第15話 兄との会話

銀髪サラサラヘアーの俺とは正反対の、黄金に輝く癖っ毛の金髪。


細身で身長180センチの俺に対し、少し低めの175センチだが体格の良い体。


整ってはいるが冷たい印象を与える俺とは違い、万人ウケがいい精悍な顔つき。


性格はひねくれ者の俺と、色々な意味で真面目で馬鹿正直な兄上。


大貴族に生まれた俺と、平凡な貴族に生まれた兄上。


基本的に一人の俺と、今も後ろに取り巻きを連れた兄上。


親に放置された俺と、親の愛情を注がれた兄上。


本当に何もかもが正反対と言っていいだろう。


実際にアルヴィスは大嫌いだったが……正直、今の俺にとってはどうでもいい。


「これはこれは兄上、Aクラスに何の用だ?(俺は早くユリアのコスプレが見たいから邪魔をするな)」


「随分と冷静だね、いつもなら食ってかかるのに」


「そんな暇はないので」


確かに以前の俺なら雑種……この場合は俺が王族の直系に対し、兄上が普通の貴族の血を入ってることを意味する。

そう言って、良く兄上には噛みついていた。

自分が皇太子じゃないのが許せなかったのだろう。

ただ今はどうでもいい、とにかくこれ以上ユリアを傷つけさせやしない。


「……本当に何かあったんだい? あちこちから、何やら皇太子レースを降りるとか聞いたけど」


「はっ、相変わらず噂好きな奴らがいるものだ。もしそうだと言ったらどうするのだ?」


「何が狙いかな? そうなると、こちらを油断させる作戦ってことか」


「そんな美しくないことをするつもりはない。話はそれだけか? だったら退いてもらおう」


早く退けぇぇぇ!

こっちはお前に構ってる暇はない!

一刻も早く推しのコスプレ姿を見たいんだよ俺は!


「っ……物凄い圧だね。いつものスカした感じはどうしたんだい?」


「そちらこそ、随分と余裕がなさそうに見えるが? 一体、何を焦っている?」


「僕は別に焦ってなんか……」


「そもそも、例の婚約者はどうした?」


「彼女は関係ない」


そう言い、少し目を伏せる。

ふむ、上手くいってないのか?

まあ、俺には関係ないからいい。


「そうか。では、早く退いてもらおうか」


「待ってくれ、もう一つだけ質問がある……ユリアを買ったと聞いたが、どうするつもりだい?」


「知れたことを言う、ユリアは俺のモノになった。そもそも兄上には関係ない、先程の言葉をそのまま返そうか」


「それはそうだけど……僕への当てつけってことかな?」


「なんのことだか。では話は終わりだ、こっちも忙しいのでな」


俺はユリアの手を引き、教室を出て行く。

その間もユリアは俯いて黙ったままだ。

やはり、兄上には会いたくなかったか。


「ユリア、平気か?」


「……へっ? は、はいっ」


「すまんな、兄上と会わせるつもりはなかったのだが。まさか、あっちから会いに来るとはな」


「い、いえ、同じ学校内ですし仕方ないかと。それに、皇太子レースを降りるともなれば気になります」


その表情とトーンは、本当に仕方ないと言った感じだ。

なんか、『やれやれ』みたいな空気感か?

しかし、そうなると元気がない理由がわからない。


「ではどうした? お腹が減ったか? まだ足が痛いか?」


「へ、平気ですからっ!」


「そ、そうか」


しまったァァァァァ! 迫りすぎたか!?

いや顔が近かったか!? お腹が空いたはデリカシーがなかったか!?

……ダメだ、女心がまるでわからん。

何処かに攻略法は乗ってないだろうか。


「ま、まだドキドキしてるのに……御主人様ったら、私を背にして守ってくれた。それに、また俺のモノだなんて」


「はぁ……ん? 何か言ったか?」


「いえ、何でもありません。では、部活見学に参りましょう」


急にキリッとした顔つきになり、前を歩いて行く。


そこで俺はふと、さっきまで手を繋いていた事実に気づき悶絶するのだった。

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