、そうか(ま、まずい! 俺も頑張らないと!)
「いつか、ご主人様を守ってみせますね」
「ふんっ、百年早いわ(笑顔が尊い!)」
ユリアが自分の望み通りに強くなるのは嬉しい。
ただ、守ってあげたいと思うのが男心……いや、推し心。
ならば、俺は更に強くなるまでだ。
「セバス! 鍛錬の続きだ!」
「よろしいですか? これから校外学習ですが……」
「構わん! 手加減は無しだ!」
「ほほっ、望むところです」
俺がセバスと打ち合いを始めると、
結局、俺とユリアは時間ギリギリまで鍛錬を続けるのだった。
時間が来たらシャワーを浴びて、制服ではなく装備に着替える。
ユリアはこの間買った物、俺は全身黒コーデのライダースーツのような格好だ。
後日、ドワーフのガロンが訪ねてきて、氷の追加注文を受けた。
そのお礼として、この装備を受け取ったというわけだ。
「御主人様! よくお似合いです!」
「ふっ、当たり前であろう(嬉しいぃぃ!ドーパミン出るぅぅ!))」
「その、私はどうでしょうか?」
そう言い、くるっと一周回る。
なにそれ!? 可愛いんですけど!?
「俺が選んだのだ、間違いなどない(このボケ! 似合ってるって言え!)」
「ふふ、そうでしたね」
相変わらず、この男は……自分ながらツンデレ過ぎる。
男のツンデレとか、誰に需要あるのだろうか。
ただ、何故かユリアは微笑んでいる。
「お二人共、急がないと遅刻しますぞ」
「相変わらず、仲睦じいですね」
「そ、そんなではない!(推しに失礼だろ!)」
「そ、そんな、私とだなんて……」
「と、とにかくいくぞ!」
「はいっ、お供いたします」
荷物を持って、俺達は馬車に乗る。
そして、そのまま目的地に向かっていくのだった。
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