第24話 デート?

……待て待て。


帰りの馬車を断り、歩いて買い物に行くと決めたのは良いが……。


もしや、これは制服デートになるのでは?


というか、そうなると初デートなのだが?


「御主人様? 立ち止まってどうしたのです?」


「い、いや、少し考え事をだな(えっ!? デートなの!?)」


「何かご懸念でも?」


「コホン……そういえば店の場所はわかるか? この皇都で最も良い武器があるところが良い」


「一通りの地図は頭に入っております。ただ、相手をしてもらえるか……」


「では、案内せよ(ァァァァ! 馬鹿! エスコートしろよ!)」


「はい、お任せください」


こんなことなら、きちんと地図を把握しておくんだった。

しかし皇都は広く、全てを把握するのは難しい。

逆を言えば、良くユリアは知っている。


「皇都は広いが、武器屋など良く知っているな?」


「……皇太子様が行きたいと言ってたことがあったので」


……ァァァァァァァァ!? アルヴィスのアホタレェェェ!

何を昔の男を思い出させとる!

それは一番やっちゃいけないやつ!

……ただ、ここでわざとらしく引くのも変か。


「ほう? 兄上が武器屋に?」


「はい、何でも冒険者に憧れがあるみたいでした。身分とか関係なく自分の力で冒険したり、信頼できる仲間とダンジョンに行ったりしたいとか」


「はっ、あの兄上らしい。そんなこと、許されるはずがないだろうに」


前世の記憶が蘇った今、身分差などには寛容にはなった。

それでも皇族、ましてや皇太子という立場は軽いものではない。

当然ながら許されないし、相手にとっては迷惑極まりない。

何せ、怪我でもさせようものなら極刑に値する。


「仰る通りです。結局、陛下から大反対を受けました。私も止めましたが、本人はどうしてもやりたかったみたいですね」


「だったら皇位など捨てて、ただの平民にでもなれば良かったのだ」


「そしたら、御主人様が皇太子ですか?」


「それはそれで困るな……」


「ふふ、そうなのですね」


良かった、どうやら暗い感じにはならなかったか。

というか、デートなのに初っ端からつまづいてしまうとは。

ここは何か気の利いた会話をせねば。


「そういえば、うちには慣れたか?」


「はい。ヨルバさんもセバスさんも、本当に良くしてくださいます。本当に、ご主人様には感謝しております」


「ふんっ、言葉だけならなんとでも言える(良かった! 肩身の狭い思いしてなくて!)」


「では、やはりご奉仕の方を……」


「それは断る。そもそも、そんな耳まで赤くしてる奴にさせるつもりはない」


「あぅぅ……」


か、可愛いィィィ!

如何にも出来ますけど? みたいな表情なのに耳だけ赤い!

これは何デレと言うのだ!? クーデレ!?


「くくく、まだまだ俺の相手をするのは早そうだな」


「むぅ……精進します」


「期待せずに待つとしよう(来たら昇天しちゃうからこないでね!)」


そんな会話をしていると、武器屋の看板が目に入る。

制服で街を歩いたので、個人的には既に目的を達成した気分だ。

ひとまず、そのまま中に入って適当に物色していく。


「ふむ、武器の良し悪しはわからないが……素人目にも良いものが揃ってる気がする」


「ええ、そうですね。やはり、ドワーフ製というのが大きいかと」


「ドワーフ……そうか」


またもや忘れていたが、ここはファンタジー世界。

人族に比べて少数ではあるが他種族も存在するのだった。

ドワーフ族、獣人族、エルフ族がいるんだったか。

ただ基本的に人族とは離れて住んでいるので、関わることはほとんどない。


「はい。それで、先程言い忘れましたが……ドワーフ族は気に入った人しか売らないそうです」


「ほう、それはそれは……という話だがどうなのだ?」


「ふんっ、わかってるのにやってきたのか」


振り返ると、そこにはイメージ通りのドワーフがいた。

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